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第94話 悩ましのプールサイド!水着の3大プリンセス(中編)

 ガターニアの転生者祭は地球で言うクリスマスのような特別な日。ガターニアの恋人たちはこの日に会って赤泡酒で盃を交わし愛を誓う。連合王国の王女フレンダとオーガ=ナーガ帝国の皇太女エリーザ、ジオエーツ連邦の女王クインシーにその日のデートを申し込まれておれはただただ困惑するのだった。


エリーザ「このままでは埒が明かん。フレンダ王女、クインシー女王、貴公らの得意なものは何だ」


フレンダ「わたくしは、歌、ダンス、生け花、乗馬、水泳ですわ」


クインシー「クインシーは軍略、イラスト、星占い、お菓子作り、水泳かな」


エリーザ「私は剣術、馬術、漫才、ペン字、水泳などだ」


フレンダ「となると…水泳ですわね」


エリーザ「良かろう! 表向きには理由は言わなくていいが、帝国の公式魔法配信チャンネルで水泳大会をセッティングしよう。明日の第9刻半から我がアオーラ宮の大プールで3大プリンセス水泳大会のライブ配信だ。勝った者が今週末の転生者祭でミキオとのスケジュール交渉権を得る。これでいいな?」


クインシー「うふふふ、クインシー負ける気しないな」


フレンダ「さっそく練習ですの。影騎士、帰りますの」


影騎士「御意に」


エリーザ「者ども、参るぞ」


近衛騎士団「は!」


クインシー「ばあや、帰りましょ♡」


レルフィ「ホエホエ」


 話はまとまり、王女と皇太女と女王の一行は嵐のように去っていった。おれのコーヒーカップを持つ手がちょっと震えてカチャカチャと鳴っていた。


ガーラ「ミキオ、ちょっと思ったのだが」


 ガーラはかつておれを含む魔導十指と死闘を尽くした古代の人造魔人だが今はうちの事務所で書生として預かっている。今まで静観していたが王女らが帰って口を開いた。


ミキオ「なんだ」


ガーラ「いっそあの王女ら全員娶ったらどうだ。このガターニアでは一般的に王族の一夫多妻、一妻多夫は罪にならない筈だ」


ミキオ「いやそれは絶対にダメだ。おれにそんな気がないし、やつらの性格的に成立する筈がない、それに」


 おれは生唾を飲み込んで言った。


ミキオ「やつらと結婚したらおれは三大国に君臨する王になっちまう。ほとんどガターニアの支配者じゃないか。絶対に御免だ」




 翌日、おれたちは西方大陸アオーラ宮の屋内にある豪華なプールのプールサイドにいた。今日はここでオーガ=ナーガ帝国の公式魔法配信チャンネル「エリーザチャンネル」の企画として3大プリンセス水泳大会が行われるのだ。司会はおなじみ、チャラ男だが魔法配信のMCから結婚式の司会までなんでもこなすオグニー辺境伯家公子コンペート・チャーザーだ。




エリーザ「エリーザチャンネル、今週も始めよう。まだの方はチャンネル登録よろしく。今回の企画は」


コンペート「今日はなんと、スペシャルゲストにお越し頂いています! これは凄いですよ、中央大陸連合王国王女フレンダ殿下、そしてジオエーツ連邦女王クインシー陛下です! お二方、どうぞ!」


 コンペートの紹介を受けて横からフレームインしてくるフレンダとクインシーの2人。


フレンダ「ごきげんよう」


クインシー「よろしくお願いします♡」


コンペート「ご覧下さい、この奇跡の3ショット! 既に目の保養! なんというか、とんでもない事になってますが! エリーザ殿下、一体これはどういう経緯で?」


エリーザ「いやまあ、ジオエーツも新女王が即位してこのガターニアに3大大国のロイヤル美女が揃ったということで(笑)、陛下たちにお願いして来て頂いたのだ。視聴者サービスだな」


コンペート「いや冗談じゃなく本当に大サービスでしょこれは! サービスが過剰! 大人セクシーのエリーザ殿下! キラキラアイドルのフレンダ殿下! そしてミステリアス美少女クインシー陛下! 三者三様の美貌でどこを見ても美し過ぎて眼球が疲れます!! そしてエリーザ殿下、今日はご覧のようにプールサイドでの撮影ですが、もしや!」


エリーザ「偶然にも3人とも水泳が得意ということで、スイミング対決をやってみようかなと」


コンペート「聞きましたか視聴者の皆さん! ということは水着ですよ! それぞれ国を代表する王女、女王が水着で登場してくださるのです!! なんかもう凄いです! 想像しただけで鼻血が出ます!」


 今更ながらよくこの企画が通ったものだ。地球なら考えられないことだ。


コンペート「では御三方にはいったん退場頂きまして、お着替えをお願いしたいと思います。こんなことを高貴な方々に言ってはいけないんですが、興奮しますね! 更衣室まで着いていきたい!」


 確かこれ帝国の公式配信番組だと思ったが、こんなに軽くていいのか。最盛期の高田純次のようなノリのコンペートに促されてプリンセス3人は退場した。


コンペート「そして今回のスイミング対決、審査員はこのお方です! その名も高き最上級召喚士(ハイエストサモナー)ミキオ・ツジムラ子爵!」


ミキオ「よろしく」


コンペート「なんですか今日は! このお三方から直接依頼されて審査員に選ばれたということですが、憎いねこの幸せ者!」


ミキオ「3人ともたまたま奇妙な縁で知り合ったというだけだ。なぜおれが今日ここにいるかもよくわからない」


コンペート「本当〜? 何かやましいことがありそうな顔してるけど」


ミキオ「一切ない。今日はもう本当にそのテのイジリは無視するんで」


コンペート「相変わらずミキミキはクールだね! では今日の意気込みを」


ミキオ「とにかく早く終わらせて家に帰ってあったかいうどんでも食って寝たい、そんな感じだ」


 我ながらヒドいコメントだが事実だから仕方がない。コンペートも軽く舌打ちして『これ以上こいつをイジっても何も出ねえな』という顔をしている。


コンペート「そして解説はいつものお茶の間の大スター、トッツィー・オブラーゲさんです。トッツィーさん今日はよろしく」




トッツィー「大スターのトッツィー・オブラーゲでございます。いやー私も今日が楽しみ過ぎて昨日は眠れなくてね、水泳だけに、スイミング不足!」


コンペート「いや〜今日も絶好調ですね!」


 トッツィー・オブラーゲはどこにでも出てくる暇なダジャレおやじという印象しかないが、本来はこのガターニアの歌手で大スターだ。歌は未だに聴いたことがないが。


コンペート「さて、それではルールの説明をしましょう。ルールは至ってシンプル! こちらの100ナーゲ(=50m)プールを往復し合計200ナーゲを泳ぎ切って頂きます。泳法は自由、基本的には先にゴールした方の勝ちですが、スタート時や泳ぐ際の美しさも採点に加味されますのでご注意ください。また一度でも足をついたら失格となります」


トッツィー「なるほど」


コンペート「賞品はこちらをご用意致しました、帝都トノマの老舗菓子店、ヤーダマまんじゅう本舗様より、元祖帝都まんじゅう10箱でございます」


トッツィー「美味しそう!」


 もちろん真の賞品はおれへの転生者祭スケジュール交渉権だが、それを公表するわけにいかないので表向きはまんじゅうにしたらしい。


ミキオ「いいから早くやろう」


コンペート「それでは、お着替えも終わったようですのでお一人ずつお呼びしましょう。視聴者の皆さん、鼻血用のティッシュを用意しておいた方がいいですよ、あくまで鼻血用ですよ!」



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