天使と能力決め
大勢出てきた天使(?)の中から四人分の天使(?)がこちらにやって来た。
「で、アンタらが天使?なん?」
美夜里が困ったように聞く。
「ええ。私達が貴女様方の担当の天使の一人、1005番です。」
四人のうちの一人の穏やかそうな天使が美夜里に話しかける。おっとりお兄さんタイプだ。
というか、番号ってどうなんだ。
「名前ないん?んじゃうちが付けたる。番号はさすがに駄目やで。ゼファ、はどうや。」
「《ゼファ》ですか....ではこれからそう名乗らせてもらいます。」
嬉しそうな感情を滲ませながら話しかける。美形は良いですな。
後ろに控えていたもう一人の天使が舞に向かってお辞儀をしたインテリイケメン。
「私は、4025番です。どうぞよろしくお願いします、舞様。」
もう少し愛想よくしてほしい...
「うん、宜しくね。あ、私も貴方に名前を付けていいのかな?」
遠慮がちに聞いている。というか、あの態度にも動じないとかさすが舞。
「どうぞご自由に。」
天使はまた素っ気なく答える。
「じゃあ、....センファ、はどうかな?」
「《センファ》....畏まりました。では、今後そう名乗らせてもらいます。」
素っ気ない言葉だが、今度は嬉しさを滲ませていた。ツンデレか。
三人目の天使が愛梨に話しかける。
「愛梨様、私は925番です。どうぞよろしくお願いしますね。」
ニコニコしながら愛梨に向かって挨拶してきたワンコ系イケメン。
「よ、宜しくお願いします!名前を付けさせていただきます!」
愛梨は緊張しながら頑張って挨拶を返す。思わず孫を見る目で見てしまう。孫なんていたことないがな。
「はい、宜しくお願いしますね。」
微笑みながら話しているため、きっと同じ気持ちでこのイケメンも見ているだろう。
「は...はい!そうですね、クゼンっていうのはどうですか?」
「《クゼン》....ですか。有り難うごさいます!これからクゼンと名乗らせていただきます!」
尻尾を振り回しそうな幻覚が見える位に喜んでいた。
最後の一人の天使が私に向かって頭を下げ、挨拶をする。クール系美男子である。
「申し遅れました、私は618番で御座います。どうぞ宜しく申し上げます。」
見た目に反して、堅苦しい挨拶をしてくる。
「ん。....名前、シブァンね。」
面倒でそのまま名前だけを言う。
「《シブァン》....有り難き幸せ!これからシブァンと名乗らせていただきます!」
感激したとばかりに喜ぶ。外見と話し方が合っていないため、違和感が凄い。ギャッブが凄いが、萌えにはならない。
自己紹介が終わったところでゼファが話を進める。
「では、これから能力を決めさせていただきますが、何かご質問は?」
ゼファが四人に聞く。
手をあげながら美夜里が聞く。
「なぁ、これってうちらで話しながら、決めてええん?」
「皆さま方と相談しながら、ですか....」
「そ。あ、でもアンタらもやで?」
「「「私達もですか!?」」」
センファとクゼン、シブァンの驚きの声が重なる。
「なるほど、そう言うことでしたら。」
「いいのかい!?」
あっさりと了承したゼファにクゼンが動揺した声をだす。
「大丈夫だろう。早く取りかかるぞ。」
センファが素っ気なく返事をする。
「えー....」
納得していないような声をあげるクゼン。しかし、すぐに諦めたように肩をすくめた。
ゼファが話始める。
「では、まず能力の方向性を決めていただきます。例えば、回復職、前衛職、後衛職、支援職、精霊職、特殊職などが御座います。そして、皆さまには、この中から得意な職業を選んでもらいます。」
説明し終わると、センファに代わる。
「皆さまそれぞれ得意職が重なっておりませんので、ご安心ください。舞さまは、後衛職がおすすめで御座います。百合様は、特殊職で中でも護衛職がよろしいかと。美夜里様は前衛職がおすすめで御座います。愛梨様は、珍しく、回復職と精霊職を両立しているためあまり他の職を選べません。しかし強力なものが多いのでバランスがとれております。」
センファが、簡素な説明をする。
次に、クゼンが職の説明をする。
「職とは、自身の素の能力の土台に関わっています。例えば、前衛職ならば、攻撃力が他より優れており、成長しやすく、後衛職は、魔力、魔法に関する物が特化・成長しやすいです。それぞれの職には、特化・成長しやすさが存在しています。けれど、デメリットも存在します。前衛職ならば、魔力が上がりずらく、後衛職は、攻撃に関する事が上がりずらいです。」
分かりやすい説明を終わる。
そしてシブァンがおすすめの職を紹介する。
「では、お薦め職を紹介させていただきます。舞さまには、『黒魔術士』をおすすめでします。百合様には、特殊職の中の護衛職、『守天騎士』をおすすめします。美夜里様には、攻撃と防御に特化した『大剣使い』をおすすめします。愛梨様には、回復職と精霊職を両立した『緑の精霊使い』をおすすめします。」
説明が終わる。
どれも分かりやすかった。
「何かご質問は?」
「ないで。」
「ないです。」
「なし。」
「ありません。」
「畏まりました。では、スキル構成をさせていただきます。しかし、元の二人一組でさせていただいてもよろしいですか?」
「いいで。」
「は、はい!」
「いいよ。」
「大丈夫です。」
私は担当のシブァンと話す。
「私のお奨めのスキル構成はこちらで御座います!
【危険察知】【体力自動回復】【魔力自動回復】【アイテムボックス】【鑑定】【解体】【怪力】【経験値上昇】【付与】
そして、職スキルはこちらで御座います!
【守天:護る対象がいると、ステータス上昇】【鬼門:護る対象のHPが30%を切るとスキル 【守備天:護る対象の前に転移する】を使用可能】
【王天:王族か、王位の職を持つ護る対象がいた場合、人形を召喚する】
そして、魔法の属性は土と水であります!
いかがでしょうか!?」
褒めて欲しそうにこちらを見ている。
「凄いな。これでいこう。」
なげやりに褒めておく。
「はいっ!畏まりました!」
....目がキラキラしている。やっぱ顔と合ってない.....
「百合ちゃん、決まった?」
ひょいっと顔を出しながら、舞が話しかけてくる。
「ん、決まった。舞は?」
「決まったよ。美夜里ちゃんと愛梨ちゃんも決まったって。」
「じゃ、私最後?」
「そうなるね?あ、後スキルは無理に教えなくていいって。」
「やったね。だって言うの面度だもん。」
私が正直に言うと
「言うと思った。」
そう言って、舞はクスクスと笑った。
回復職は、回復に関する事に特化しているが、攻撃力と魔法に関する事が上がりずらい。
支援職は、バフ、デバフに関する事と器用さに特化しており、その他は上がりずらい。
精霊職は精霊術と精霊召喚に特化しているがレベルが上がりずらい。そして、属性が限られている。