グルマン攻略
間が空いてしまいすみません(^-^;
今回は少し展開があります。
イーサン様がウェンディさんの不穏な言葉を聞いてから数日。
相変わらずいつものメンバーで屋敷に集まっている。
「ねぇねぇ聞いてよぉ~!」
声を上げたのはイーサン様。
「ウェンディがさぁ、毎日図書館に通う様になったんだけど(笑)」
「いつも僕が利用していた図書館ですか?」
「そうそう。いつもの図書館。何で知ってるかは分かんないけど、GGが行く専門書のコーナーをウロウロしてるっぽいよぉ?」
「あのコーナーの本は一般の方向けではないのですが…」
「だよねぇ。アンディの側近目指してるGGは分かるけど、ただの商人の娘が読める本なんてないと思うんだよねぇ」
以前から幼なじみ同士で話す時はアンドリュー殿下のことを″殿下″や″アンドリュー様″や″アンドリュー″と呼んだりしていたが、幼なじみ会議を重ねるうちに″アンディ″に落ち着いたようだ。
それでもこの幼なじみ達以外の前では王族であるアンドリュー様を親しいからといって愛称で呼ぶのは憚られる為、この幼なじみ会議の場限りではあるけれど。
不審な顔をするグルマン様にイーサン様は確信めいたように
「やっぱり次はGGを狙ってるってことでしょっ」
と楽し気に言った。
「お前楽しんでないか?」
アンドリュー様がそう言うとイーサン様はニヤリとした。
「だってさぁ、ボクだけでなくボクの大切な幼なじみまで狙ってるんだよぉ?持ち上げまくって地獄に叩き落とすなんてさぁ、楽しくない訳ないじゃん?」
「お前性格歪んでるよな(笑)そういうところが面白いんだけど」
イーサン様の新たな一面を見た気がして少し引いた私に
「勿論シルフィもボクの大切な幼なじみだから安心してぇ?」
迫力のある笑顔でそう言われると、この人を敵にまわすのは得策ではないと改めて実感する。
「そういえば、グルマン様はマリアンナとはどうなのですか?」
「どうって?」
改めて親友マリアンナとの仲を訊ねると順調な様だったし、お互い思い合っている様だった。
「なぁ、それならさっさとマリアンナ嬢と婚約したらどうなんだ?」
ヨハンがそう言うとグルマン様は頷いて
「そうですね。早速パニーニ伯爵に婚約の打診をしてみることにします。」
翌日グルマン様は学校でマリアンナに正式に求婚することを告げて、一日中顔を赤く染めているマリアンナは大変可愛らしかった。
そしてグリッシーニ家とパニーニ家の縁談が纏まり、晴れて二人は婚約者になった。
「マリアンナおめでとう♪」
「ありがとうシルフ♪」
二人の婚約のニュースはあっという間に学校中に拡がった。
放課後の幼なじみ会議でイーサン様が笑いを堪えながらウェンディさんの真似をする。
「どうしてグルマンがマリアンナと婚約するの!?アイツはヨハネスルートでの悪役令嬢の筈じゃない!!」
キーキー地団駄を踏みながら叫んでいたそうだ。
惚れ薬を盛られた親衛隊達は、いくらウェンディさんがおかしな言動をしても何とも思わないらしく、近頃ではイーサン様の前でも自己中心的な考えを平気で口にしているらしかった。
「そもそもが、あのモブ女がヨハネスの婚約者になってるのがおかしいのよ!全部アイツのせいだわ!ヨハネスだって私の物になる筈なのにいつも隣にいるし、本当に邪魔だわっ!!」
イーサン様によるウェンディさんの迫真の物真似が終わり、改めてウェンディさんは転生者であると実感した。
「ウェンディが言うモブ女?ってのはシルフィーのことだよね?どういう意味だと思う?」
キョトンとした表情で聞かれて、思わず転生やゲームのことなどを話してしまおうかと一瞬思ってしまったけど、
「さあ?ウェンディさんの言っている意味は分からないけど、彼女の怒りの矛先が私に向いたってことなのかな?」
誰一人として私が転生者であることは打ち明けていないし、まだ知られてはいけないと思うからはぐらかす。
ウェンディさんがどういう行動を起こしてくるかが分からない以上どう対策をとるべきか。
「とりあえずシルは私の側から離れず、トイレや更衣室などやむを得ず離れる場合は必ずマリアンナ嬢と一緒に行動する様に。」
と約束させられた。
今までだってずっとそうだったのに心配しすぎだ。
しかし風向きが変わってきた。
まずミシェル様の私への当たりがきつくなった。
それに同調して他のご令嬢方も。
ヨハンやアンドリュー様達は私を庇ってくれるけど、今更また幼なじみ達との距離感で攻撃されるとは思えない。
一体何があったのか?
マリアンナによると私以外のAクラスの女子に、ウェンディさんが『サバラン商会の新作お披露目会』と称してお茶会を開き招待状を送っていたらしい。
これはイーサン様も知らなかったらしく、内々に進めていたのだろう。
よくよく見ればミシェル様達は皆、制服のブレザーの校章の横に小さな宝石のついたブローチを付けているのに気付く。
私以外はそれが怪しいとは思っていないみたいだから後でこっそりナンシーに聞くことにした。
ナンシーに何か感じるか聞くと、″シルフィーヌを憎め″という怨念が籠っているらしかった。
それを身に付けることによってシルフィーヌは憎むべき相手だと洗脳している。
どうしてマリアンナがそのお茶会のことを知っていたのかと問えば、マリアンナもまた招待されたからだと応えた。
「マリアンナは行かなかったの?」
「指定された日がグルマン様とのお約束の日だったのもあるけど、なんだかウェンディさんは怖いから欠席のお返事を出したの。」
マリアンナはイーサン様に毒を盛られたことも知っているし、当然の反応だと思った。
週に一度の孤児院のボランティアも学校が始まってからは月に一度になり、私達が行く日以外はエリーを筆頭にした卒業生が読み書きや算術を教えてくれている。
私達はボランティア以外の週末はそれぞれ過ごしている。
私はお店の視察が主でヨハンと一緒に行くことが多いけど、アンドリュー様は公務があったり、イーサン様はもう少しで近衛騎士になれそうということで騎士達に訓練をお願いしたりして各々自由にしている。
お茶会が開かれたのであればメリッサから何か情報が入ってもおかしくないのだが、何も聞いていないところをみると向こうもかなり慎重に動いていることが窺われる。
ナンシーにあのブローチはどうにか出来ないか訊ねると、私の浄化の力でどうにかなるらしかった。
まずクラスに封印の結界を張って、そこに浄化の力を付与することによって怨念とかを封じ込むことが出来るらしい。
相変わらずチートだなと思ったけど、有り難く実行に移すことにした。
ヨハンに相談して、幼なじみ達にも気付かれない様に幼なじみ会議の終わった夜に、忘れ物を取りに来たということにして校舎に入ることにした。
夜の学校は暗く静かで心細く怖い気持ちになったけど、ヨハンがずっと手を握ってくれていたから頑張れた。
どうせならとAクラスだけでなくBクラスとCクラスにも浄化付与の封印結界を張った。
効力は一日だけど一度通ったら浄化される為、新たに怨念の籠ったブローチを配らない限り以前と同じに戻る筈。
翌日、ミシェル様達は以前の様に私にも優しくしてくださりホッとした。
浄化付与の封印結界のことを知らない幼なじみ達は驚いていたけど、少し安心した様だった。
放課後の幼なじみ会議でイーサン様が
「ウェンディの親衛隊解散したんだけどっ(笑)」
と笑いながら口にした。
どういうことか訊ねると、朝親衛隊の三人は相変わらずウェンディさんの周りで褒めたり荷物を持ってあげたりしていたらしいのに、教室に入った途端我に返った様に何でウェンディの荷物を持たされているのか等と言い出して離れたらしい。
それを受けたウェンディさんは
「皆どうしたの?皆は私の親衛隊でしょ?」
って真顔で言って
「はぁ?頭おかしいんじゃねぇの?何で俺らがお前の親衛隊にならなきゃなんねぇんだよ?」
とバッサリ拒否られたそう。
いつもの様にお昼迎えに行ったイーサン様にウェンディさんは泣き付いて、皆が可笑しくなったと言った。
イーサン様がウェンディさんを宥めて、元親衛隊の隊長に話を聞くと、今朝までは確かにウェンディさんのことを誰よりも愛しく思って護ろうという気持ちだったのに、急に冷めたというか、何故ウェンディの側にいるのかも分からなくなったらしい。
イーサン様は元より惚れ薬が効いているフリをしているだけだから、いつもの様にウェンディさんを持て囃した。
「ウェンディにはもうイーサン様しかいないんだわぁ」
と泣き付かれ、自分も偽りの親衛隊なんだけどね?と心のなかで思ったとか…。
後でナンシーに聞くと、浄化で惚れ薬の効力も消えたということだった。
ついでだからと他クラスまて張ったのが結果的にそういう作用をもたらすとは思っていなかったから少し驚いたけど、遅かれ早かれ洗脳は解くべきだと思っていたから安心した。
このことはヨハンにも話した。
イーサン様は親衛隊は一人になったけど、これでウェンディさんがイーサン様に依存してくれれば前より情報収集がしやすくなると俄然ヤル気になっていたのが幼なじみではあるけど少し怖かった。
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