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十四話、娘を想うからこそ

〔シルビルク領〕


今日は忙しい日であるアリシアは父と仲間達と共にシルビルク家にやって来た。


屋敷の玄関前には既に屋敷で働く者達が集められていた。


シルビルク領の領主ファイクが娘の行き先を知っている時点で屋敷の中に闇鴉に娘の行き先を伝えた者がいると判断し屋敷で働く者達をここに集めたのだ。


「さて諸君、君達を集めたのはつい先程私の娘が攫われそうになったからだ、それで君達の中に闇鴉のスパイがいると私は断定した、今言えば刑務所に放り込むだけで済ませてやる、早く出て来い!」


娘が狙われたのだ。


ファイクはかなり怒った様子だ。


「…」


一方アリシアはこの場にいる全員の様子を見ていた。


(あの人…)


アリシアは職員達の中を進み一人のメイドの前に立つ。


「あなた、名前は?」


「レイチェと申します、何か?」


レイチェは毅然とした態度でアリシアと対面する。


「あなた今ファイク様の言葉を聞いて他の者達とは違う反応をしたわね?それはどうして?」


アリシアはレイチェの瞳をしっかりと見て話す。


「何も?」


「そう?ならあなたメイドなのに何故武器を隠しているの?」


アリシアは幼いが長い戦闘経験を持つ少女だ。


そのため他人の様子を見て武器を隠しているか隠していないか見抜く事が可能である。


「チッ!」


アリシアに見抜かれたレイチェは短剣をスカートの下から抜き斬りかかってきた。


「チェルシー」


「はっ」


チェルシーがその攻撃を止め斧で押し切り討ち倒す。


「私のメイドを舐めない事だわ、さぁお縄に付いて貰うわよ」


アリシアも怒るファイクと同じ気持ちだ。


何故なら大切な友達が闇鴉の人質にされそうになっていたのだから。


「立て、他の者がいるかどうか話せ、言わないなら殺す」


ファイクは女にそう伝えると領兵に言って女を立たせ首に剣を突き付けた。


「いない、私だけよ」


「嘘はないな?この後また娘が攫われそうになったり攫われたらその時はお前を容赦なく殺すぞ」


ファイクは首に少し剣を触れさせながら言う。


「本当よ」


「分かった、連れて行け」


アリシアとアレスはこの会話の内も職員達の様子を見ていたが皆不安そうにしているだけだったので本当に仲間はいないと判断した。


「皆、すまなかったな、仕事に戻ってくれ」


ファイクは皆を労い仕事に戻るように言う。


それを聞いた職員達は安心した様子で帰って行った。


「アレス、そして少女達よ、良く娘を救ってくれた、君達がいなければ娘は攫われて人質にされていただろう、心から感謝する」


ファイクはそう言うと一礼した。


「構わんさ、俺がお前の立場なら同じ事を言って同じ事をしただろうしな」


娘を大切に想う父親である二人だからこそ気持ちを理解し合えるのだ。


「ありがとう、さてお茶を出そう、中に来てくれ」


「うむ」


アリシア達はファイクとアレスに続き屋敷の中に入る。




中に入ると庭園に案内された先程外に出ていたメイド達がせっせとお茶の用意をしてくれる。


「アリシア、私からも感謝するわ、あなたがいなければ今頃どうなっていたか…」


解放されるまでの間殺されはしないだろうが酷い扱いをされていたかもしれない。


そう思うからこそシェリーも言って来た。


「良くってよシェリー、その代わりいつか私が手助けが必要な時に助けて頂戴?」


「もちろんだわ!」


シェリーはアリシアの言葉に必ず助ける!と頷いた。


「それにしてもあなたかなり強くなったわね?私と同じ十二歳とは思えないくらい」


アリシアの戦闘を実際に見たからこそな言葉だ。


「まぁね頑張ったもの、でもこれじゃまだまだ足りないわ」


何故ならいつか魔王と戦わなくてはいけないかもしれないからだ。


そのため今の力ではまだまだ足りないアリシアはそう思っているからこそ頑張るのをやめる事はない。


「応援してる、あなたなら絶対沢山の人を守れるもの!」


「ふふっありがと」


二人の令嬢が会話する中アレスとファイクはついでと言わんばかりにビジネスの話をしている。


領主とはこのように別の領との取り引きで領に利益をもたらせなければならない。


そのためこうして他の領主と話せる時は自領のためのチャンスとなるのだ。


そしてここにいるアリシアやシェリーもいつか同じような会話もする事となる二人とも領主になる人物だからだ。


「そう言えばアリシアは好きな人は出来たの?」


年頃の少女であるシェリー。


同い年の少女の恋路は気になるものだ。


「うーん特にいないわ」


アリシアは特にいないと伝える。


(んー…)


チェルシーはその言葉を聞いてサーシェスもう少し頑張れと思った。


「そうなんだ、私はいるわよ?」


「へぇ?誰?」


「言わなーい、あなたに出来た時に教えてあげる」


シェリーはウインクしつつ今は秘密だと言った。


「えー私にはいないものはいないのよ…」


「だから教えなーい」


「ケチね」


アリシアは教えてくれないシェリーに対して口を尖らせたシェリーはそれを見てクスクスと笑う。


「アリシア、そろそろ帰るぞ、今日は疲れただろう?」


「はぁい、後、疲れてはないわよ」


「そうか、なら良いんだが」


アレスは疲れていないと言う娘の言葉を聞いて我が娘ながらタフだなと思う。


「それじゃシェリー、帰るわね、またお茶しましょ?」


「ええ、またね、アリシア」


令嬢二人は仲良く手を握り合ってお別れの挨拶をする。


「ファイク、注意しろまた娘が狙われるかもしれんからな」


「分かっているさ」


アレスとファイクも握手をしアリシア達は屋敷に帰って行く。

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