出発
舞と雑談をしていると、またあのお爺さんが何処からともなく現れた。
「そろそろ皆決まったころかのぅ。」
のんびりとした声だがよく響く声で話始めた。
「相変わらずどっから出てきてん、あのジーさん....」
「うん、びっくりするよね。愛梨もびっくりして声も出てないよ...」
舞が苦笑いしながら答えた。
そんな話をしながらお爺さんの話に耳を傾けた。
「さて、最初に話した通り、三つのグループに別れて貰おうかのぅ。ああ、安心しておくれ。無理に別れてもらわんくてもいいからのぅ。」
「良かった...」
「誰と組もうかな...」
「何人ならいいのかな....」
そんなクラスメイトの声が聞こえる。しかし、お爺さんはそんな声なんか気にせず説明を続けている。マイペースだな....
「三つの国の内の一つは、一度出た事のあるマルフィール国じゃ。この国は一番平和なところじゃよ。召喚理由は、国の建て直しの手伝いじゃな。」
国の建て直しって何があったんだ....
「そして次は、ハートレス王国だのぅ。この国は女性専用の国と言うべき場所じゃのぅ。男性は即死刑と言う恐い所じゃ。召喚理由は、同胞を増やす事じゃ。」
え、コワッ....って同胞を増やすて、何を....?
「最後は、センカク帝国じゃ。この国は、力が全てと言う所でのぅ。弱いものは国外追放になるのぅ。召喚理由は、手合わせ願いと、国の清掃じゃ。」
脳筋だからかぁ....
ねぇ、全部問題抱えすぎでしょ。一番まともなマルフィール国で、国の建て直しって。いったい何があったんだよ。
「え、怖すぎやろ....」
美夜里が真顔で呟く。
「「「うん.....」」」
私と後二人も同意する。
そんな私達を気にせず説明を続ける。
「マルフィール国には十八人。ハートレス王国には十二人。センカク帝国には十人で言って貰う。」
「舞達は何処がいいと思う?」
「うーん....やっぱりマルフィール国かなぁ...」
「「「だよねぇ...」」」
「決まったらこの票に書いて、箱に入れておくれ。」
そう言ってお爺さんが消えると同時に、手には細長い紙が握られていた。いつのまに....
「では、マルフィール国にするのですね。」
「「「「うわぁっ!」」」」
「ってゼファやないかい。おったんか...」
「失礼な。ずっといましたよ。」
今にも頬を膨らませそうに言った。
「すまんすまん。」
それを見た美夜里が慌てて謝った。
「それで、マルフィール国にするのですか?」
「んー、どうしようか悩んどってなぁ....」
「ならセンカク帝国がお勧めですよ。」
何でもないようにセンカク帝国を勧めた。
「なんでなん?」
不思議そうに訪ねた。私達も聞きたい。
「マルフィール国は色々と黒い噂がありますからねぇ...」
遠い目をしながら話していて、そこには触れない方がいいと直感が反応した。何があったんだマルフィール国...
先程の事はなかったかのように笑顔話始めた。疲れてるんだろう....
「それにセンカク帝国は女性には、紳士ですから!」
キラキラと効果音がつくような笑顔だった。
「そうやったんか....」
笑顔に押され、ひきっつたような笑顔で頷いた。
「おい、近いぞ」
呆れるようにセンファがゼファを止めた。
「あ、申し訳ありません...」
ションボリしながら謝る。不覚にも可愛いと思ってしまった。恐るべしイケメン....
「あ、皆の分『センカク帝国』って書いておこうか?」
舞が気遣うように言った。
「いいの...?」
愛梨が私達の代わりに聞くと、笑顔で「大丈夫だよ!」と答えた。さすがモテる女は違う...!と感動していると、舞がその考えを読み取ったかのように苦笑いした。
「さて全員決まったようだの。では、よいかの?」
そう問いかけてくるが頷く前にシブァンに礼を言う。
「シブァン、ありがと。」
とびっきりの笑顔で言った。
「は、はい...!お気を付けて!」
少し頬を染めながら声を返した。
すると釣られたかのように舞達も礼を言った。
「ありがとうっ!センファ!」
可愛い笑顔で言った。
「お気になさらずに。...どうも、ありがとうございました。」
素っ気ない言葉から、照れたように言った。やはりツンデレか....
その言葉に舞は嬉しそうに笑った。
「ありがとうございましたっ!クゼンっ!」
愛梨は大きめな声で照れたように礼を言う。それに対し、クゼンはもっと嬉しそうに笑った。
「うちも言わさせて貰うで。...色々とあんがとな!ゼファ」
太陽のような笑顔で言った。
「いえいえ。こちらこそ名前を付けて頂き、有り難う御座いました。」
はにかみながら礼を言う。
「では、お主らによい幸運を願っておる。」
そのお爺さんの言葉を最後に、ここに来るときとは違い光に包まれた。