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僻地に追放されたうつけ領主、鑑定スキルで最強の配下たちと共に超大国を創る  作者: 瀬戸夏樹


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第166話 ヴァーノン、気づく

 諸侯・領主達の集まる中、法王は壇上でノアに神託を授ける。


「アークロイ大公ノアよ。あなたはこの神の御前で開かれた会議において、神聖なる役目を賜りました。あなたは今後、どんな困難が待ち受けていようとも、マギア連邦を成立させなければなりません。諸侯達よ。神に導かれし子達よ。あなた方はアークロイ大公に惜しみない援助をしなければなりません。マギア連邦の成立に協力し、それを妨げてはなりません。彼がマギアを一つにまとめるその日まで」


 こうして各国領主達はマギア連邦の成立に合意し、協力することを約束した。




 ♦︎




 各国領主達の聞こえない場所まで移動すると、ノアの家臣らはしてやったりという顔でノアに話しかける。


「やりましたねノア様」


「これで狙い通りマギア連邦成立に繋がったわね」


「しかし、なぜわざわざ国際会議の場でルドルフ殿下に主導権を渡してまでマギア連邦の成立を約束したのです? ノア様のお力なら独断で成立させることも充分可能なはずでは?」


「国際的な合意を得た方がみんな協力してくれるだろ。余計な妨害や横槍を防げる。頼んでもないのに積極的に動いてくれる奴も現れるかもしれない」


「なるほど。そういうものですか」


「今後の外交も考えてのことってわけね」


「流石はノア様です。マギア征服に飽き足らず、戦果をここまで有効活用されるとは」


「ドロシー殿の謀略も見事ですな」


 オフィーリア、エルザ、イングリッド、ルーシー、ドロシーらは盛んにノアのことを褒めそやして、気を引こうとした。


 ランバートとクラウスはいつもながらの光景にやれやれという感じで見守る。





 ヴァーノンは必死にマギア連邦の真意を探っていた。


 各国の要人の間を回って手当たり次第に聞きまくる。


 事はドロシーには見つからないように進める必要がある。


 ヴァーノンが探っているのをドロシーに察知されれば、対応される恐れがある。


 だが、誰に聞いてもヴァーノンが知っている以上のことは知らなかった。


 当然のことだ。


 マギア連邦を提唱しているのは彼の主人ルドルフなのだから。


 ヴァーノンが他に首謀者がいる疑惑を仄めかしても困惑したような答えが返ってくるばかりだった。


 マギア勢に尋ねても要領を得ない返答をするばかりだった。


「魔法院の了承が得られなければ、貴殿らユーベル勢と外交することはできない。機密を漏らすこともできない」


 これがマギア勢の食えないところだった。


 領主と魔法院の二元的な支配をしているために外交の場で答えたくないことは巧妙に回答を避けられるのだ。


 こうして必死に情報収集に努めたヴァーノンだったが、一向に核心に迫ることはできなかった。


 だが、答えは意外なところからもたらされた。


 ルドルフのぼやきからだった。


「ふー。ようやく話をまとめられたぜ」


「お疲れさまです」


「本当に疲れたぜ。ノアの奴がいつまでも粘るから。だが、これでマギア連邦の成立は確定だ」


「……」


「足枷がついたノアは今後思うように行動できまい。封じ込めまであと一歩だ」


「ラシュヴァン大公とナヴァル大公は今後も協力してくださるのでしょうか?」


「ああ。あいつらもノリノリだったぜ。まず今後も協力してくれるだろう」


「……そうですか。しかし、不思議ですね。あれだけマギア連邦に懐疑的だった彼らがここに来て急に乗り気になるとは……」


「不思議といえば……」


 ルドルフが思い出したようにポツリと言った。


「あいつらアークロイがザールグラードとセイレーンの承認を得たって聞いてやたら動揺してたぞ」


「えっ!?」


「ザールグラードもセイレーンも魔族の国だろ。なんでノアが魔族の国と外交してるんだ?」


(ザールグラードにセイレーン……)


 それを聞いてヴァーノンはこれまでの断片的な疑念が噛み合うのを感じた。


(まさか! その両帝国と新大公四国。合わせて六国で勢力均衡を図るつもりか?)


 魔族領内でも魔石を取り扱っている国があると聞く。


 また、魔族領内にもかかわらず魔法院を運営している国があるとも。


(マギア連邦はそのための取引材料か? だとしたら……現実的すぎる)


 これまでは自分よりも、国力の高い相手にもガンガン攻め込んでいてたのに、領土と属国を獲得するや戦争を避けてバランス外交に切り替える。


 五つの大国を同時に相手するのは不利とみて、多数派に回れるようバランサーの立ち位置を確保する。


 しかも他でもないユーベル・ラシュヴァン・ナヴァルの主導によって、それを成し遂げる。


(まんまと利用されてしまったか)


 これに気づいたヴァーノンはノアとドロシーには一生勝てそうにないなと感じずにはいられなかった。


 六大国を視野に入れたバランス外交。


 ユーベルの外交とは次元が違いすぎた。


 いよいよユーベルは国際政治に翻弄されることになりそうだ。


 ヴァーノンはそう思わずにはいられなかった。


(私も身の振り方を考えなければならないかもな)

いつも応援していただきありがとうございます。

おかげさまで「うつけ領主」第二巻の刊行が決定いたしました!

ご購入いただいた皆様にあっては本当に感謝の言葉もございません。

今後ともよろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
なんでルドルフは何処でもかしこでも1つも2つも抜けたことを漏らすのやら
ヴァーノンはかなり有能な外交官のようですね!彼のステータスが知りたいですね!
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