表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】案内ギルドの新人さん~時の聖女と世界の秘密~【130万PV感謝!】  作者: ひろしたよだか


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/157

【三の扉⑨】033)雪の大地の宝物


 沈みゆくゴーレムから何かを掴んで戻ってきたレジーは、盗賊(シーフ)らしい身軽さであっという間に私たちの元へと戻ってきた。


 それから少ししてノンノンも槍を担いで戻ってくる。先ほどまでボワっとなっていたノンノンの尻尾はいつものサイズに戻っている。


 ノンノンが放った攻撃も気になるけれど、まずはあんな大きなゴーレムから得た宝物だ。

 (ニーア)やシャヒールさんがレジーに駆け寄り、手にした物を覗き込む。レジーの掌の中にあったのは、とても、とても透き通った水晶のような塊。


「これは?」


 依頼主であるシャヒールさんが、期待と不安に満ちた顔でウェザーへと振り返る。ウェザーはノンノンが拾ってきたゴーレムのかけらを確認しながら、「やっぱりこれはアイスゴーレムだね」なんて話をしていたけれど、こちらに向き直り説明してくれるようだ。


「アイスゴーレムのコアですよ。記録に間違いがなければ、ゴーレムを呼び出すことができる。レジー、ちょっと貸してくれるかい」


 レジーからコアを受け取ったウェザーは、そのままシャヒールさんに渡して「先ほど見たゴーレムをイメージしてください」という。


 シャヒールさんは困惑しながら受け取り、言われるがままに目を閉じた。


 するとどうだろう、光の粒が集まってきたと思ったら、私達の目の前に、先ほどよりもずいぶん小さいけれど確かにゴーレムが現れた。私は慌ててノンノンの後ろに隠れる。シャヒールさんは驚愕の表情のまま固まっていた。


 「これはシャヒールさんが生み出したアイスゴーレムなので、シャヒールさんの意志で動かせるはずです」


 ウェザーの言葉にぎこちなく頷き、シャヒールさんが再び何かを念じると、ゴーレムはゆっくりと動き始めた。

 それを確認したシャヒールさんは、まだちょっと信じられないとい表情ながら、「、、、これは素晴らしい宝だ」と呟く。


 その言葉を聞いたウェザーは「依頼主に納得いただけたのなら何よりですね。じゃ、帰りましょう」とさっさと森の方へと足を向けるのだった。


 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「あ、おかえり。暗くなる前でよかったよ」


 そんな言葉でトッポさんに迎えられた私達。目当てのものは手に入れたので、早々に撤収準備だ。暗くなればもっと気温が下がる。それまでには帰りたい。


「そういえば、ゴーウィン商会は帰ってきませんでしたか?」


 作業をしながらトッポさんに聞く。帰還の扉が残っていて、トッポさんがのんびりとしているのでまず戻ってきていないだろうなとは思いつつも、念の為聞いてみた。もっとも、トッポさんはいつものんびりしているのだけど。


 私はトッポさんに聞いたのだけど、返事をしたのはウェザーだ。


「氷の洞窟は最深部が6階と聞いているし、床は凍って滑るからそう簡単に帰ってこれないよ」


「そうなんですか」


 ゴーウィン商会はともかく、セラージュ王子は少しかわいそうな気がする。

 一年中暑い国だって言ってたから寒いのには慣れていないだろうし、それに、扉に入る前の反応。

 多分だけど、セラージュ王子はこんな手段を望んでいなかった気がする。そんな私の思いを知ってか知らずか、シャヒールさんが言葉を紡ぐ。


「セラージュは本当にこのような卑怯なやり方で王座を得ようとしたのであろうか」


 シャヒールさんの言葉には、嫌なやつだけど、こんな事はしないという気持ちが滲み出ていた。


「ま、大方、後ろ盾の大臣とゴーウィン商会が企てたのだろうけど、、、ただね、シャヒールさん」


 手を止めてシャヒールを真っ直ぐに見つめるウェザー。シャヒールも何かを感じ、ウェザーを見返す。


「セラージュ王子ってのがどんな人か知らないけれど、しょうもない悪巧みを止められず、しかも対策を人任せにして、今洞窟に間抜けな奴らと一緒に閉じ込められているというのが事実だ。正直、セラージュ王子が王位についた時の国の行く末は期待できたものじゃないよね」


 ウェザーの忌憚のないというか、ほぼ不敬な意見にびくりと体を震わせたシャヒールさんだったけれど、小さく頭を振って強い視線をウェザーに返しながら、


「その程度の輩と争っている私にも同じことが言える。そういうことであろう。貴殿の言葉に、私は反論する言葉を持たぬ。だが、私はこの旅路で自分が大きく成長した気がしている。故国に戻ったら、貴殿に失望されないような継承者となってみせよう」と宣言。



 その言葉を聞いたウェザーは「深読みしすぎだと思うよ」と小さく笑いながら撤収作業に戻った。




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「寒かった!!」


 無限回廊に無事に戻ってきた私たちを迎えてくれたのは、暖かな空気だ。


 撤収作業では「残された者たちに、テントをそのまま置いておいてあげるか」が話し合われた。

 けれど、最終的にウェザーの「扉の先は競争だって言ったのは向こうだから必要ないんじゃない?」という言葉で全て引き払ってから帰ってきた。容赦がない。



 シャヒールさんは手にした宝を大切に握りしめながら、部下の人の宿へと急ぐ。乗りかかった船で、私たちも同行する。


 ”記録預かり”という約束の効果は私が思っているよりも強力なようで、宿はゴーウィン商会以外の冒険者ギルドの冒険者が守っており、シャヒールさんは無事に合流することができた。


 ギルドの受付で一番最初に私に声をかけた年配の人が、シャヒールさんに抱きついて涙を流していたのが印象的だった。


 こうして、私たちは無事に、「冷たい宝物」を手に入れるという依頼を完了したのである。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] >全て引き払ってから帰ってきた。容赦がない。 積んだ雪に水を掛けて凍らせたり、火で溶かそうとした時に 有毒な煙を出す枝(※)を仕込んだりしていないので有情。(`・ω・´)キリッ ※ウルシ、…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ