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僻地に追放されたうつけ領主、鑑定スキルで最強の配下たちと共に超大国を創る  作者: 瀬戸夏樹


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第149話 海辺での評議

 砂遊びをしているドロシーの下にカラスが飛んできて何事か彼女に伝える。


 ドロシーがこちらを向いてきたので、ノアは彼女の元に必要な情報が集まったのだと判断した。


 グランストンとガラッドの方を見ると、ちょうどバーベキューの準備ができたようなので、ノアはみんなに集まるよう呼びかけた。


 折しも西の海に夕陽が沈みかけていて、夕食をとるのにちょうどいい時間だった。


 浜に打ち寄せる波の音も静かになっていた。


 一同は焚き火を囲んで、採れたての魚貝や肉を調理し、食した。


 オフィーリアは当然のようにノアのために給仕を行った。


 イングリッドは最初は何もしなかったが、オフィーリアが甲斐甲斐しくノアの世話をするのを見て自分もワインを注ぎにいく。


 ランバートはターニャと盛んに築城トークを繰り広げていた。


 ドロシーはクラウスと共に何事か外交に関することでヒソヒソ話をしている。


 腹が満たされたところで、火の勢いが消えないうちにドロシーに集まった情報を共有させる。




 ♦︎




「他の地域でも若き大公達が生まれた。竜騎士の部隊を操るフェルミナス。信仰と謀略を駆使するラシュヴァン。海運と資本で地位を築いたナヴァル」


「なるほど。どいつもこいつも一筋縄ではいかなそうな奴らだな」


 とりあえずノアがみんなを代表してドロシーの報告に受け答えする。


「この中で最も外交が難しいのはナヴァル大公じゃ」


「なぜ?」


「まず、ナヴァルはナイゼルと資本関係にあり、魔石の利害を巡って真っ向から対立する可能性がある。次に海上で縄張りを線引きするのは非常に難しいからじゃ」


「ああ。そっか。こっちの世界には海洋法とかないもんな」


「カイヨウホウ? なんじゃそれは」


「海洋法っていうのは要するに海での取り決めのことだな。どこまで国の領海とみなすかとか、海上で揉めた場合、どんな風に処理するかとか」


「ほおー。そんな制度が」


 ドロシーは興味深げにする。


「ナヴァルに海洋法を認めさせれば、船舶の自由航行が保証される。衝突を避けることもできると思うのだが、できそうか?」


「まあ、難しい。というのも、ナヴァルは海洋帝国セイレーンと提携関係にある」


「セイレーン……、魔女が支配しているっていう帝国か」


「さよう。ナヴァルがここまで力を付けたのもセイレーンの支援あってのものじゃ」


「一つ疑問なのだが……」


 オフィーリアが口を挟んだ。


「ナヴァルはいみじくも法王様から権威を認められた大公だろう? 魔女の支配する帝国とそんな提携関係を結んでもいいのか? ルーシーを抱えている我々が言うのもなんですが」


「帝国って魔族も領民として抱えているんでしょ? ナヴァルはそんなところと手を結んで大丈夫なの? 私達マギア民が言えたことじゃないけど」


 イングリッドも同調する。


「そこがナヴァルの上手いところだ。ナヴァルは聖都サンクテロリア近くの領地でな。法王様に袖の下を通せる立地なのだ」


「なるほど。法王様にとってもナヴァルが肥え太るのは好都合ってわけか。腐敗してるねー」


 ガラッドが()れた調子で言った。


「現状、ナヴァルは法王様と大魔女、どちらにもいい顔をして神聖教会と魔族領間の貿易を独占できる立ち位置にある。だが、それ故に何よりも恐れている。自国の海運能力が脅かされることを」


「交易ルートを断たれたら、法王と大魔女の両方から睨まれることになるってわけか」


「うむ。そういうことじゃ。前述のように海はどこまでがどの国の領海か線引きが難しい。故にナイゼルとノルンの海軍を手中に収めているお主に脅威を感じているだろう。アークロイ海軍をもってすれば、ナヴァル海軍の交易路を脅かすことは十分可能じゃ。同時にナヴァルからすればお主がマギアの魔石を独占することは認め難いことじゃろう」


「ふーん。じゃあ、残る二国は?」


「次に同盟が難しいのは、ラシュヴァンじゃ」


「謀略と信仰を利用する奴か」


「マギア地方は神聖教会の影響力が及びにくい場所だもんね」


 イングリッドが言った。


「しかし、我々はゼーテを解放して法王様に貸しがあります。ラシュヴァンからしてもそう邪険にし辛いのでは?」


 オフィーリアが言った。


「それもあるが、問題は奴がユーベルにいる神聖教会信者を狙っていることじゃ」


「ユーベルを?」


「つい先日、ユーベルと国境を接するアングリンを陥落させた」


「!? アルベルト殿下が落とせなかったあの砦を!?」


「これは手始めに過ぎん。次はユーベルを切り取るつもりじゃ」


「なるほど。そうなれば、ユーベルと同盟を結んでいる我々とは手を組み辛いでしょうね」


 クラウスが目敏く気づく。


「ラシュヴァンからすれば我々とユーベルが離反するように動くでしょうが、ユーベルからすれば我々がラシュヴァンと組むのを看過できないことでしょう。挟み撃ちにされますからね。一方で、我々からすればユーベルはナイゼルを封じるのに欠かせない駒。今はユーベルと無用な軋轢を生むのは避けたい」


「うむ。そういうことじゃな。ユーベルとの関係がある以上、我々はラシュヴァンとは手を組み辛い」


「ふむ。じゃあ最後はフェルミナスだな」


「フェルミナスはこの三者の中では最も手を組みやすい相手じゃ。というのも、魔石を必要としている」


「魔石を?」


「うむ。竜騎士の運用には魔石が必須でな。また、フェルミナスはクロッサルの四聖と仲が悪い。故に我々とは相互補完関係にあるというわけじゃ。無論、これはリスクでもある。我々が魔石を供給する能力を失えば、あっさり同盟を破棄したり、裏切ったりする可能性がある」


「よし。だいたい分かった。それで? ドロシー、お前はこの情勢をどう見るんだ?」


「我々にとって最も警戒すべきはやはりナヴァルじゃ。逆に向こうからしてもこちらを危険視しているはず。故にナヴァルが取る行動は一つ。フェルミナス、ラシュヴァンと組んで我々アークロイ陣営を牽制する」


「大公クラスの国を三つ同時に相手するのは厳しいですからね」


 グラストンが悩ましげに言った。


「我々はまだマギアを完全に統一できてはいません。ナイゼルとジーフはいまだ信用できませんし、各国の魔法院は独自の勢力を保っています」


「うむ。その通りじゃ。我々はユーベル、ナイゼル、ジーフを同盟に引き入れ城42の勢力とはいえ、同盟は仮初のもの。ユーベル17、ナイゼル6、ジーフ4を引けば、我々の国力は城15。そこにナヴァル海軍率いる三大公城30分の勢力がマギアに侵攻してくれば……」


「マギアは再び混沌とした情勢になりますね」


 オフィーリアが引き継ぐ。


「じょっ、冗談じゃないわ。そんなの全力で阻止しないと」


 イングリッドが青ざめる。


「よし。分かった。まずはナヴァルの動きを封じることが先決だ。フェルミナスと同盟を結んで、三大公が同盟できないように縛るぞ」


「うむ。それがいいじゃろうな。ワシもそれを進言しようと思っておった」


「フェルミナスにはこう言っておけ。クロッサルの四聖を討つのに協力するなら魔石を売ってやると。ただしナヴァルとの同盟には応じないように」


「うむ。心得た」


「竜騎士から城を守る方法も探っておきたいところですな」


 ランバートが言った。


「フェルミナスと仲のいいうちに」


「海上を防御できるのかについても知りたいですね」


 ターニャも乗っかってきた。


「そうだな。じゃあ、二人は竜騎士に対する防衛策を講じてくれ」


「はっ」


「かしこまりました」


 ノアは評議に満足する。


(みんな成長したな)


 突然の評議にもかかわらず全員ちゃんと自分で考えて、自分の役割に応じた意見を言えている。


 これなら新興の三大公を相手にしても戦い抜けるだろう。

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