十三話、急行救援
〔シルビルク領〕
ここはシルビルク領。
シルビルク家が管理している領地だ。
黒鴉の目的はそのシルビルク家の令嬢シェリーを攫う事である。
「ここで散開するぞ」
シルビルク家の馬車がこの辺りを通るのは分かっているがどの位置にいるのかは分からない。
そのため散開して探し出して黒鴉に攫われる前に見つけなくてはならない。
「了解!」
こう言う任務はアリシアが一番な得意分野だ。
アリシアはミーティアを使用するとシルビルク家の馬車を探して飛翔する。
アレスとチェルシー達はアリシアを追い東に向かう組とアレスと共に西に向かう組に別れ彼らも飛翔する。
「馬車!」
飛行するアリシアは馬車を見つけた。
すぐに近付くと御者に近付く。
「うぉ!?いきなり現れたな!?」
御者はいきなり現れたアリシアに驚く。
「この馬車はシルビルク家の馬車!?」
シェリーはたまにお茶をするアリシアの友人の一人である。
そのためアリシアは急いで探しているのだ。
友人が闇ギルドに攫われる前に見つけるために。
「シルビルク家の馬車?もう少し後ろにいるんじゃねーかな?」
この御者はシルビルク家の馬車が屋敷から出発しようとしているのを見ておりどこに向かうのかは知らないが同じ道を通るのだとしたらもう少し背後にいるだろうと思う。
「ありがとう!」
アリシアは御者にお礼を言うと更に加速して飛ぶ。
「!」
飛んでいると複数の魔力反応が森の中に潜んでいるのをアリシアは感知した。
(森の中に隠れてる…行き先がバレてるって事だわ…)
普通令嬢の行き先は家の者しか知らない。
それなのに闇鴉の構成員がシェリーを乗せた馬車の行き先を知っている時点でシルビルク家に闇鴉のスパイがいると言う事だ。
「シェリーを助けて終わりって仕事じゃなさそうね!」
そう言いつつアリシアは今度こそシルビルク家の家紋が入った馬車を見つけ屋根の上に着地した。
「何事!?」
馬車の屋根からズドン!と音がしたため中から驚いた声が聞こえて来た。
アリシアはその声に安心しつつドアを開ける。
「シェリー!」
「アリシア!?」
ドアをいきなり開けられたのも驚くしそれをしたのが友なのも驚いたシェリーは目を見開いている。
「驚かせてごめんなさい、でもあなたが狙われているの!急いで屋敷に向けて転移なさい!」
「分かっ…」
友が言う事だシェリーは急いで転移して屋敷に向かおうとするがその前に矢が飛んで来た。
まずは馬と御者を殺して動けなくしそれからシェリーを連れて行こうとしているのだ。
「シェリー!急ぎなさい!」
アリシアは馬車の周囲を飛んで回りつつ剣で矢を弾く。
「うん!」
シェリーは恐怖で涙目になりつつもご令嬢として教わっている転移魔法で家に向けて転移して行った。
御者も殺される前に転移して逃げる。
「よし」
アリシアはシェリーを守れた事にホッと安心する。
そうしていると銃声がし周囲の気配が次々と消えて行く。
追い付いたニャルカが狙撃をして魔力ダメージを与えて闇鴉の構成員達の意識を奪って行っているのだ。
「やるわね!」
アリシアは攻めて来た闇鴉の構成員を見ると近付き斬り伏せて行く。
ニャルカと同じく与えているのは魔力ダメージだ。
「はぁ!!」
チェルシーも追い付きアリシアと並んで近接戦を行い今回の闇鴉との戦闘も無事勝利を収めた。
今回一番撃破したのはニャルカであるため彼女の功績は非常に大きい。
「二人ともお疲れ様、今念話でお父様を呼んだからすぐにここに来るわ、待っていましょう」
次はシルビルク家に向かう必要があるがスパイがいたとしても計画が失敗した今次の機会を狙うために潜もうとしすぐに事を起こすとは考えにくいためアリシアはアレスをまずは待つ。
アレスを待っているとセレティアと共にやって来た。
「こう言う時やはりお前の速度は頼りになるな、よくやってくれたなアリシア」
アレスは娘の功績を褒め髪を撫でる。
「ふふっ、ニャルカも見事な狙撃をしてくれたの、だから褒めてあげて?」
シェリーを助けたのは自分だがその後の戦闘の功績はニャルカが一番大きい。
そのためアリシアはニャルカを褒めてあげて欲しいと父に言う。
「そうか、よくやってくれた、これからも期待しているぞ」
アレスの優れている所はこうして頑張った者を褒める事だ。
これによりやる気が出て成長が早まるため実に良い事である。
アリシアが十二歳ながらアレシアが鍛え始める前も強かったのはアレスのこのやり方のお陰でグングン実力を伸ばせたからである。
「にゃー!頑張るにゃ!」
褒められたニャルカは尻尾をブンブン振り頑張ると言う。
「ねぇお父様、お父様なら気付いてると思うけれど…」
「あぁシルビルクの屋敷の中に闇鴉のスパイがいる、忙しくて悪いがすぐにシルビルクの屋敷に向かうぞ」
今日は非常に忙しい闇鴉のアジト潰しに誘拐阻止。
更にはシルビルクの屋敷にてスパイ探しだ。
最近でも特に忙しい日だとアリシアは思う。
「ええ」
アリシア達は頷き今度はシルビルクの屋敷の中にいるかもしれないスパイを探しに転移する。




