表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/223

第59話 異世界コンビニ大戦争(中編)

 エリーザとアルフォードの姉弟からの依頼を受けオーガ=ナーガ帝国に来たおれたちに告げられたその依頼とは帝国の商店街にある帝国直営の店が業績不振のためアイデアを貸してくれとのことだった。おれは日本のコンビニという文化を紹介するため、“逆召喚”にて彼ら姉弟を日本に招待した。


ミキオ「ベーア・ゼア・ガレマ・ザルド・レウ・ベアタム、我ら4人、意の侭にそこに顕現せよ、日本の東京都江東区、セブンイレブン豊洲店!」


 アンチサモンカードの魔法陣に包まれておれたちが出現したのは現代のセブンイレブン豊洲店の前だ。


アルフォード「おお、これが…!」


ミキオ「セブンイレブン豊洲店、1974年開店。日本におけるセブンイレブンの第1号店だ。前年に大手スーパー、イトーヨーカドーがアメリカのセブンイレブンを運営するサウスランド社と契約し、初めて日本に開店した。その店舗が未だに残って営業している」


エリーザ「ほう、元は外国の店だったということか?」


ミキオ「もとは1927年にアメリカのテキサス州ダラスで創業した氷屋さんだが、のちにパンや牛乳など色々な物を売る業態に変化していったらしい。米サウスランド社と日本のセブンは長らくライセンス契約を結んでいたが、日本側が独自の進化を遂げていく一方でアメリカのセブンは衰退、日本のセブンは国内シェア第1位となり、2005年には逆にサウスランド社を子会社化した」


エリーザ「ほう…」


永瀬「じゃ、ここが日本初のコンビニなの?」


ミキオ「いや日本初のコンビニは1969年オープン、今はもうない大阪のマミイ豊中店と言われている(諸説あり)。草創期のコンビニは様々なチェーン店が群雄割拠していた。セブンイレブンはその中からいち早く勝ち抜いて現在に至るまで長く王座に君臨している。日本を代表するコンビニだ」


永瀬「マミイ豊中店…初めて聞いたわ」


アルフォード「話が長いな、それより中に入りたいぞ!」


ミキオ「うむ、では続いてくれ。店内は広くないからな、騒いで迷惑かけるなよ」


エリーザ「おお、これが“こんびに”」


アルフォード「思っていたよりもずっと狭い。うちの宮殿だと姉上の靴置き場くらいの大きさだな」


ミキオ「そこの王侯貴族、うるさい」


エリーザ「しかし明るくてとても清潔だ、いったい何人の掃除夫を雇えばこの清潔さを維持できるのか…」


アルフォード「このコンパクトな店内にぎっしりと品物が陳列してある。情報量に酔いそうだ。なぜニホンの食べ物はどれもこんなカラフルにパッケージされてるのだ!」


ミキオ「セブンイレブンの商品はどれも素晴らしいが、他と比較しても高級感があると感じるな。これなんて美味いぞ、奢ろう」


 おれはリーチイン(=ガラス扉付き冷蔵/冷凍什器)の中から『ゼロサイダートリプルビタミン』を人数分取り出して精算した。セブンイレブンのプライベートブランド商品だ。


ミキオ「さ、飲んでくれ」


アルフォード「…美味い。酸味がストレートに来て甘味がキツくない。後味もスッキリ、水のようでいくらでも飲める」


永瀬「初めて飲むわ。美味しい」


ミキオ「この商品、何が素晴らしいってゼロカロリーなんだ」


エリーザ「???」


永瀬「いくら飲んでも太らないってことです」


エリーザ「何だと!? まあまあ甘いのにか!」


ミキオ「しかもこれ1本で1日分のビタミンCが摂取できる。クエン酸もたっぷり入ってるから疲れも取れる」


アルフォード「ほぼほぼポーションだな…」


エリーザ「召喚士、これを1000本買いたい!」


ミキオ「ここにはそんなに置いてないと思うぞ。そろそろ次に行こう。次は業界2番手、ファミリーマートだ」




 次におれたちが移動したのは埼玉県狭山市にあるファミリーマート入曽店。今なお残るファミリーマートの第1号店だ。


ミキオ「このファミリーマートは西友でおなじみセゾングループが1973年にオープンさせたジャパンオリジナルのコンビニだ。長らく業界第3位だったが2016年にサークルK、サンクスなどを統合して業界2位に浮上した」


永瀬「サークルK、もはや懐かしいね。ジャンボ焼き鳥とか売ってたよね」


ミキオ「ファミマと言えばなんと言ってもファミチキ。手軽に熱々のフライドチキンが食べられる。運が良ければ揚げたてに出会えるぞ。店員さん、ファミチキを4つ」


 そう言っておれはファミチキを購入し、皆に配った。


永瀬「うん、いつもながら美味しい」


アルフォード「おおおお、ものすごい肉汁だ! 熱っつ!」


エリーザ「鶏肉ってこんなに肉汁が出るものなのか…?」


ミキオ「詮索するな。美味いならそれでいいじゃないか。あとファミマはスイーツ類が充実していて美味い、と個人的に思う。この『たっぷりクリームのダブルシュー』なんて最高だな」


 おれはスイーツコーナーで買った、人間の拳ほどもあるシュークリームを取って言った。


アルフォード「なんだその岩みたいなのは」


エリーザ「絶対不味いだろう、そんなもの」


ミキオ「なら食ってみろ。美味すぎて腰を抜かすから」


永瀬「でも何て言うか、セブンイレブンよりも親しみやすくてポップな印象だね」


ミキオ「やはりルーツが西友のセゾングループだからか、庶民的な感じはあるな。まあファミマはこんな感じだ。次のコンビニだが、これはおれのもっとも愛するコンビニの遺伝子を受け継いでいるのだ」


 腰を抜かしながら楽しげにシュークリームを齧る帝国の姉弟に説明しながら話は後編に続く。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ