【幕間2-2】037)レジー達のお詫び
話の切りの都合で本日ちょっと短めです。
「ほんと悪かったって! な?」
食用ではあったらしいけれど、カエルの卵の干したものを食べされられて気絶した私。その後レジーとロブさんはフィルさんに凄く怒られたらしく、今日はお詫びに街まで美味しいものをご馳走になるため連れてこられた。
私たちのギルドでフィルさんを怒らせるのは、一番やってはいけないことだ。ギルドのお財布と台所を預かっているので、ご飯が無しになる。
ちなみに、ギルドメンバーはそんなことしないけれど、力づくでフィルさんに挑もうとすれば、文字通りにぶっ飛ばされる、数秒の空の旅を楽しめることだろう。
というわけで、フィルさんより私の許しを得るまでご飯抜きを言い渡されたらしい。そこで2人は慌てて私の接待を始めたというわけだ。
ブレンザッドにはお金持ちも、無限回廊で一攫千金を成し遂げた人もいるため、とても水準の高い料理店が多くある。その中でも元料理人として舌の肥えたロブさんが指折りというお店にやってきた。ロブさんのおすすめということで最初は警戒したけれど、とても美味しい。
特に野鳥のタレ焼きと、今食べているデザートは絶品。野鳥のタレ焼きはタレが甘くて、皮はパリパリ。なのに中は柔らかくてジューシー。デザートはパイ生地とクリームが幾重にも重なった手の込んだ品で、サクサクと甘味が渾然一体となって思わず表情が綻ぶレベル。
「どうだ、うまいだろう」
自身もデザートを口に運びながら満足げに頷く。
「ね、美味しかったでしょ! だから機嫌直して!」レジーが何とか許しを得ようと切り込んでくる。
私はため息をつきながら「はぁ、もういいですけど、、、でも、もう絶対に審判とかやりませんから」と宣言すると、2人はホッと胸を撫で下ろした。
けれどその後すぐに、「しかしレジー、ここの店選びも、支払いも私だ。それで自分も許しを得ようというのは虫が良すぎるだろう」と、ロブさんが苦言を呈す。
「、、、だって、この店、とても私の財布じゃあ奢れねぇもん。この間の食材でお金使っちゃって、全然ないもん」
、、、あんな食材を買うのに、大枚をはたかないでほしい。
それからレジーはちょっと考えて、「そうだ!」とポンと手を打つ。
「それじゃあさ、ニーアに私の盗賊の技、一つ教えてやるよ。それでどうだ?」
「え、良いの!?」
それは正直本当にありがたい。現在、私が無限回廊で役に立てる部分というのはほとんどない。せめて何か。なのでレジーのように戦力になっている人から技術を教えてもらえるというのは望むところだ。
「そうだなー。まずナイフは前に言った通りニーアには向いてないな。宝箱の解除は、ニーアには無理かな。ニーア不器用そうだし。トラップの解除や仕掛け、、、うーん、ニーア不器用そうだしなぁ」
「ちょっとレジー、そんな不器用不器用言わないでよ! レジーみたいに器用じゃないけど普通だよ!? っていうか喧嘩売ってる!?」
「ああ、ごめんごめん。別に悪気があって言ってるわけじゃないんだ。盗賊って結構特殊な職業だからね。手先の器用さが重要だから。。。あ! じゃあ地図作成なんてどう? おまけに簡単なブービートラップの作り方も教えるよ」
「マッピング、、、、って何ですか?」
「地図を作ることだよ。いつも知らない場所に行くから、地図の書き方とか覚えておくと便利だよ」
それなら器用さ普通の私でもできそうな気がするし、ちゃんと覚えれば結構便利じゃない? うん。よさそうな気がしてきた!
「私マッピング覚えたい! ぜひ教えて!」
「よし、じゃあ決まりね!」
こうして私はレジーから地図作成を教わることになったのだ。
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それから数日はレジーがつきっきりで、地図作成の方法を教えてくれることになった。私は慣れない作業にウンウン唸りながら、頑張って覚えていく。
一応私の大切な仕事であるギルドの受付も行いながら、受付カウンターで教えてもらっているのだけど、お客さんなど来ないのでこういう時は大変助かる。
地図作成に必要な道具も揃えて、どうにかこうにかレジーに「あとは実践を重ねるのがいいよ」とお墨付きをもらった頃、受付にのっしのっしと大柄な男性がやってきた。
その男性、ゲオルゲガーさんの来訪は、私が新しい扉に挑戦することを告げる、始まりのベルとなった。




