やくそく!
サロンでの顔合わせが終わった後、ユニの部屋に戻ってきた。
その部屋の窓から見える時計塔の針は、16:30を刺している。
かなり色んなことがあったのにまだ1日も経っていないのか...
王国から逃げ出して、リンカに助けられて、サキュバスになって、ユニからの求婚を受けて、ユニをからかって気絶させて、サロンで顔合わせして...
今日1日が濃すぎる...
あれ?忙しかったから全く気づいてなかったが...今日はまだ何も食べていないな...
王国に囚われていたところは一日一食だったから空腹には慣れているはずだけど...
ぐぅ...
むぅ...お腹がなってしまった。
体が変わったことで我慢できなくなったのかな...
「あっ、あの...おゆうはんまでまだ時間もありますし、これ...どうぞっ!」
メアがポーチの中からクッキーを取り出した。
「いいの?ありがとう!」
そう、今この部屋には俺とユニとメアと3人でいる。
先程、サガワがユニの家族構成について俺が疑問を持っていたことに気づいてくれた。
それで教えてくれたのだが、ユニの父母は既に他界しており、アルケミー家はユニとメアの2人だけらしい。
王族2人って大丈夫なのか...
そう思ったが、どうやら魔族は長寿だし身体も強いし、子供を作ろうと思えばいくらでも作れるらしいので問題ないらしい。
え...ほんとに問題ないの?ユニの父母は他界したんだよね?
んー価値観...?的なのが違うのかもね。
っとクッキーをモグモグしながら考えてみる。
「これ、美味しいね!」
もらったクッキーはプレーンなやつだ。サクサクして紅茶にあいそう。
「おねー様と良く行くお菓子屋さんのクッキーなの...です...」
「ほー...そうなんだ。いいね。今度連れてってよ?あと敬語はいらないよ。」
「あ、うん。分かった!絶対行こうね!ヒマリア!」
約束!っとばかりにメアと握手をする。
最初はメアもユニみたいに緊張してた。
けど、メアは慣れるのが早いのかもう普通に話せそうだね。
それに対して...ユニは...
「えぇいいなぁ...一緒にお菓子屋さん行くなんて...それもうデートじゃん...私も行きたいよ...」
っと静かに1人でしょぼくれていた。
いや、ほんとに最初に感じた魔王はなんだったのか...
話を聞こっか!とか言って優しい顔で頭撫でてくれたぐらいに堂々としてたのに何処へ行ってしまったのか...
「もちろん、ユニも一緒に行こうね!」
「あ...うん!ありがと...ヒマリア!」
可愛らしい笑顔で答えてくれた。