【三の扉開】025)南の国からきた者たち
本話よりおまけでキャライメージ紹介も載せます。何となくの参考程度です。キャラメーカーサイトで作成しました。ニーア、ウェザー、フィル、レジー、ロブの5人分となります。本日はニーアの何となくのイメージです。
「うふふ〜」
相変わらずお客さんの来ない当ギルドの受付で、私はにやにやしながら棒を磨いていた。
横を通りがかったレジーが「うわっ」となんだか可哀想な目で見てから、ちょっと距離をとって出ていったけれど気にしない。この棒のおかげで私にとってお荷物以外のなんでもなかった能力が、もしかすると初めて役に立つかもしれないのだ。
この棒を手に入れたあの日以降、何度か試して分かったことがある。まず、この棒があれば私の瞬間移動の能力は発動できる。ただし、連続で移動は無理。一日2回位が限度みたいだ。それから移動自体はまだまだ不安定で、想像したところに移動するには練習が必要。最も、練習したら希望通りの場所に移動できるという保証はないけれど。
ま、ともかく棒のおかげで私のギフトに大きな進展があったのは事実だ。棒、なんか名前つけないとなぁ。名前、、、名前、、、ニーアロッド? 「マセン」うーん。スーパースティック。違うな。ニーアスペシャル、、、「ミマセン」
「スミマセン」
「ひゃっ!?」
私が棒を眺めながら名前を考えている間に、受付に人が立っていた。びっくりして思わず悲鳴をあげる。
「ア、スミマセン。あの、ココはミスメニアるのギルドでショウか?」
「こちらこそすみません! ミスメニア”ス”のギルドならここですが、、」
言いながら私は受付に立つ人達をジロジロと眺めてしまう。よく日焼けした肌に、見慣れぬ服装。明らかにこの国の人ではない。
私たちの国以外からも無限回廊に挑む人たちは引きも切らないから、他国の人も街中では珍しくないものの、話すのは初めてだ。
「アノ、、何カ?」
少々困惑気味のお客様に、私は慌てて「いえ! それで本日はどんな御用で!?」と口走ってしまう。馬鹿か私は。案内ギルドに案内依頼以外でお客様は来ない。
すると、代表して私に話しかけていた年嵩の人は、ちょっと言葉を選んでから、「つめたイ場所に、連れていって欲しいのデス」と言った。
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ひとまず事務所へと通して、ソファを勧める。お客様は5名。中央に年若い精悍な顔つきの一人が座り。先ほど受付で話しかけていた人と、同じく5人の中では年配に見える人がソファに座り。残りの2人は青年の後ろに手を組んで立つ。護衛ってことかな?
私が食堂でお昼を作っていたフィルさんに声をかけ、フィルさんがひょっこり顔を出すと、護衛っぽい2人は一瞬表情を歪めた。けれど、座っている3人は無表情だ。私はフィルさんにお茶をお願いすると、急いでウェザーを呼びにゆく。
昨日も星読みをしていたらしいウェザーを叩き起こして依頼人の希望を伝えると、「それならトッポも呼んできてくれる?」と頼まれた。事務所に戻ってフィルさんに聞くと「多分森の中で薪を拾っていると思う」との返事。
私が森へゆくとトッポさんはすぐ近くで薪を拾っていた。もう見慣れているのでなんとも思わないけれど、熊が枝を拾って集めている姿は、冷静に見るとなかなか不思議な光景だ。
「トッポさーん! ウェザーが呼んでますよ〜」
私が声をかけると、人の良さそうな笑顔を見せて「今行くよ〜」と返してくれる。私のギルドの癒しはハルウだけど、次点はこのトッポさんだ。
トッポさんを連れて事務所に戻ると、ソファの背後に立っていた2人が今度こそ武器を構えて警戒体制に入るも、中央の青年が手を上げて「良い」とひとこと言うと、すぐに武器を下ろした。
「部下が失礼した。では、話をさせていただいて良いか?」
年配の人よりもずっと流暢な私たちの国の言葉を操る青年は、私たちを一度見渡して、異論がないことを確認してから続ける。
「私はシャヒール。デオラド=シャヒール。スーラ国の王子である」と名乗る。
…王子って言った? 今?
「王子様がなんでこんなところに?」
「うむ、良い質問だ、娘よ」
あれ!? 今私声に出てた!? 王子から視線を移せばウェザーがやれやれと言った顔で私を見ている。
私の失態はともかく、王子はギルドに来た理由を滔々と語り始める。
シャヒールさん、様? の話によると、スーラ国は私たちの住む国よりもずっと南にあるらしい。一年中気温が下がらずとても暑い国で、それだけに「冷たいもの」が富の象徴として貴族たちに重宝されている。
スーラ国には現在、次期王の候補が二人いる。一人はシャヒールさん。もう一人は異母兄弟のセラージュさんというらしい。
スーラ国では現王が後継者を決めるのではなく、有力な家臣の支持を集めたものが王となる。2人は年も同じで能力も甲乙つけ難く、国内では両派閥に分かれてこちらの方が次期王にふさわしいと譲らず、日々衝突が起きているそうだ。そうして互いに決め手がないまま、ダラダラと後継者が決まらずに今に至っている。
このままでは国が割れると危惧した現王は、2人の取り巻き達にある課題を出した。「この国の宝になるような物を持ち込んだものを支持してはどうか」と。有力貴族もそれに賛意を示して、2人の王子は相争うように無限回廊の元へとやってきたのだ。
「先にも言ったように、私たちの国では”冷たい”と言うのはとても価値の高い物だ。私はなんでも良いから冷たい物を持ち帰りたい。是非協力してほしい」
そんな王子の言葉を聞いたウェザーは、相変わらず面倒臭そうな、渋い顔をするのだった。




