闇を知る光
果てしない絶望の中
それでも希望を諦めない彼の
闇と光を内包する笑顔が
どうしようもなく見たくなる、そんな瞬間がある。
生に飽いて死を求め
ただ闇に飲まれることを望んでいた彼が、
今も誰よりも死に惹かれ
笑って手を伸ばすような彼が、
本当に皆が追い詰められ
絶望しそうになったとき
まるで当たり前であるかのように
行くべき道を指し示した。
闇をどこまでも愛するように
光があることを疑わない。
死をどこまでも追い求めるように
生の持つ可能性を信じている。
彼の見せる危うさと強さに
多くの者が支えられた。
救ってもらった命の価値を追い求める者
共に守った命の数だけ信じようとする者
ただ友としてあった日々に感謝を抱く者。
そして彼らの告げる言葉が
彼の行先を照らし出す。
己に同じ光は追えないと
分かっているからこそ
その輝きを愛しく思う。
真紅に染まった両手を見ても
怯まない彼らだからこそ
あまり痛みを負わせたくはないと願う。
そして叶うなら
この取るに足らない命が
彼らの希望に少しでも力を与えられるように。
絶望を越える勇気を生む
最初の一歩を踏み出す為の
追い風になることができるように。
水底へと沈みゆく身で
こっそりほくそ笑みながら
ただ戯れに
つぶやきをこぼす。