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【完結】案内ギルドの新人さん~時の聖女と世界の秘密~【130万PV感謝!】  作者: ひろしたよだか


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【幕間1-1】022)秘密の特訓の大半は秘密にできません


 ウルドさんは願いが叶って、何度も何度もお礼を言いながら自分の領地へと帰っていった。


 無限回廊の戦利品である大量の万能薬(エリクサー)の素は約束通り私たちの物となり、それらをロブさんが生成して小分けにして売り捌いたことで、当ギルドの財政状況が一時的に大きく改善された。


 ウェザーはもちろん、ギルドのお財布を預かるフィルさんが大変ご機嫌だ。


 売り払った万能薬(エリクサー)は半分だけ。残りの半分は自分達のギルドで使用するつもり。それでも結構な量が残っている。


 私たちが大量のエリクサーを売って荒稼ぎをしたことを聞きつけたジーノさんが、「紹介料をよこせ」とギルドに乗り込んできたけれど、ウェザーと喧々諤々やり合った結果、数本のエリクサーを市場価格の半額で譲ってあげることで、ほくほくしながら帰っていった。


 それ以外はこれといって特筆することもない、平穏で、とても暇な日々だ。


 夕食をみんなで食べたら、夜は自由時間。ここ最近、(ニーア)は自由時間になるとこっそりとギルドを出て、裏の森へと出かける。


 あんまり遠くに行くと真っ暗で怖いので、ギルドの明かりが見える程度の、少しひらけた場所まで来ると「よし!」と気合を入れた。


 私が夜な夜なこんな場所に来る理由はただ一つ。「ギフトの特訓」である。先日の洞窟では出番がなかったものの、いつか私の空間移動の能力が必要になる時がくるかもしれない。いざという時に出来ませんでは困る。場合によっては仲間の命に関わるのだから。


 私のギフト、今まではずっと「なんでこんなギフト」って思いながら生きてきた。自分の思った通りに使えるわけでもないのに、私のギフトを知った人は警戒心を顕にする。誰だって自由自在に移動できる相手は気味が悪いもの。本当はそんなこと全く出来なかったとしても。


 だから極力隠してきたし、自分から進んで使おうともしなかった。けれど、このギルドではすごく役に立つかもしれない能力だ。自由自在…というのは無理な気がするけれど、せめて自分の意思で空間移動ができるようにならないかと思ったのだ。


 …と、気合を入れて誰もいない森の中で「はっ」とか「やっ」とか色々やってみてはいるのだけど、現在のところ一度も空間移動が発動していないので、大変困っている。かといって同じギフトを持つ人もいないから、他の人に聞くというとこもできない。


「やっぱり……危ない目に遭うしかないかぁ」


 そのように呟きながら、木の上を仰ぎ見る。今までギフトが発動した時は、経験上、私が危険だと感じた状況だった。「危ない!」と思った瞬間、気がつけば違う場所に移動していたのだ。


 ただ厄介なのは「危ない!」と思ったからといって、必ず発動するわけではないということ。実際に砂漠で空中に放り出されたときは発動しなかったし。

 

 なので、自ら危ない思いをするのは本当に気は進まない。単に怪我して終了ということもあり得るというか、むしろその可能性の方が高い気がする。


 けれど現状何のとっかかりもないので、私の中の折衷案として、少し高い場所から飛び降りてみようという気持ちになった。登りやすそうな木を選んで、少し息を吐いて幹に手を掛ける。


 一応自分では一般的な女の子のつもりなので、木登りは得意ではない。どうにかこうにかよじ登りながら、一番近くの枝に手をかけたところで、枝の先から2つの光がこちらを照らしていることに気づいた。何かの動物の目、だ。私はそのまま固まり、しばし睨み合い。


「ニーアはここで何をしているのかな?」


 光の主が突然喋ったのに驚いて「きゃっ」と思わず枝を掴んでいた手を離してしまい、そのまま落下。どしんと尻餅をついた。地面が柔らかくてよかった。


「いたた…」


 お尻をさすっていると、セルジュさんがバサリと地面に降り立つ。


「驚かしたかな? 悪かったかな?」


 少し申し訳なさそうに、首をクリンとかしげるセルジュさん。


「ううん。私が勝手にびっくりしただけだから、気にしないで。それよりもセルジュさん。どうしてこんな場所に?」


「夜のお散歩だよ? ニーアが見えたから降りてきたよ? なんか不思議な踊りを踊っていたよ?」


 むう。私の努力は上空からは不思議な踊りに見えていたらしい。極めて不本意ではある。


「それで、何をしていたのかな?」と聞いてくるセルジュさんに、秘密の特訓の話をする。黙って聞いていたセルジュさん。話を聴き終えると、おもむろに口を開いた。


「安定して能力を発揮したいのなら、触媒を使えば良いのではないかな?」


「触媒?」


「そうかな? 例えば君と一緒にやってきた、炎の加護の少年は武器が大事だったと思うかな? 武器に炎を宿すといっていたかな?」


「…言われてみれば。でも、シグルの能力は武器に炎を宿すだったからじゃないの?」


「そうとは限らないかな? 水を出す能力の人は杖を持つかな? 水が出しやすいというかな?」


 なるほど、つまり、能力発動のスイッチとして道具を使うのか。もしくは道具を使うことで集中しやすくなるとか? うん。不思議な踊りを踊っているよりは効率的かもしれない。


「ウェザーに相談してみると良いかな? もういい時間だから帰って寝るべきかな?」


「うん。分かった。ウェザーに相談してみるよ! ありがとう。セルジュさん!」


 こうして私の秘密の特訓は、ほんの少しだけ進んで終了したのだった。 


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