出会い編である!
灯は花壇に一人立ち竦んでいた。
なんでも、この国の神話で
"時の神が起きるとき、文明を示せ"
" 時の神が眠るとき、美しきを示せ"
という言い伝えがあるからだ。
それにしても退屈だ。
代わり映えのない日々、ただただ時間だけが進む
退屈な日々に灯はうんざりしていた。
だからだろうか。
「御機嫌よう、我が文明」
__王女様がこの花壇に現れた。
「ご、ご機嫌よう王女様、」
声が震えているのが自分でも分かった。
何の断りもなく王女様を見てしまった
自分はどうなってしまうのか、想像がつく。
みっともなく震えていた。
こんな事なら退屈な日々でよかった。
ぐるぐるぐるぐると、頭の中を言いようのない
感情が回っている。
目の前の王女様は何故か笑みを浮かべている。
「あの、王女様。こ、このような時間帯にどうされたの
ですか?」
泣きそうになりながらに問う。
実際少し涙目になっている。
そんな様子に耐えきれなくなったのか、
王女様は笑った。
「んふふふ、別に死刑にしようなどと考えてはおりませんよ。少し息抜きをしたかったのです。王族というのは窮屈で退屈ですから」
はた迷惑な王女様だ。最初にそう思った自分は多分、
変ではないと思う。