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【完結】案内ギルドの新人さん~時の聖女と世界の秘密~【130万PV感謝!】  作者: ひろしたよだか


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【五の扉開】052)教会の使者①鼻持ちならない依頼人


 急に忙しくなった。


 原因ははっきりしている。カインとの勝負だ。カインが言い逃がれできないように噂を広めた結果、それなりに知られたゴーウィン商会に勝った、案内ギルドとして有名になってしまったのだ。


「ま、一過性のものだから、しばらくすれば落ち着くよ」とウェザーは言っていたけれど、現状は同業者のポルク君とラザ君に臨時で手伝ってもらうほどだ。


 けれどこの忙しい中、逆に(ニーア)が無限回廊に挑むことは無くなった。理由は簡単、うちのギルドには受付向きの人材が不足しているのだ。結果的に私は受付係にかかりっきりになっていたのである。


 ウェザーとトッポさんの2チームに分かれて、入れ替わり立ち替わり案内をこなしてゆく。


 依頼相手の実力によってウェザーは簡単に探索を切り上げてくるので、3日いないこともあれば、その日のうちに帰ってくる事もあった。そして帰還が早い時は大抵、依頼主と揉めた。


 そんなことを繰り返しているうちに、次第に客足も落ち着いてきた。今日は久しぶりに全員揃っての夕食である。ここのところ泊まり込みで手伝ってくれたポルク君とラザ君も交えて乾杯する。


「それにしても、変わった依頼が多かったよね」私が隣のポルク君に言うと、ポルク君は不思議そうに首を傾げる。


「変わった依頼、、、ですか? 特になかったような、、、」


「そう? だって、目的の宝も決まっていないし、明日とか明後日挑戦したいって、妙に急いだパーティばかりだったじゃない」


「、、、、あの、非常に言いにくいのですが、そっちが普通かと思いますよ?」


 ポルク君によれば一般的な無限回廊の挑戦者は、明確な目的や宝など決めないという。


「普通は自分達の実力や雇った冒険者ギルドのレベルに合わせて、案内人と相談しながら扉を決めて、お宝を手に入れることができるかは出たとこ勝負です」


「え? じゃあ急に無限回廊に挑むのは?」


「急ではないと思いますよ? 普通、何日も待ったりはしないので。遅くとも2〜3日中に挑まないと滞在費もかかるし、ギルドの人たちの雇い賃も嵩みますから」


 そのように説明されて、ようやく依頼に来た人たちと微妙に会話が噛み合わなかったことに納得がいった。「なんて宝をお探しですか?」とか、「目的の扉を探すのに何日待てますか?」なんて聞いたら、キョトンとしていたものなぁ。


「特定の物を探しに来た人なんて、よっぽどの事情があるか、よっぽど世間知らずかのどちらかです。大抵は案内ギルドで相手にされずに現実を知ります」


 心当たりがあるというか、心当たりしかない。


 思い返せば、思い出の味を忘れることのできなかったウルドさん。王族だから世間知らずといえば世間知らずなシャヒールさん、そして私たち姉妹。。。。うん。少数派はこっちだな。


 私がポルク君に「今までは特定の物を探しにしか、無限回廊に入ったことなかったから」と返すと、「それは、、、とんでもないですね、、、」と複雑な顔をされた。


 ともあれようやくギルドの周囲も静かになり始めた頃、その依頼主はやってきたのだ。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「ホルプルスという獣の狩がしたい。案内せよ」


 これぞ尊大といった態度のちょび髭の男が、受付に来るなりそう言った。後ろには多くの屈強な従者が侍っていて、いかにも鼻持ちならない感じが伝わってくる。


「はぁ」


「娘、出発日を相談して参れ、あと茶を入れてこい」


 そう言うとギルドから出て、従者に用意させた傘の下の椅子にどかりと座る。


「あの、、、よければ中に、、、」


「そんな小汚い建物の中で待つのは耐えられん。ここに連れて来い!」


 と煩そうに手を振る。


 感じわるぅ。




「あ、お断りですね」


 やってきたウェザーは案の定断った。


「なんだと?」


「見ての通りの弱小ギルドです。ご満足いただけるような獲物には近づくことすら叶いません」


「別に貴様らが近づかなくても良い。狩るのはわしらじゃ。案内だけしたら背後で見ておれ」


「その貴方たちの実力に不安があるので無理だと言ってるんです」


 うすら笑顔で伝えるウェザーに、ちょび髭の後ろに控えていた屈強な人たちの視線が鋭くなる。視線だけで「うひゃ」って声に出そう。


「わしを誰だと思っておる? ドノバンぞ?」


「ドノバン? さぁ? どなたです?」


「これ以上ふざけた態度をとると、、、」


 ドノバンの取り巻きがこちらに一歩足を出した瞬間、


 


 ドガン!!



「ぬお!!」



 大きな音がして、私たちとドノバンたちの間に槍が突き刺さり、土煙を巻き上げた。すごい音がしたと思ったら、地面が少し抉れていた。この槍は見たことがある、ノンノンの槍だ。


 突然のことにドノバンが仰け反って、椅子からひっくり返っている。


「ドノバン様!!」取り巻きが慌ててドノバンを起こすのを涼しい顔でみながら、ウェザーが続けた。


「これ以上ふざけた態度を取ると、何です?」


 その場から一歩も退いていないウェザーに、苦々しげな視線を向けるドノバン。私も同じ場所に立ったままだ。最も、私の場合はびっくりして固まっているだけだけど。


「ふん! 出直すぞ! 覚えておけ!」


 私が固まっている間に、ドノバン達は立ち去ってゆく。


「やっぱり名前が売れると、変なのがくるよなぁ。めんどくさい」


 全てが終わったようにギルドへ戻ってゆくウェザーだったけれど、この話はこれで終わらなかったのである。



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