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結構楽しいじゃん

今回はアンドリュー殿下視点です。

例の隣国の商家の娘と共に行動するようになって、ストレスが溜まるかと思ってたけど、これが逆にストレス発散になってる。


惚れ薬入りのクッキーを食べたフリしてイーと一緒にアイツの取り巻きやってみてるけど、本当面白い。


まずアイツは単純すぎて、俺やイーがちょーっとおだててやれば気持ち良さそうにニコニコする。

普段は食堂に行くこともないが、アイツは食堂を利用してるらしいから俺達も食堂に行く。

いつもは城のコックが食堂の厨房を借りて作った弁当を教室まで持ってくるからそれを食べている。


たまには俺も食堂のメニューを食べたいところだが、防犯上城の手の者が作った物を食べなければならない。

まぁ、シルフィーの屋敷で出される物もボランティアの孤児院で出される物も食べてるけどな。

一応は俺の護衛も兼ねているイーが先に食べてから口にする。


イーに毒味をさせるつもりなどないが、形式上仕方がない。

イーも俺も訓練で薬物耐性は付けているが、全く効かない訳ではないから、あえて毒物に手を出す様なことはしない。


今回のクッキーだって先にイーが食べていたとしてもこの国の薬物ではなさそうだったから分からなかったかもしれない。

普段なら貰ったからと言って迂闊に口にすることはないし、悪いがすぐ捨てる。

どんな薬物かはまだイーが調べているところだが、この国の物ではないらしい。

やはりカスクルートから報告を受けているエンパナーダの薬物なのだろう。


食堂でアイツがメニューを決めて注文する時に俺が注文しないから食べないのか訊ねてきた。

厨房で城のコックが調理して運んでくるから、来たことだけ伝われば良いと言うと自分も俺と同じメニューを食べたいと言い出した。


イーがコックに三人分に増やせるか聞いてくれて、OKが出たからそれをアイツにも伝える。

満面の笑みでキャッキャと喜んでる姿は動物園の猿の様で滑稽だ。


食堂のメニューに比べると一際豪華なプレートが運ばれる。

目を見開いて大声で、『王子様と一緒のご飯最高♪』とアピールしていた。

誰もお前に興味はないと言ってやりたいが、我慢我慢。


イーが『冷めないうちに食べよう?』と言ってくれたお陰で、周りへのアピールに夢中になっている女も食べる体勢に入った。


食事の時間が苦痛だと感じたのは何年ぶりだ?

幼い頃にテーブルマナーを注意されながら食べた食事以来じゃないか?


この女の育ちの悪さがよく分かる。

確かに金はあるから贅沢な暮らしはしているのかもしれないが、コイツには洗練された物が何一つない。


口に食べ物が入ったまま大口開けて喋るから、口の中の汚い物が見えて不快になるし、延々とシルフィーやマリアンナ嬢の悪口を捲し立てているからそれにも苛立つ。

唾どころか食べている物まで飛んできそうな勢いで、こちらの食欲が落ちる。


よくイーはこれに付き合っていられるなと感心する。

親衛隊があった頃は四人で相手してたが、解散してからはしばらく一人で相手してたんだから本当にすごいと思う。


しかし、コイツのおかげでシルフィーやマリアンナ嬢の育ちの良さを改めて実感出来たから、比べるレベルじゃないけど感謝かな。


シルフィーは同じ歳とは思えない程しっかりしてるし、包容力っていうのか?何しろ一緒にいて安心する。

いっそ俺らのことを弟や息子みたいな感じに思ってるのかもしれないな。


カスクルート子爵家の家業とは別にシルフィーは何か隠していることがあるのだろうけど、本人が打ち明けるつもりがないならあえて気付かないフリをする。

これはイーもグルマンもヨハネスも同意見。

ヨハネスにだけ打ち明けてることもあるだろうが、まだ隠していることはありそうだ。

それでも、シルフィーは大事な幼なじみなのは変わらないし、彼女が俺達を受け入れてくれたからひねくれなかったんだと思う。


第二王子である俺は王位継承権第二位で、優秀な兄貴を差し置いて王になるつもりは微塵もないのに、城にいればやたら比べられるのがどうしても嫌だった。

『どうせ俺なんか』が幼い頃の口癖だ。


それがイーサンの実家のフォッカチオ伯爵領で起きた事件を切っ掛けにイーと仲良くなって、同じ次男同士の悩みや不満を打ち明けあって気持ちが楽になった。


それから元々イーの幼なじみだったヨハネスからシルフィーのボランティア活動を聞いて会いに行った。

前々からカスクルートのパンの事業も気になってたし、お茶会で急にヨハネスの婚約者と発表された時からゆっくり話してみたかったんだ。


ボランティアにはシルフィーの弟のルーカスも来ていて、下の兄弟がいない俺にも懐いてくれて可愛かった。

年下は苦手だと思ってたけどルーカスと孤児院の子供達のおかげですっかり子供が好きになった。


兄貴に劣等感を感じて自暴自棄になってたけど、世界が変わった。

それからは無理矢理ルーカスをダシにして毎日カスクルート邸に押し掛けて、徐々に習い事や稽古もカスクルート邸で受けることにしていった。


シルフィーにしたら迷惑な話だと思う。

俺がシルフィーなら追い出してただろう。


でもシルフィーは嫌そうにはしていたけど最終的には仕方ないと受け入れてくれた。

シルフィーは一度懐に入れた者達にはとことん甘く優しい。


いつだって温かく迎え入れてくれたから、城で嫌なことがあっても我慢できたし、兄貴に感じていた劣等感も感じなくなった。


だって兄貴にはこんなに大切な仲間達なんていないんだ。

それだけでも俺は恵まれているし、この幼なじみ達がいればどんなことも乗り越えていけると確信している。


だからこそ俺の大切な幼なじみに手を出したんだ。

タダで済むと思うなよ?

後悔させてやるからな。


俺らに踊らされてるとも知らずに浮かれちゃってさ、せいぜい楽しみな?

これから地獄が待ってるんだからさ。


そんなことを思えばコイツの汚い食べ方も面白く感じるな。

美味しかったから明日からも俺と同じメニューが良いって?

好きにすれば良い。


お読みいただきありがとうございます♪

ブックマーク、ご評価大変励みになり嬉しく思っており感謝です(人´∀`*)

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