表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
58/84

【第五十七話】徐州の新政

198年初冬 徐州下邳


呂布の死後、荒廃した徐州は新たな支配者を迎えることとなった。


劉備玄徳――仁の旗を掲げる男であり、三年前に同地の牧として仁政をしいた(おとこ)である。


劉備が下邳の城門に入るや、士卒は一斉に(こうべ)()れ、民衆はその姿に希望の光を見出していた。


「戦乱が続きみんな苦しんできたな。だからこそ、俺と一緒に、この徐州をどこよりも住み良い国に戻そうぜ!」

陽気ではあるが強い意思のこもったその言葉を聞き、集まった人々は万雷のごとき歓声を上げた。



---


政庁において、劉備はまず人材の配置を定めることにした。


「揚州は関羽と張昭に任せようと思うがどうだ?関羽はちと気難しいやつだが、武と兵の統率にかけては我が軍随一だ。張昭ならそこら辺も上手いことやってくれそうだしな」


「俺も賛成だ。張昭の爺さんなら義兄貴(あにき)も邪険には出来ないだろうしな」

張飛が賛成し、魯粛も賛意を示す。

「付け加えるなら、現状のまま華歆、孫邵に内政の補佐を任せ、賀斉、虞翻を副将として関羽殿の補佐を任せましょう」


続いて、徐州の軍事統括は四将に委ねられた。


「張飛!」

「おう!」

「お前は徐州北辺を守れ。お前の力があれば、賊徒も曹操も一捻りだろ」


張飛は豪快に笑い、

「任せとけ、義兄者(あにじゃ)!」

と胸を叩いた。


さらに劉備は陳登に向かい、

「陳登。張飛のことを助けてやってくれ。あれは戦には滅法強いが、己を律することがちと苦手だ。あんたのことは張飛も信頼しているから、二人で協力して徐州の北の守りを頼む」


「畏まりました。これ以上、我が故郷が賊どもに踏みにじられることの無きよう勤めます」


そして高順には中軍を預け、太史慈には山越兵を調練して屈強な歩兵部隊の育成を命じた。

「高順――お前の鋼のごとき胆力で我が軍を至強の高みに導いてくれ。太史慈――お前は山越の心を掴んでいる。あいつらを鍛え上げて無敵の歩兵部隊を頼む」

二人は同時に深々と頭を垂れ、忠勤を誓った。


それぞれの副将として朱桓は張飛のもとに、侯成は太史慈に、魏越は高順に、成廉は陳登に配された。


四将と四副将――徐州の守りは盤石の形を整えたのである。



---


内政においては、糜竺・糜芳の兄弟が財政を担い、孫乾と簡雍が外交にあたった。

その上に立ち、全体を統括する役として陳圭が任ぜられた。


「陳圭よ、お前さんの手腕をもって徐州の財政と外務を束ねてくれ。この徐州の未来を託す」

陳圭は深い皺の刻まれた顔に静かな微笑みをたたえ、

「必ずや」と力強く答えた。


また魯粛、諸葛瑾、諸葛亮の三人が劉備の側近として置かれた。

魯粛が大局を見通した方針を立て、諸葛瑾が政略面、諸葛亮が軍略面でそれを補佐する形をとった。


「魯粛、諸葛瑾、諸葛亮、俺の側にあって支えてくれ。俺はやっと頼るべき土地を手に入れた。ここからが、劉備玄徳の飛躍の時だ」

劉備の眼差しに、三人は拱手して答えた。



---


夜、城楼に立った劉備は、徐州の灯火(ともしび)を見下ろした。

「この地は戦に継ぐ戦で疲れ果てちまった……だが、今の俺なら仲間と共に建て直せるはずだ」


張飛が横に現れ、豪快に笑った。

義兄者(あにじゃ)よ、今度こそ腰を落ち着けられるんだな?」


劉備は少し笑みを浮かべ、声を張った。

「腰を落ち着ける? それは違うぞ張飛。俺達はまだまだ走り続けるんだ。徐州はその道程の一里塚にすぎん。ここから関羽とお前との誓いを果たすため戦い続けるんだ!」


その言葉に、張飛は目を輝かせ、酒を掲げ吠えた。

「ならば命を懸けて戦ってやろうじゃねえか!」


仁を旗とする徐州新政――その基盤はここに築かれ始めたのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ