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【完結】案内ギルドの新人さん~時の聖女と世界の秘密~【130万PV感謝!】  作者: ひろしたよだか


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【七の扉③】077)予想し得ない展開だったので。


 (ニーア)が選んだ扉に挑戦するという、なんの冗談か分からない挑戦の日は明日に決まった。

 ウェザー曰く「この日は星の巡りがいいから」とのことで、一応考えてくれていたようだ。


 それにしたって無茶がすぎる今回の挑戦。パーティは私とウェザー、それにフィルさんとノンノン、それにハルウの4人と1匹。一番最初の扉とおんなじメンバーだ。これもウェザーが決めたのだけど、「一番ニーアが自然体で挑めそうな人員」とのことだった。


 ウェザーの気遣いは有難い。けれど、そんなところに気を遣ってくれるのであれば、むしろ私が扉を選ばなくて済む方へ思いを巡らせてくれた方が嬉しいのが正直な気持ち。


 けれど私のそんな思いは届くことはなく、明日、私はみんなの命を背負って扉を選ぶ。なんだかお腹が重い。


 受付で頬杖をつきながら憂鬱な面持ちで遠くを見つめる私を、後ろからちょんちょんと突く存在があった。振り返らなくても分かる。こんなことをするのは、、、


「レジー、やめて。」


 振り向きもせずに言った私の言葉に、「なんだ、バレてたのか」とレジーが回り込んできて「へいへーい、元気ないじゃん」と絡んでくる。


 レジーには申し訳ないけれど、今は相手をする気分じゃない。


「まあねー」と、簡単に返して再び遠くに視線を移すと、「なんだー連れないなー、私とニーアちゃんの仲じゃない」とさらに絡んでくる。


「レジー、悪いけど、今そんな気分じゃないの」私がちょっとだけ語気を強めると、「まぁまぁ、今度の挑戦、私もついて行ってあげようか?」と切り出してきた。


「ダメじゃないけど、、、なんで?」レジーは基本的に面倒くさがり屋だ。ウェザーから指名がない限りは自分から無限回廊に挑戦することはない。


「いやー、なんかニーアちゃんの背中に悲壮感が漂ってるからさ、せめて依頼人の3人組の面倒くらいは私がみてやってもいいかなって思って」


「レジー、、、」素直に嬉しい。私、レジーのこと見直したかも。


 感動する私に向かって、心なしか優しさが増した笑顔でレジーは続けた。


「それに、ニーアちゃんが扉を選ぶなんて面白イベントに私が参加できないなんてあり得ないもん! 期待してるよ幸運の聖女の姉御ちゃん!」


 ケラケラ笑いながら逃げてゆくレジー。もう! 私の感動を返してほしい! でも、レジーのおかげでちょっとだけ気持ちが軽くなったのも事実だ。


「うん。悩んでいても仕方ないか!」私は大きく伸びをする。


 私は素人だけど、私の周りには歴戦の人たちがいるのだ。たとえハズレの扉を選んでしまったとしても、みんながいればきっと大丈夫!



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 、、、、と開き直ってはみたものの、無限回廊に来てみればやっぱり尻込みしてしまう。


「姉御! 早く選んでくれよ!」トラン君たちの期待に満ちたキラキラした視線が痛い。


「姉御お〜ぅ、早く選んでくーれーよ〜」ニヤニヤしながら乗っかってくるレジーの視線が憎い。


 ウェザーからは事前に「依頼人の3人は荷物みたいなものだから、選ぶのは手前から10番目の扉までにして」と言われている。


 ちなみに3人組のギフトはトランが火、チークが水、カディスが土の加護を得ている。

 トランは手に持ったものを結構な熱さまで熱することができる。チークは泥水をそれなりに綺麗にできる。飲用にできるかは水の汚れ具合次第。カディスは土で壁を作ることができるけれど、強度はそこそこ。


 端的に言って揃って微妙な能力だ。けれど、別にトランたちのギフトが普通の人よりもずっと劣っているかといえば、そうではない。

 ウチのギルドにしても、ゲオルさんや放火魔、ジーノさんなんかもとんでもないギフトを持っているのでついつい感覚がずれがちだけど、トラン君たちの方が普通なのだ。


 3人のギフトだって日常生活であれば、十分に役に立つ場面がある。普通の人たちに過剰なギフトは余計なのだと思う。


 多くの人々がトラン君たちのようなギフトだからこそ、冒険者という家業が成り立つともえいる。


 そう考えると、やっぱりシグルのギフトは結構強力な方だったのだ。一般的なギフトの中では。無限回廊に挑む人たちがみんな普通でないだけなのだ。


「ア、、、、ーア、、、、、ニーアったら!」


 レジーに揺さぶられて思考の海から現実に引き戻される。現実逃避していたみたい。


「他のパーティは皆扉を選び終わったし、そろそろ決めようよ」


「あ、うん。えーっと、、、」


 大理石のような滑らかな壁に埋め込まれた扉。同じように見えて、それぞれに別の模様が仄かに光っている扉。改めてみても本当に不思議な空間だ。


 一つ一つ、左右にある扉を見ながら進む。手前から3番目の右の扉は光が消えてくすんでいる。この扉は他のパーティーが使った後だ。


 6番目の扉。左側。なんか嫌な感じがする。ここだけはやめたほうがいいかな。


 7番目の扉は両方なんにも感じない。最も、6番目の扉以外は特になんの感情も湧かなかった。


 そして8番目の扉。右側。


「あれ?」私はその扉の前で立ち止まる。


「どうしたの?」フィルさんが聞いてくる。


「うーん、一応、10番目まで見てみますね」ウェザーに言われたラインの扉まで見たけれど、気になったのは6番目と8番目だけだ。


「どうだった?」今度はウェザーが聞いてくる。


「えーっと、6番目の左側の扉は凄い嫌な感じだった。で、8番目の右側は、なんていうかちょっと不思議な感じ」


「不思議な感じ?」


「何がどうっていうのはよく分からないけど、、、」


「ちょっと僕も見てみようか」とウェザーが8番目の扉を眺め始め、後ろから3人組も興味深そうにのぞいている。


 ウェザーが8番目の扉を眺めている間「6番目の嫌な感じって?」とレジーが聞いてくる。「こっちは絶対開けたくない感じ」と伝えるとふらふらとそちらの扉へ。私も気になってなんとなくついてゆく。


「、、、私には何も感じないなぁ」


「そう? なんか嫌な感じしない?」




 改めて扉を眺めた瞬間だった。




 私は後ろから誰かに強い衝撃で押され、6番目の扉に飛び込んだ。





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