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【完結】案内ギルドの新人さん~時の聖女と世界の秘密~【130万PV感謝!】  作者: ひろしたよだか


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【八の扉開】090)ニーア、危機を迎える。


 ギルドの元家主を名乗った女性はシャロさんと名乗った。一緒にいたもう一方はロビーさん。


 ロビーという名前になんか聞き覚えがあるなと思って記憶を遡ってみたら、前にゲオルさんがそろそろ戻ってくると言っていて、ウェザーが大きく反応した名前だ。


 ウェザーにはあの時はぐらかされたけれど、確か、フィルさんから、ポルク君達が預かっている案内ギルドの本来のギルド長だと聞いた。その人だけのギルドだったから、ギルド長という言い方が正しいのかは分からないけれど。


「シャロさん! 帰ってきたんですね!」


 私とシャロさんのやりとりを聞きつけたウェザーがギルドから駆け出してくる。その様子はまるで年相応の少年のようだ。


「ウェザー、元気だったかい? それにしても、アンタ、そろそろ外観をちゃんとしな。こんな見た目じゃあ客も逃げるよ」


「けど、ウィグラさんたちが造った建物だから、、、」


「ウチの奴らの思い出を残してもらえるのは嬉しい話だけどね、もういない人間の思い出ってのは更新されることはない。朽ちてゆくだけならいっそ消してしまったほうがいいことだってあるのさ」


「ウィグラさんはまだどこかで生きているはずだよ」


 抗議するウェザーを軽くいなすシャロさん


「ま、かりにウィグラが生きていたとしても、こんなオンボロな建物を見たら「こんなもの建てたのは誰だ!?」って言うはずさ」と笑う。


「シャロ、なんでもいいけれど中に入って話した方がいいんじゃないの?」と勧めたロビーさんの言葉に従い、ゾロゾロとギルドの中へ。


 ロビーさんだけは「私は私のギルドの様子を見にいってくるわ。こっちも知らない間に留守を預かってくれている子達がいるみたいだから」と言って、一人反対の方向へと歩いていった。


 旅装を解いてくるというシャロさんが、ウェザーが守っていた部屋へと戻ってゆくと、私たちはお茶の準備を始める。聞きたいことはたくさんあるけれど、おいおいでいいだろう。


 シャロさんが準備をしている間に、買い物に出掛けていたフィルさんが戻ってきた「あら! シャロさんが帰ってきたのね〜」と嬉しそうだ。


 キッチンで2人。私はフィルさんに聞いてみる


「フィルさんはシャロさんと面識あったんですね」


「少しだけね〜。トッポさんと双子の次に入ったのが私だったから。私がこのギルドに入って少しして、シャロさんは「後は任せた。後は老後を楽しむから、このギルドは好きにしろって」言ったっきりどこかに行っちゃったのよね〜」


「どこかに、、、」


「そう。ここに帰ってきたの、5年ぶりくらいかしら?」


「そんなに!?」


「、、、、先にニーアちゃんに話しておくわね。本人は認めないかもしれないけれど、シャロさんはウィグラさんを探しているんじゃないかしら?」


「さっきちょっと聞きましたけど、ウィグラさんって、多分、シャロさんの旦那さんですよね?」


「そうよ」


「死んだんじゃなくて行方不明ってことは、、、無限回廊で?」


「それなら対応や、諦めもつくと思うのだけど、、、」


「無限回廊じゃないんですか?」


「これはあくまで予測なんだけど、、、ウィグラさんは無限回廊以外から異世界へ飛ばされた可能性があるの」


「それって」


「そう。私たちの逆のパターンよね」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「いやぁ、悪いわね!」


 旅の垢を落としてさっぱりした表情のシャロさんが、お茶ではなくお酒を希望したので、まだ早い時間だけど酒盛りになった。

 その頃にはレジーやダクウェル、トッポさんも帰ってきて勢揃いしていたので屋内は随分と騒がしい。


「しかし増えたわね。私が出た時にいたのはトッポとフィルくらいだったじゃない」


「まぁ色々あってね」とそのように言いながら、ウェザーが一人一人紹介してくれる。その都度へえ、とかほうとか言いながら、足を組んでお酒を舐める姿はとても堂に入っている。一言で言えばかっこいい。


「それでねシャロさん、実は上級通行証(パス)を手に入れたんだ」


 ウェザーが上級通行証(パス)のことを伝えると、グラスを傾けていた手を止めた。


「なんだって? どうやって、、、、」そのように言ったまま絶句。先程まであんなに余裕のある感じだったシャロさんがこんなふうに驚くだなんて、やっぱり上級通行証(パス)は特別なものなのだと実感する。


上級通行証(パス)が、、、、そうかい、、、それじゃあ、挑むのかい? “奥”へ」


「うん。もう少ししたら行こうと思っている」


「そうか、、、、奥へ、、、ま、準備だけはしっかりしておきな。アンタに言うのは野暮かもしれないが、奥は腕に覚えがあっても命の覚悟がいる場所だ」


「うん」


「その覚悟があればいい。さ、せっかくだ、今までのアンタらの武勇伝でも肴にしながら飲もうじゃないか!」


 その後いろいろな話題で盛り上がり、私たちが就寝するため部屋を出た後も、ウェザーとシャロさんはずっと話し込んでいた。5年ぶりと言っていた。つもる話もあるんだろうな。そんなふうに思いながら私はゆっくりと眠りについた。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 翌朝早々に私はシャロさんに呼び出された。


 連れていたかれたのはシャロさんの自室だ。と言ってもあまり調度品はなく、簡素な感じ。元々住んでいたような雰囲気がない。まるで一度、部屋にあった家具を引き払ってしまったみたいだ。


「えっと、どんな御用ですか?」


 呼び出された理由がわからずに、シャロさんの前に立ちすくむ私。


「回りくどい話は面倒だ。単刀直入に行こうじゃないか」


 そのように言いながら私に近づいたシャロさんは


「ニーア、アンタは今日でこのギルドを辞めな」



 そう、言い放ったのだった。



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