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【第四十六話】諸葛亮の策

198年春 徐州・広陵


劉備軍の陣中では諸葛亮が徐州の地図を広げ、自らの策について居並ぶ緒将に説明していた。

「魯粛殿、江東耳目を用い下邳城の陳圭殿に連絡をお願いします。すぐに城から退避し身を隠すように、と」


魯粛は不服そうに頷く。

「無論、陳登殿が我らについてくれた時点で、父君である陳圭殿の身の安全は責任をもって図る。しかし、それだけでは、呂布の軍に対する策とはならんぞ」


諸葛亮は羽扇で口元を隠し笑う。

「魯粛殿も落ち着いてください。先ほどの依頼はこの策の前提にございます。陳圭殿の安全を図った後に呂布の心を乱すため、『飛語の計』を発します。曰く、”陳登が裏切り、広陵城は陥落した。陳登は下邳城の陳圭と示し合わせ、下邳城も陥落した”と。飛将を飛語を用いて落とす策。一興ではないですか」


幔幕の中、諸葛亮が一人笑い、周りはひいていた。


劉備は呆れた顔で頭を掻きながら、

「飛将と飛語の話はどうでもいいが、この策は中々いいな。魯粛、すぐに手配してくれ」


魯粛は呆れ顔を引き締め、

「畏まりました。疾く、策を進めます」



---


諸葛亮の策はすぐに江東耳目の手で実行され、呂布軍の耳にも届いた。その噂は瞬く間に陣中に広まり、広陵へ向かう呂布の指揮官たちの顔に不安が走る。


「なんだと……広陵城が陥落し、下邳城まで…!」

呂布は額に手を当て、眉を寄せた。


惑う呂布を見て陳宮が諫める。

「将軍、噂に惑わされてはなりませぬ。何よりここで引き返したならば、陳登殿が奮戦していた場合、真に裏切ることとなりましょう」


呂布は頭を抱え唸る。

「確かに陳宮の言う通りだ。陳登が劉備を押さえ込んでいれば救いにいかねばならん!急ぎ広陵城に向かう!」


しかし、呂布が広陵城へ向かって進軍している途中で、劉備軍の本隊が「陳」の旗を掲げて広陵方面より現れた。


呂布は旗を目にして動揺した。

「陳宮!あれはどういうことだ。劉備の軍に陳登の旗がたなびいているではないか!やはりあの知らせは真であった。急ぎ下邳城に向かわねば!」


陳宮は呂布に(すが)る。

「殿、あれは劉備の我らに対する離間の策やもしれません。まずは劉備の軍に一撃を加えてからでも遅くはありませぬ。」


しかし、呂布は聞く耳を持たなかった。

「ならん!全軍退却だ!」


そこへ、張飛が先陣に立ち、怒声を上げて突撃してきた。

「突撃!盗っ人呂布を徐州より叩き出すぞ!」


呂布軍の前衛、宋憲率いる部隊が張飛の突撃を受けた。

撤退命令が出た直後であり、呂布軍は大混乱となった。乱戦の中、宋憲は討死、呂布軍は甚大な損害を被り、退却していくのだった。


諸葛亮の飛語の計は見事にはまり、呂布は広陵を失った上に多大な損害を被るのだった。

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