神と天使
シャットダウンしていた視界は徐々に光が戻っていく。しかし、いくら瞬きをしても、視界は真っ白だった。一瞬目が可笑しくなったと思ったが、自分の姿を確認できたので勘違いだとわかった。
「百合ちゃん?」
後ろから聞き覚えのある声がかかる。舞だ。
「舞?どうしたの?」
振り向きながら声をかける。そこには舞の姿がちゃんとあり、安心した。
「百合ちゃん....美夜里ちゃんと愛梨ちゃん見なかった?」
不安そうに話しかけて来たので安心できるように答えたかったが、残念ながら答えることができなかった。
「ごめん。見てない....」
「ううん。謝らないで、大丈夫だから。でも一緒に探してくれる?」
「うん、もちろん。」
「ありが「お~い!」「美夜里ちゃん、引っ張らないでよ~」
「あ、噂をすればなんとやら、だね。」
「うん、そうだね。」
「ようやく見つけたで、百合やん、舞やん。」
「うぅ~、走るの苦手なのに~」
「ごめんて」
二人が来たことでいつものような雰囲気になった。そのため心に余裕ができ、辺りを見回す。辺りにはクラスメイトの姿が確認できた。クラスメイトはいつもと同じようにグループを作り始めた。
「そろそろ良いかの。」
「.....!」
クラスメイトしかいないはずのところからお爺さんの声が聞こえた。声のした方へ顔を向けると誰もいなかったはずの所に白いマントを羽織ったお爺さんがいて、驚いて声を出せなかった。周りのクラスメイトもお爺さんに気がついて驚いた声を出していた。
「なんや!いつのまにおったんや!?あのじーさん!」
「「ええ!?いつからいたの!?」」
他の三人もそれは同じだった。
「儂の名は、ヒュオレニルと言うぞ。よろしくのぅ。」
お爺さんは自分の名前を話した。カタカナの名前らしい。
「さて、なぜこの場所にいるかお主らは見当が付いておらんだろうから、儂が話すとしよう。」
そう言うとお爺さんは、どこからともなく書類だらけな机を出した。すると、それを見たヲタクな男子は感嘆の声を上げた。
「簡単に言うと、お主らは召喚されたんじゃよ。」
ヲタクな男子は興奮したように声を上げ、女子は、黄色い声を上げた。
「どうゆうことや?何を言いよん??」
知識のない美夜里は、頭の上にハテナマークをたくさん浮かべ、首を傾げる。
「これからどうなるの....?」
舞はこれからの事を思い、不安そうにしている。
「ほんとにあるんだ.....」
異世界モノの小説をよく読む愛梨は、困惑したように独り言を呟いた。
「まじか.....」
私も、思わずといったように呟く。
「うむ。色々と思う事のある者がいるかも知れんが、とりあえず落ち着いてくれ。」
その一言は不思議とよく響き、クラスメイトを静かにさせる。
「お主らを召喚しようとしているのはマルヒィール国じゃ。しかし、本来は三人~四人のはずじゃったんじゃが、お主らのクラスメイト全員を喚んでしまってのぉ。何の因果か、他国の者も同時に召喚の儀式を始めてしまったのじゃよ。故に分断しなければならんくてのぉ。三つのグループに別れてほしいんじゃ。」
その言葉を聞いたクラスメイト達が動揺する。
「みんなと別れたくないんだけど....」
ポツリとこぼした私の言葉に同意するように三人が縦に頭をふる。
「まぁ、まて。これは最後でいいんじゃ。その前にお主らは、自身の能力を決めんとならん。一人につき天使を一人つける。そやつらと相談しなから決めると良い。わからん所があれば天使に聞くと良い。全員が決まり次第、もう一度声をかけるとしよう。」
そう言うと神を名乗ったお爺さんが消え、代わりに綺麗な天使(?)が大勢出てきた。