何で来たの?
パン屋一号店も安定して売上もどんどん延びてきて、そろそろ二号店も出したいなって思っていた頃に急な来客があった。
ブリオッシュ辺境伯の子息であるヨハネス=ブリオッシュ様が前触れもなく訪ねてきたのだ。
ヨハネス様は乙女ゲーム『愛を教えてくれたのはあなたでした』の攻略対象の一人で、私の親友のマリアンナ=パニーニ伯爵令嬢の婚約者で、ヒロインに惹かれてマリアンナを捨てるクソ男だ。
まぁ、まだ婚約者にはなっていないし二人の出会いであるお茶会イベントは潰してやるつもりでいるけどね。
だってせっかく前世の記憶があるんだもん。
モブとして楽しく暮らすのが一番だけど、親友には不幸になって欲しくないしね。
マリアンナは気が弱いけど、とっても優しくて私とは正反対の性格。
イケイケゴーゴーな私に愛想を尽かすことなくいつもニコニコ話を聞いてくれる。
家族と屋敷の人達以外に彼女にだけは私が妖精と話が出来ることを話してあるの。
妖精の女王であるナンシーも彼女の穏やかな雰囲気は好きみたいで、いつも誰かといるときはあまり側に来ないのに、マリアンナとお茶をしている時なんかは一緒にいることも多い。
マリアンナは妖精の姿を見ることは出来ないけど、私を通してナンシーと話したりコミュニケーションを取ってる。
そんな自慢の清らかなマリアンナが、このクソ男のせいで悪役令嬢になってしまうのは何としても阻止したいから、お茶会イベントのフラグは絶対に折る!
でも、その前に何で家に来たの?
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乙女ゲーム
『愛を教えてくれたのはあなたでした』は攻略対象が4人。
舞台は12才~15才までの子供達が通う三年制の学校。
貴族は皆通うことが義務付けられていて、優秀な平民も特待生枠で通うことが出来る。
それでも平民の識字率はまだまだ低い為、そこそこ資産のある商人の子や、学者の家系の子などといった、幼少より教育を受けた者しか来ることはない。
〈登場人物〉
ヒロイン
・ユリシア=ポンデケージョ男爵令嬢
ピンクブロンドを二つに分けて三編みにしてそれを輪にした髪型で瞳の色は淡い灰色。目は大きく、少し垂れていて小柄な為、小動物のような愛らしさがある。
母はユリシアを生んですぐに亡くなっていて、考古学者である父に育てられ、自身も考古学にのめり込んでいる。
10才の時に父が亡くなり、母の実家であるポンデケージョ男爵家に養女として引き取られる。
真面目な性格ではあるけれど10才まで平民として育った為、思ったことはすぐに口に出してしまう。
その為、攻略対象達に気に入られ仲良くなる。
最終的に誰を選んだかによってエンディングは異なるが、共通しているのが卒業パーティーでの悪役令嬢(それぞれの対象者の婚約者)の断罪からの求婚エンド。
攻略対象者
・アンドリュー=ヴァイツェンブロート第二王子
(ヴァイツェンブロート国の第二王子)
金髪で青い目で涼しげな顔をしたイケメン。
とても優秀だけど、第一王子である兄と比べられる日々に辟易していてひねくれている。少しチャラい。「どうせ俺なんか」が口癖。
・ヨハネス=ブリオッシュ辺境伯子息
ブリオッシュ辺境伯の長男で文武両道で辺境伯の次期当主。
黒髪で紫色の瞳で落ち着いた雰囲気のイケメン。
ただし、怒ると辺りが凍りつく程恐ろしい。
笑顔はヒロインと結ばれた時にだけ見ることが出来る。
国境を守る一族な為、曲がったことや女々しいことが大嫌い。
・グルマン=グリッシーニ伯爵子息
グリッシーニ伯爵家の長男。
水色の髪を肩まで延ばしたおかっぱ頭で、金色の瞳。一見冷たそうに見えるイケメン。
10才の時に領地で雪崩がおき、乳母とその息子である大事な幼なじみを亡くし、大切な物(者)もいつかなくなるのならと周りに人を寄せ付けないようになる。
塞ぎ混んでいたところ、その雪崩が人災だったと分かり復讐に燃える。
・イーサン=フォッカチオ伯爵子息
フォッカチオ伯爵家の次男で長男が家督を継ぐ為、騎士団に所属している。
赤い短髪がツンツンした髪型で、青い目。
明るく人当たりの良い性格をしているが、幼い頃から気に入った物を兄に奪われてきたので、一度狙った物(者)への執着はこのメンバーの中で一番強く、ルートによってはヤンデレに変わる。
全員が同じ年齢。
(それぞれの婚約者については追々)
ヴァイツェンブロートって強そうな名前ですよね。
ドイツのパンの名前なんです。
お気付きの方もいらっしゃると思いますが、登場人物の家名はパンの名前です。
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