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第143話 大巨竜!異世界最大の決戦(第五部)

 大預言者フノリー・ソーヴァの預言、それは北の果てアヴァ島の大巨竜がよみがえりガターニアに大いなる災厄をもたらすというものだった。そしてついに覚醒した大巨竜は中央大陸へ向けて進攻する。それは新たな預言によればジャビコ聖国に眠るもう一体の大巨竜と対決するためだったのだ。




 本日2度目の神託が終わり、ペギーはぐったりとなり地に伏した。あまりに意外な内容におれたちは動揺を隠せない。


ミキオ「ふたつの大巨竜、はっきりそう言ったな」


ミキオⅡ「アヴァ島の大巨竜の他に、ジャビコ聖国にもう一体の大巨竜がいるという」


 ジャビコ聖国は連合王国に隣接し霊峰ジャビコ山を擁する小国である。おれもかつてドラゴンスレイヤー(竜狩り)の一員としてエンシェントドラゴン狩りに赴いたことがあるが、まさか大巨竜までもが眠る地だったとは。


ダイク教授「しかしこれで大巨竜の目的がわかりましたな。ヤツらは互いをエサと認じ、互いを求めて覚醒し大陸を横断し出会おうとしているのだ」


ミキオ「大巨竜アヴァがアヴァ島そのものなら大巨竜ジャビコはさしづめ霊峰ジャビコ山そのものということか」


ダイク教授「そんなところでしょう。今後は2体の大巨竜をそれぞれ“大巨竜アヴァ”“大巨竜ジャビコ”と呼称します。仮にその大巨竜ジャビコの進行速度が大巨竜アヴァと同程度とした場合、両者の衝突点は連合王国のティラオ市あたりということになる。王都フルマティは進攻の過程で蹂躙されることになりますな」


 教授は自身のナップザックからガターニアの地図を取り出し、位置を確認した。


ミキオ「無論、そうはさせない。ミキオⅡ、ジャビコ聖国だ」


 青のアンチサモンカードを使おうとするおれをミキオⅡが手で制した。


ミキオⅡ「お前は王都に戻りMPを回復させておけ。ほとばしれΛ(ラムダ)! いにしえの契約にのっとり、我をかの地に転移せよ! ジャビコ聖国、ジャビコ山!」




 一方その頃、連合王国近くの北方海では大巨竜アヴァと巨大魔人ダイガーラが一進一退の攻防戦を繰り広げていた。押し進もうとする大巨竜アヴァをダイガーラが攻撃しながら力づくで押しとどめており、大巨竜アヴァはボロボロになっているがそのパワーはすざまじく、すでに両者はマッハマー地方の海岸にまで接近していた。


ガーラ「大巨竜よ、ここまで進撃を許してしまったが、既に貴様の体は崩壊寸前! 勝負は決したな!」


大巨竜アヴァ「ガ…グア…」


 海岸線には連合王国の重魔法兵団が待ち構えていた。500人の魔導兵から成り、数々の魔法兵器を装備している強力な軍団だ。


重魔法兵団隊長「重魔法砲、撃てーっ!」


 ドーン! 2枚の魔法陣による反発を利用した重魔法砲が沿岸から大巨竜に向けて発射される。何しろ相手が超巨大なためあまり効いていないが、それでも足止めするくらいの威力はあるようだ。


重魔法兵団隊長「第2号砲、第3号砲、続けーっ!」


 ドーン! ドーン! 中世の攻城兵器のような重魔法砲から次々に砲弾が発射される。海上に白煙と爆音が広がりまるで艦隊戦だ。


ガーラ「ウォオーーッ!」


 バスン! ボスン! ダイガーラの巨大なパンチが次々に大巨竜アヴァの体にめり込み、金属の内部パーツが露出している。単純だがやはり物量兵器が効果あるようだ。大巨竜アヴァの体は穴だらけとなり、もはや誰の目にも勝敗は明らかに見えた。


ガーラ「ぬおおっっ!!!」


 ダイガーラが大巨竜アヴァの顎を両手で引き裂き、頭部が上下に割られた。恐るべき巨大魔人の膂力だ。


副官「おおっ!」


将軍「やったか…!」


 連合王国軍の将軍であるハーヴィー・ターンとその副官も巨大魔人のパワーをまのあたりにして驚きを隠せない。大巨竜の顎は切り裂かれ、首まで裂け目が伸びている。だがその直後に大巨竜の体が発光し始めた。


ガーラ「…何だこれは、何が起きている…」


 光の中で大巨竜アヴァの崩壊寸前の体が裂け、まるで蛹から蝶が羽化するかのようにもうひとつの体が現れた。極彩色の翼をもった飛竜である。


副官「これは…!」


将軍「大巨竜アヴァ、第二形態といったところか」


大巨竜アヴァ「キシャアアアッッ!!!」


 羽化を終え飛竜のような第二形態となった大巨竜アヴァは飛沫を上げて西の空へ飛んでいった。




 一方、ミキオⅡが中央大陸ジャビコ聖国にある霊峰ジャビコ山に向かうと、預言通り既にこちらも大巨竜が目覚めていた。背中に山を残したまま立ち上がった亀のような竜である。


大巨竜ジャビコ「ゴガアアアーー!ッ!!!」


 ズシン! ズシン! ものすごい重量らしく、歩いただけで地面がめり込み砂煙が立ち込めていた。その咆哮は自身の山々に反響しやまびことなって返ってくる。


ミキオⅡ「これまた預言通りだな…さてどうするか…あんな化け物、打つ手がない。文字通り山を相手に戦うようなものだぞ」


 ミキオⅡが戸惑っていると、はるか東の空からひと振りの剣が風を切り裂くスピードで飛んできた。言うまでもない、万物分断剣ことBBである。


ミキオⅡ「BB!」


万物分断剣「ミキオにミキオⅡの助けになってくれと言われてな。今日はやたら飛ばされる日だわい」


ミキオⅡ「海の大巨竜は?」


万物分断剣「魔人が善戦している。ことによるとアヴァの大巨竜は上陸前に倒せるやもしれぬ」


ミキオⅡ「そうか、さすが地上最強の魔導騎士だ。ではあっちは任せておいて良いかもしれないな」


万物分断剣「大巨竜は機械仕掛けの人造生物だと魔人が言っておった」


ミキオⅡ「! …なるほどな、どうりで召喚魔法が効かないわけだ。だがそれならば転移魔法は使えるぞ。BBよ、おれにその身を預けてくれるか」


万物分断剣「ぬ…策があるのだな?」


ミキオⅡ「ある。闇雲に切り進んで行くよりも遥かに効率的な策だ」


ミキオⅡは右手に万物分断剣を取り、左手で首から下げたチェーンネックレス型の魔法装具を持ち上げて呪文を詠唱し始めた。


ミキオⅡ「ほとばしれΛ(ラムダ)! いにしえの契約にのっとり、我をかの地に転移せよ! 大巨竜ジャビコの体内!」


 黄金のネックレスから放たれた光に包まれ、万物分断剣を携えたミキオⅡは黄金の粒子と化し、大巨竜ジャビコの体内にて再構築した。あまりの超巨体のためその内部には充分な空間がある。


ミキオⅡ「さあ、狂戦士(バーサーカー)になったつもりで行こうか!」


 ミキオⅡは万物分断剣を大きく振り上げ、大巨竜ジャビコの体内を手当たり次第に斬り壊していった。万物分断剣はその名の通り物質のみならずビームやエネルギー、プラズマまでも切り裂く神剣だが、通常の物質に対してもその刀身に帯びた神気で斬るため、事実上斬れぬものはないのだ。


ミキオⅡ「ふん、はっ、ふうっ! そうりゃあ!」


万物分断剣「ミキオⅡ、加減せんか! 刃こぼれしたらどうする!」


ミキオⅡ「すまんBB、だがもう少し行かせてくれ!」


 架空台座に乗り高速で大巨竜ジャビコの体内を飛行し無闇矢鱈に斬り進むミキオⅡ。彼の思いきった作戦によって大巨竜ジャビコはその鈍重な歩みを止め、唸りをあげて苦しみ始めた。


大巨竜ジャビコ「ヴァアー…ヴィー、ヴォオオオオ…」


ミキオⅡ「行けるな、このまま中枢部まで行こう!」


万物分断剣「待てミキオⅡ。大巨竜が活動を停止したようだぞ」


ミキオⅡ「うむ、知らぬ間に中枢部に到達していたのかもしれん。いったん外に出てみよう」


 ミキオⅡはネックレス型の魔法装具を使い大巨竜ジャビコの体外に転移した。なるほど巨山そのままの大巨竜ジャビコは一切の動作を停止し、眼の光さえも失っていた。


ミキオⅡ「あっけないな。大巨竜と言えどやはり獅子身中の虫には勝てないか。これはミキオオリジナルの出番は無さそうかな」


大巨竜アヴァ「キシャアアアーーッッ!!」


 その時、天空を切り裂くような咆哮とともに飛竜のように変貌した第二形態の大巨竜アヴァが飛来した。恐るべきスピードでマッハマーの沿岸より到来したのだ。理解できない事態にミキオⅡは呆然としていた。


ミキオⅡ「…何だあれは」


万物分断剣「もしや、海の大巨竜アヴァ…?」

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