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地球では日帰りで治りますけど?

「急性虫垂炎?何それ?」


 ユニが不思議そうに聞いてくるので概要を軽く説明する。


「なるほど...ヒマリアが居た世界では結構ポピュラーな病気だったんだね。それにしても治療法がお腹を切り開くだなんてね...」


 すやすやと規則正しい寝息を立てるアメジストを見てユニは1つため息をついた。


 治癒士がどれだけ強く封病魔法をかけても一向に効果が現れなかった。


 痛みで苦しむアメジストの姿を見ると...治癒士に対して何をモタモタしてるの?って文句を言いたくなってしまう。


 このまま封病魔法をかけるためにモタモタするのはアメジストの体力的にきつい。


 それはまずいよねってことで応急的に私が強力な睡眠魔法をかけたんだよね。


「手術の概念がないこの世界では受け入れ難いかもしれないけど...虫垂を切除すれば治るよ。だからここからは私が変わるね。」


 正直な話、癒の妖精を使ったことで分かったけどこの世界の治療技術はあまりにも低すぎる...


 だから、ちんたらしてる治癒士には治療をこれ以上任せておけない。


 ユニに目線で確認を取ると...少し悩んでから頷いてくれた。


 確認が取れたので治療の準備をテンポよく進めながら少しこの世界のことについて考える。


 この世界は魔法とスキルの力で発展してきた。それは技術の高い魔王国も例外ではない。


 魔法とスキルはほとんどなんでも出来る。


 地球の天才達が何世代にも渡って理論を構築して積み重ねて...そしてやっと起こせる現象をこの世界は魔法やスキルを覚えるだけですぐに出来てしまう。


 つまり何が言いたいかと言うと...この世界は、魔法とスキルに頼りきりすぎて...まるで思考停止状態だよねってこと。


 例えば、病気の原因を探るために死体を解剖してみようっていう発想さえあれば、急性虫垂炎の原因くらいなら解剖すればすぐ気づけるんじゃない?


 ...だってあからさまに腫れてるはずだもん。


 魔法とスキルで解決出来なければ諦めて延命だなんて...しかもその相手が急性虫垂炎って地球の医者に言ったら鼻で笑われるんじゃないかな?


 まっ、さんしゃいんの力で数あるスキルを組み合わせてるだけの私もこの世界のことは言えないね...


 ただ、さんしゃいんは私が全く知識を持ってない手術なんて行為を可能にさせるだけの力がある。既存のスキルを組み合わせただけでこんなことができるのは謎だよね。


 でも、元々はスキルなんて使わなくても行える行為なわけだから...この世界の治療士ができるようになる可能性もあるはずだよね。


 ってこれで足りるね。考えてるうちに準備が終わっていたね。


 さっきの考えは後でもっと深く考えておこう。


「よし...今から私の世界での治療法の手術をするよ。見ててもいいけど...必ず近寄らない、手出ししない、静かにするを守ってね?...治療とはいえお腹を切るんだからね?ミスすればどうなるかは分かるよね?ミスの原因...ほんとに作らないでね?」


 部屋にいる全員が頷くのを確認してから...医学と魔法とスキルを組み合わせた手術を始めた。

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