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第127話 悶絶!映画スーパーヒーロー大戦観賞会(第二部)

 エリーザ、アルフォード姉弟の末の妹プティに英雄譚の素晴らしさを教えるためという理由でなぜか日本に来て皆で一緒に映画“スーパーヒーロー大戦”を鑑賞することになったおれたち。おれが子供の頃にレンタルビデオ等で見て大好きだった“栄光の七人ライダー”はゴーカイレッドとかいうやたらポンポン変身する戦隊ヒーローにものの数秒で全滅させられ、急な展開におれたちはやや呆気に取られてた。


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ゴーカイレッド「すべてのライダーは俺が倒す」

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アルフォード「この男は何を言ってるんだ? ライダーも戦隊も、両方ともヒーローじゃなかったのか?」


エリーザ「いや、見ろアルフ、今度は別なのが出てきたぞ」


 おれたちが困惑しているうちに画面の端から見たこともないピンク色の仮面ライダー?が西部劇調のBGMに乗ってすーっと登場した。




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仮面ライダーディケイド「ならばすべての戦隊は俺が倒す」

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エリーザ「なんだこいつは!」


雷田菊「仮面ライダーディケイドだね。様々なライダーに変身する能力を持つ」


アルフォード「ならそいつ一人がいればいいのではないか?」


エリーザ「こいつもライダーならなぜ仲間のライダーがやられているのに攻撃に加わらなかった! かっこつけおって!」


 ここで“仮面ライダー×スーパー戦隊 スーパーヒーロー大戦”というアバンタイトルが入り、場面は変わる。仮面ライダーフォーゼとかいうこれも見たことのない、とんがり頭の白い仮面ライダーが出てきて「やっぱり宇宙は広いなぁ」などとしょうもないことを言っている。


永瀬「わ、凄い! 福士蒼汰だ!」


ミキオ「へえ、こんなのに出てたのか」


 変身前のとんがりライダーは福士蒼汰だった。作中のキャラクターなのだろうか、80年代風のつっぱりスタイルである。ここにもさっきの小澤亮太、ゴーカイレッドが出てきて福士蒼汰ともめて勝負を初める。戦隊もライダーも妙に好戦的だ。一旦場所を変えて話し合うとかいうわけにいかないのか。まるで目が合ったらすぐに喧嘩になる田舎の不良だ。戦ってるうちに他の戦隊が止めに入ってきたが、これが海賊戦隊の赤以外のメンバーらしい。


永瀬「えっえっ、青いの山田裕貴?! 凄い! 何あの髪型!」


 海賊戦隊の青は山田裕貴である。ピンクの人はちょっと前にグラビアで活躍してた小池唯だ。他の色の人はよく知らない。


エリーザ「あの青は有名なのか」


永瀬「超売れっ子ですよ。乃木坂の人と結婚して」


 などと言っていると唐突に砂煙を巻き上げてもっとイケメンが走ってきた。俺もよく知ってる俳優である。


永瀬「えーっ、吉沢亮?!?! なんで??」


アルフォード「イチカ殿、この男もさっきの青くらい有名なのか」


永瀬「もっと売れっ子です! NHK大河で主役!」


プティ「…結構イケメン出てくる…」


 プティは次々に出てくるイケメン俳優に興味があるようだ。それにしても新人の頃のスターたちが結構出てくるのには驚く。よほど制作陣に見る目があるのか。しかし吉沢亮の変身したゴース(ポケモン)みたいな丸顔の仮面ライダーも一瞬でゴーカイレッドに斬られて消えた。


プティ「あ、イケメン斬られた…」


ミキオ「目まぐるしいな、これでライダー何人やられたんだ」


永瀬「え、もう出番終わり? 吉沢亮もっと見たいんだけど」


 吉沢亮を斬ったあとゴーカイレッドは満足げに去って行った。そして場面は再び変わり、秘密基地のような場所にイケメン感のやや落ちる人たちが登場する。特命戦隊ゴーバスターズとかいう戦隊と、その司令官だ。


永瀬「え、この司令官の俳優って、あの一件の…」


ミキオ「永瀬、中学生がいるんだから」


 どうしてこの女は言わなくていいことを言いたがるのだろう。敵襲の報せを受けその司令官から出動命令が下り特命戦隊が出動すると現場に“ぺこぱ”の松陰寺太勇みたいな目張りを入れた男が出てきた。昔ながらの目出し帽スタイルのショッカー戦闘員を引き連れている。


エリーザ「何だこの珍妙なのは…」


プティ「おばさんパーマ…」


雷田菊「これは冒頭に登場した仮面ライダーディケイドこと門矢士だね。彼は大ショッカーという悪の組織の首領でありながら仮面ライダーも兼任しているんだ」


アルフォード「なんと!」


エリーザ「そんなことがあっていいのか、世も末だな」


ミキオ「万引きGメンでありながら万引き犯みたいな感じか」


永瀬「加湿器でありながら除湿機みたいな」


 やたらいろんなヒーローが出てきて覚えるのも大変だが、次に出てきたのはベルトにコインを入れて変身する課金制のライダーであるオーズとバース、それになんと泥棒が本業というディエンドだ。こうなってくるとヒーローとは何かという本質的な疑問が浮かんでくるが、要するにこの世界ではライダーと戦隊が激しく対立しており、ゴーカイレッドがライダー狩りを、仮面ライダーディケイドが戦隊狩りをしているという状況らしい。オーズもバースもあっという間にディケイドに倒され、泥棒ライダーと、『仮面ライダーオーズ』に登場したという脚の綺麗な一般人の女の子、海賊戦隊の青(山田裕貴)、緑というどうしてそのチョイスになったのかわからないメンバー4人を主軸に物語は進む。たまたま役者が空いていたのだろうか。




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ゴーカイグリーン「君、ライダーだったの?」 


ゴーカイブルー「ライダーがなぜ俺たちを助ける」


ディエンド「僕にはライダーも戦隊も関係ない、僕が興味あるのはお宝だけさ」

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 どうやらこの泥棒ライダーは“宇宙最高のお宝”がこの騒動の原因の一つと考え、それを手に入れるために行動しているらしい。


ミキオ「しかし泥棒の仮面ライダーとは。基本は子供番組だろうに教育上よろしくないな」


永瀬「まあでも山田裕貴主演映画だと思えばそれなりに観れますよ。この泥棒のライダーもなかなかイケメンだし」


 そしてついにおばさんパーマに松陰寺太勇みたいな目張りのディケイド(井上正大)と、外はねパーマのゴーカイレッド(小澤亮太)が邂逅する。ゴーカイブルーの山田裕貴はゴーカイレッドになぜこんなことをするんだとすがりつくがまるで相手にされない。ディケイドはいろんなライダーに、ゴーカイレッドはいろんな戦隊に変身するので実力伯仲、なかなか勝負がつかず水入りとなり山田裕貴たちは自分たちの家である宇宙船に帰っていった。


 そしてここからはこの映画最大の迷シーン(?)、山田裕貴と泥棒ライダーの刃物振り回しての喧嘩になる。両者とも仲間であるディケイド、ゴーカイレッドに切り捨てられた思いから錯乱しており、まるで浮気されておかしくなっているカップルの片割れ同士の修羅場だ。特に山田裕貴などは終始ベソをかいており本当にフラレた男のようで見苦しい。


アルフォード「なんだこいつは、みっともない!」


エリーザ「男の嫉妬は見るに耐えんな」


永瀬「どうしてもやっぱりそういう視点で見てしまいますよね」


プティ「展開が見えない…」


雷田菊「正直、ここからはこの映画最大の問題点に差し掛かってくるんだよね」


プティ「え…」


 かなり混乱はあったが、なんとこの後に最大の問題点が待っているという。波乱を含み不安になりつつも次回へ続く。

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