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【第四十五話】燃える徐州

198年晩春 予州・小沛


小沛の空は、まだ春の冷気を孕んでいた。

だが、その静けさを破るかのように、西方の地平線から紅の軍旗を押し立てた軍勢が押し寄せてくる。


先陣を担うのは韓当率いる弩兵を中心とした五千。

兵たちは油断なく弩を構え、射程に敵影を捉えた瞬間、一斉に矢を放った。


「放てぇっ!」

甲高い命令と同時に、弦の唸りが響き、矢が水平に飛び弾幕を張る。


張遼軍の先鋒はその矢雨を受けて乱れたが、張遼本人が馬腹を蹴って前に躍り出ると、部下たちの士気は一気に立ち直った。


「この程度で遅れを取るな! 我に続け!」

張遼の声が戦場に響き、軽騎兵が矢を躱しながら側面に回り込む。


韓当は舌打ちをし、背後の鼓手に合図を送る。

「第二陣、前へ! 矢を続けろ! あの張遼とかいう武者、止めねばならん!」


弩兵が次の矢を放つ直前、戦場の後方から鬨の声が轟いた。孫堅本隊が到着したのだ。


「韓当、よく持ちこたえた!」

先頭に立つ孫堅が剣を振りかざし、虎の紋を紅に染めた旗が風を裂く。

新手の出現で張遼軍は一旦後退を余儀なくされた。



---


徐州・広陵


一方その頃、南方の広陵郡境では劉備軍が陳登と会見していた。

広陵太守・陳登は、劉備を迎えるなり深く頭を下げた。


「劉備殿、我が主君は今も昔もあなた様です。呂布などは劉備様の留守をいいことに徐州を奪った盗っ人でございます。この命、漢室のためにお使いください。」


劉備はにやりと笑い、肩を叩く。

「そう言ってくれると助かる。俺らは金は無えが、志は他の誰よりも高いところにある。その力貸してもらうぞ。」


陳登は広陵城の兵と糧を劉備軍に開放し、城に迎え入れた。

広陵城内では長く離れていた劉備の妻・麋氏や、その兄、麋竺、麋芳が劉備を迎え入れた。


劉備は久々の再会に顔をほころばせた。

「久しぶりの我が家に帰ってきたみてえだな。また、よろしく頼む」


魯粛は早速、軍の再編成を行い、先鋒張飛、朱桓に五千、中軍として劉備、麋芳率いる一万、左翼に陳登率いる五千、右翼に太史慈率いる山越兵五千を配した。


魯粛は編成を終えたところで江東耳目からの報告を伝えた。

「殿、呂布自身が率いる二万の軍勢がこの広陵に進軍中とのこと。」


劉備は渋い顔となり座り込む。

「呂布自身が率いる騎兵は恐ろしく強いからな~。どうしたもんか」


張飛が憤慨しながら詰め寄る。

「兄者!この俺があんな盗っ人野郎に敗けるって言いてえのか!」


諸葛亮が笑いながら羽扇(うせん)で張飛を遮った。

「この若造が邪魔するな!戦場では引っ込んでろ!」


諸葛亮は飄々として言い返す。

「落ち着きください張飛殿。我に策ありです」



---


徐州・琅邪


北方では、曹操軍がすでに琅邪国へ侵入していた。

四万の大軍を率いて、魏続の守る東莞城を包囲した。


郭嘉は静かに笑みを浮かべる。

「魏続は呂布の親族びいきの象徴のような男。この大軍での包囲ならば、東莞は長くは持ちますまい」


曹操は頷き、前線へ向け馬を進めた。

「ならば揺さぶってみるか…呂布の牙城を崩すのは今だ。」



---


三方から迫る軍勢、徐州全土が戦火に焼かれようとしていた。

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