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第85話 つかめ!異世界漫才大賞(中編)

 異世界67日め、“寿司つじむら”にて弊社・最上級召喚士事務所の忘年会が行われ、余興として漫才大会が開催された。1番手のザザと永瀬による“ザザイチ”はスベリ倒したが、次のヒッシー夫妻による“メオト・インティライミ”は予想をはるかに超える完成度を見せ、おれは驚愕するのだった。


モモロー「メオト・インティライミのお二人でした! なんですかこの仕上がりっぷり! なかなかきわどいネタでしたけどいろいろ大丈夫ですか!? いかがでしょう審査員長のミキオ先生」


 司会のモモローさんがおれに振ってきた。今回の審査員はおれ、漫才は向いてないからと言って審査員側に回った王女のフレンダ、お笑いは好きだが組む相手がいなかった人造騎士ガーラの3人だ。


ミキオ「素晴らしい。ヒッシーも良かったが奥さんの女を捨てた演技力に尽きる。何かやってたんですか」


アマンビー「あ、はい、恥ずかしいんですが高校の時は演劇部で…」


フレンダ「え、隣の旦那さんと浮気はしてるんですの?」


アマンビー「してません(笑)」


ガーラ「凄い、最高だ! 100点だ!」


ヒッシー「ありがとうだニャ〜」


モモロー「ガーラさん、採点結果はまだ発表しないでください! 以上、メオト・インティライミのお二人でした〜!」


 忘年会の余興なのでモモローさんは水割り片手にやっているがこの人は司会のプロなのでさすがに引き締まる。それにしてもヒッシー夫妻の漫才がここまでとは。特に奥さん、めちゃくちゃ才能あるんじゃないか? おれは今は亡き正司敏江・玲児の敏江師匠を思い出した。


モモロー「続きまして、これも強力です! 巫女のサラ・ダホップさんとアマゾネスのガギ・ノッターニャさんによる“野蛮清楚”だ〜!!」


 サラはおれの領地であるコストー地方ヤシュロダ村に住む女子高生の巫女、ガギは身長2mを超えるアマゾネスの闘士だ。どういう経緯か知らないが二人でコンビを結成してこの忘年会に参加したらしい。






サラ&ガギ「どうも〜野蛮清楚です〜」


観客「(拍手)」


ガギ「よろしく頼むぜ!」


サラ「わたしが清楚で、こっちが野蛮ということで〜」


ガギ「まあ遺憾ながらな」


サラ「で今日は野蛮さんは…」


ガギ「野蛮野蛮言うな! 遺憾なんだから!」


サラ「好きな男の人のタイプとかあるん〜?」


ガギ「まあ、定番だけどやっぱり“ギャップ萌え”だな。遊んでそうなのに意外と一途、とか」


サラ「男らしいのにサイコパス、みたいな」


ガギ「怖い怖い! ギャップは悪い方から良い方に転じろ!」


サラ「ガリ勉くんなのに全身トライバルタトゥー」


ガギ「ギャップあるね! そいつ勉強し過ぎて頭おかしくなってるだろ!」


サラ「はにかんだ笑顔が素敵なのにシリアルキラー」


ガギ「ワードチョイス! 脳バグってんのかお前! シリアルキラーにギャップ萌えとはならないだろ!」


サラ「ヤクザなのに口臭きつい」


ガギ「両方ダメじゃねーか! 上の句と下の句両方ダメだと成立しないんだよ、ギャップ萌えは! 『なのに』じゃなくてその場合は『ヤクザで口臭きつい』だ。絶対タイプじゃねーわ!」


サラ「野蛮さん、そんな選り好みばっかしてるから彼氏できへんのと違う〜?」


ガギ「選り好みしたか? 今? サイコパスとガリ勉とシリアルキラーと口の臭いヤクザの話しかしてねーぞ。まあでも実際彼氏は欲しいね」


サラ「夜、ひとりでお風呂入ってたら寂し過ぎて涙あふれてくるやろ?」


ガギ「そこまで乙女じゃないけどな」


サラ「で、ひとりでおならして、しょーもなさ過ぎて笑顔あふれて〜」


ガギ「喜怒哀楽激しいな! どうなってんだメンタル! 泣いても屁ひとつで笑えるんならひとりで大丈夫だわ!」


サラ「逆にこういうタイプは嫌、とかあるん?」


ガギ「あ〜暗いのはダメだな。ロリコンフィギュアを集めてるような」


サラ「『ロリコンフィギュア』やと、ロリコン野郎のフィギュアってことになるから。だから『ロリコンフィギュア集めてる』だと美少女フィギュア持ってウヒウヒ言ってる銀ぶちメガネのロリコン野郎を模した人形を集めてる二重の大変態野郎ってことになるで」


ガギ「細かいな! そんなフィギュアこの世に売ってねえよ! あと偏見な! 銀ぶちメガネでも普通に成人女性が好きな人がほとんどだから!」


サラ「なーなー、彼氏できたらどこ行きたい〜?」


ガギ「デートか? うーんまあ定番は水族館とかか?」


サラ「あーええやん。ほな水族館デートやってみよか〜。あー見てみアマゾネ子ちゃん、シジミやで〜」


ガギ「そうだね〜」


サラ「うわー、こっちはハマグリや〜」


ガギ「あるねー」


サラ「あっちにはアサリや〜」


ガギ「味噌汁の具ばっかだな! この水族館! 貝なんて生きてんだか死んでんだかわかんなくてつまんねえよ!」


サラ「あかんで、大声出したら。お腹すいたんやろ? 何か食べようや。このタコとかどう?」


ガギ「いや食えねえよ! 水族館だろ?」


サラ「ここ鮮魚センターと併設されてるタイプの水族館やで〜」


ガギ「そんな水族館があるのかよ! 先に言えよ! じゃあここの水槽は実質的に全部“生け簀”かよ!」


サラ「見てみ〜、黄色い魚おるで〜。可愛いなぁ〜」


ガギ「あ、うん、そうだね」


サラ「ほなオッチャン、この魚さばいて〜」


ガギ「鮮魚センター! なぜ併設した! 食べづらい! 可愛いと食べたいは繋がらない!!」


サラ「見てみ〜、さっきまで水槽のなか泳いでた魚や、まだピクピク動いてるわ。断末魔やな〜。可愛いなぁ〜」


ガギ「いやお前こそサイコパス! 幼少期に何かあったのか?!」


サラ「動物園もええなぁ〜」


ガギ「先に言っとくけど肉フェスと併設されてるタイプの動物園は無いからな!」


サラ「見てみ〜、キリンおるで〜。くっさいなぁ〜」


ガギ「あ、うん、まあそうね」


サラ「おーこっちはゾウがおるわ〜。うんこしとる〜。もう超くっさいなぁ〜」


ガギ「動物だからね、ニオイがね」


サラ「うわ〜ライオンや〜、肉食獣はまた鼻もげるほどくっさいで〜」


ガギ「我慢しろよ! 動物園てそういうもんだから!! せっかく動物園に来たんだからニオイだけクローズアップしてないで動物自体を楽しめ!」


サラ「相手もおらんのにデートの練習だけしてもしゃーないで〜。あほちゃう〜?」


ガギ「お前が始めたんだろ!」


サラ「ルックスはあんまりこだわらへんの?」


ガギ「まあカッコイイに越したことはないけどな。顔も特にこういうのが好きってのは無いな」


サラ「て言うか、顔いらんよな」


ガギ「いるわ! 最低限いるわ!」


サラ「しゃーないな〜、ほなうちの知り合い紹介したろか?」


ガギ「え、いるのかよ。どんな人?」


サラ「子供好きのいい人やねんけどな〜」


ガギ「いいじゃねーか」


サラ「銀ぶちメガネのロリコン野郎やねん〜」


ガギ「ギャップ! そして偏見!!」


サラ&ガギ「どうもありがとうございました〜」

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