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僻地に追放されたうつけ領主、鑑定スキルで最強の配下たちと共に超大国を創る  作者: 瀬戸夏樹


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第160話 新大公の集結

 ドロシーが落ち着くまで一行は別室で休むことにした。


 ブラムはノアに尋ねる。


「先ほどの会話、5つの大国を一つのテーブルにつかせるとお聞きしましたが、例の5大国との外交を纏める算段が付いたのですか?」


「ああ、セイレーンとザールグラードにそれぞれこちらの要求を()ませたみたいだな」


「えっ? セイレーンとザールグラードに!?」


 ナイゼル公国もセイレーン海洋帝国、ザールグラード大陸帝国と外交する必要性は、かねてから感じていた。


 しかし、ブラムの兄ベルナルドでさえもあの両帝国は手に負えない守銭奴と土地ヤクザだと愚痴っていたのをブラムは覚えている。


(いったいどうやって、セイレーンとザールグラードを納得させたんだ)


 ノア達がそんなことを話していると、ドロシーが部屋に入ってくる。


「ドロシー、もう大丈夫なのか?」


「はい。取り乱してしまい大変失礼しました」


 ドロシーはブラムとシャーフの方を見る。


「お二方はノア様の家来になられたのですか?」


「客分として宮廷に出入りすることになりました」


「マギア連邦について調査研究するようジーフ公と魔法院から依頼されたためです」


「ふー。そうですか」


 するとすぐにドロシーは暗黒微笑を復活させる。


「くっくっく。貴様らも世界新(ニュー・ワールド)秩序(・オーダー)の要請に応えて神のゲームに参加したというわけか」


「は、はぁ」


(だからなんだよニュー・ワールド・オーダーって)


「まだ自覚がないようじゃな。だが、いずれ分かるであろう。貴様らもすでに抗えない世界新秩序の中で動き始めたプレイヤーなのだから」


 ブラムとシャーフは事前にノアから言い含められていた通り、適当に相槌を打ってやり過ごす。


 ドロシーはその後もキャッキャしながら「ニュー・ワールド・オーダー」「ニュー・ワールド・オーダー」と言って、ノアの家臣達に絡んでいったが、誰も相手にしてくれないため、結局ノアとオフィーリアに絡みにいくのであった。


 そうして国際会議の時期が訪れる。




 国際会議はまた、ピアーゼで行われることになった。


 ナイゼルの脅威が完全に去ったというのもあるが、神聖教会の権威をマギア地方に示したいという法王たっての希望だった。


 ノアはマギアの盟主として国際会議を主宰し、各国の領主達に招待状を送って万全の警備の下、会議を差配した。


 ドロシーは会場の整備から招待客のもてなしまで万事取り仕切る。


 領主達も臆病者と見做されたくなかったのと、マギアの様子がどうなっているのか、本当にアークロイによって征服されたのか見たかったのもありこぞって参加する。




 会場には混雑を避けるため、権威の高い領主や地位の者から順に入ることになっていた。


 だが、勢力の弱い小領主達や平民達は、自分たちにとって雲の上のように届かない大公らの顔を一目見ようとあらかじめ会場周辺の道路脇や建物のバルコニーに陣取って大名行列を見物するのであった。


 伝統的な権威、諸侯やユーベル大公家から順に入っていくものの、人々が本当に待っているのは古い権威ではなく、飛ぶ鳥を落とす勢いで台頭してきている新勢力である。


「来たぜ」


「ああ」


 フェルミナス大公レオンハルトの一行が会場にやってくる。


 竜に騎乗するのをものともしない勇者達。


 鍛え抜かれた筋力と精神力は衣服の上からでも頑健なことが明らかだった。


「竜騎士を駆る大公フェルミナス」


「ここ一年で急速に勢力を伸ばしたな」


「竜騎士を駆使した攻城は防御不可能」


「いまだに防御手段は確立していない。来年も新たな城を手に入れているのは間違いないぜ」


 続いてラシュヴァン大公の一行がやってくる。


 静謐な雰囲気が漂う信徒達を引き連れて、ラシュヴァン本人も高位の僧だった。


「俗世にありながらなんて清らかな一団だ。まるで彼らの周りだけ邪気が祓われているかのようだ」


「だが、あの風貌に騙されてはならない。数々の謀略でもって他国の信徒達を扇動し、内応させ城を落としてきた」


「敵を裏切らせて城を落とすわけだからかなり効率がいいよな」


「ああ。ほとんどノーダメージで城を落とせる」


「俗世の領主からの解放を求め、聖都への巡礼を望む信徒達はまだまだ多い」


「来年も勢力を伸ばし続けるだろうな」


 続いてナヴァルの一行がきた。


 上等なシルクの衣服に身を包み、沢山の宝石を身に付けた一団だった。


 中でも上等で趣味のいい白のスカーフを身に付けた男ナヴァル大公ロレンツォは一際人々の目を引いた。


「やはり相当な富を蓄えているようだな」


「どれも一級の品ばかりだ。そうそうお目にかかれないぜ」


「その有り余る資本で傭兵と海運業者を雇い、魔族領にも手を伸ばしている」


「海での勢力はギフティア随一だな」


「魔族領との貿易でしか手に入らない珍品も多い。奴に投資しようという資本家はますます増えるだろう」


「来年も勢力を伸ばしているだろうな」


「今年の目玉はこの三人か」


「いや、あと一人いる。去年、急成長したが、勢いだけだと思われていた。だが、今年更に急成長したあいつが」


「うっ、来たぞ」


 会場前が一際騒めく。


 見物人達はドヨドヨと期待と不安に揺れずにはいられなかった。


 アークロイ大公ノアとその一行が現れたのだ。


「う、うおおお」


「僻地の覇王! マギアの征服者! ゼーテ王!」


「ユーベルを追放されたうつけ公子がここまでの大勢力になるとは……」


 オフィーリア、イングリッド、ドロシー、エルザ、ルーシー、ランバート、クラウス、ガラッド、グラストン、ターニャ……他にも大小様々な功績を残した小隊長達が後に続く。


「くっ、やはり層の厚さは段違いだな」


「マギアの二大国相手に大立ち回りした将軍、神速のオフィーリア、マギアの堅城を次々と落としていった悪夢の射手エルザ、ゼーテへの絶望的に細い補給線を謎の力で支え続けた神聖魔女ルーシー、マギアの海を制した海の女王ノルン公イングリッド、難しいマギアの外交を一手に取り仕切ったバーボン公ドロシー、ジーフの謀将を下した知将クラウス、ナイゼルの狼の猛攻を凌ぎ切った鉄壁のランバート……」


「どいつもこいつもこの時代、一国一城の主になってもおかしくない連中だぜ」


「これに加えてマギアの各国も傘下に加えてるんだろ?」


「ああ。ナイゼル公子ブラムとジーフ公、その諸将も会場でアークロイ大公に合流するはずだ」


 そもそもノルンやバーボンの魔法兵達がノアに付き従っているのを見れば、誰がマギアの盟主であるかは明らかだった。


「マジでマギアの盟主になったのか」


「去年、国際会議で演説に失敗してた頃からは想像もつかない成長ぶりだな」


「それもこれも奴の周囲を固める人材の力だ」


「くっ。なぜ奴はこうも当たり家臣を引けたんだ」


「今後はこの新興4大公が世界を回すことになるだろうな」


 観衆はノアの登場で一斉に沸いた。


「うおおお。ゼーテ王ノア!」


「去年はバカにしてすいませんでした!」


「あのっ。うちの領地にも魔石融通してもらうことって可能でしょうか」


「バカ。お忙しい大公の手を煩わせるな」


 ノアは控え目に観衆に手を振って、早々と会場に入る。


 建物の中に入ると、フェルミナス大公レオンハルト、ラシュヴァン大公エルネスト、ナヴァル大公ロレンツォが揃って佇んでいた。


 どうやらノアのことを待っていたようだ。


 ノアは彼らの表情を一瞥すると、思惑を代弁するかのように語りかけた。


「……全員自己紹介は必要ないようだな。では早速、世界の行方を決める会議を始めようか」

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