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ハッピーバースデイ

作者: ヤスマロ

僕は宇宙船の中。

ずっと小さな窓の外を眺めている。


時々、星が流れたり

銀河に流されたり

隕石が衝突しているけれど


無機質な空間の中、

何も聞こえない。

何も感じない。

喜びも悲しみも感動もない。


ただ毎日、

小さな窓から真っ暗な宇宙を

眺めているだけなんだ。


どこから来たんだろう。

どこに向かっているんだろう。

どこに帰るんだろう。


永遠に続くかのような

窓の風景にも飽きてしまって


僕は小さな窓を眺めるのをやめた。


ある日。

小さな窓から強烈な光が差し込んだ。


何事かと思って

急いで窓の外を覗き込むと、


光輝く惑星に近づいていた。


宇宙船はすごい勢いで吸い寄せられるように

惑星に落ちていく。


ガシャーン!

バキバキ・・・


けたたましい音を立てて

宇宙船が壊れた。


一瞬熱くなって

それから急激に寒くなった。


僕は壊れた宇宙船から投げ出されて

生身の体で落ちていく。


怖い!怖い!


空を切る体に、誰かがそっと触れた。


「もう宇宙船は必要ありません。

 

 これからは

 あなたの体が外の世界を見る窓です。


 存分に謳歌してらっしゃい。」


僕は光る惑星に吸い込まれていった。



「ふぎゃー!!」


息ができる。

気持ち悪い。

寒い。

まぶしい。

うるさい。

眠い。


「おめでとうございます!

 元気な男の子ですよ!」


そして

暖かい腕に包まれる。

疲れ切った息づかいが聞こえる。


ああ

すべて感じる。


なんてすばらしい窓。


ハッピーバースデイ!


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