エンパナーダ
書き方を変えたらやっぱり読みにくかったので、今まで通りでいきます。(修正しました。)
『エンパナーダ』はシュトレンの隣にある閉鎖的な国で、周辺国とはごく僅かな関わりしかもたない。
メリッサも昔一度だけ間諜として入国したことがあるそうだが、身元の確かなエンパナーダ人が後見人につかないと許可がおりないそうだ。
カスクルート子爵の遠縁であるエンパナーダの貴族『トリハス伯爵家』にカスクルート商会の商品を売り込む為の後見人をお願いすると快く引き受けてくれたらしい。
それからはエンパナーダでの売上の一部を支払う代わりにカスクルート商会のエンパナーダ支店を管理してもらっている。
私も一度行ってみたいと思ってはいるのだけど、シュトレンを挟むだけあって遠いのだ。
ある程度の年齢になって体力がつかないと長旅になるような所には出せないというお父様の言い付けを守っていたが、学校に入るような年齢になり、今度の長期休みに行っても良いとやっと許可がおりた。
その時にはメリッサは私付きのメイドとして、トンプソンさんは従者として護衛してくれるということに。
普段庭師に扮しているトンプソンさんは、カスクルート家の裏稼業を知ってしまえば現役のアサシンだというし、腕も確かな様で心強い。
一度だけ行ったことのあるメリッサが言うには、エンパナーダには、占いや呪いで生計を立てている魔女がいて、森の奥にある小さな家で暮らしているらしい。
そして公にはされていないけど、そこでは望めばどんな怪しい薬でも金額次第で手に入れることが出きるという。
きっとウェンディさんの惚れ薬はここから来ていると思われる。
ウェンディさんが転生者であることは分かった。
そしてヒロイン不在を知った彼女は自分がヒロインに成り代わるつもりなのだろう。
そして彼女の言動からおそらくハーレムエンドを望んでいることが予想される。
次のターゲットは図書館での出会いイベントのあるグルマン様だろう。
グルマン様は今、私の親友のマリアンナと婚約秒読みな位ラブラブなのだ。
邪魔してもっらては困る。
せっかくマリアンナはヨハンとの婚約破棄ルートからはずれたのだから。
そのおかげで私がヨハンの婚約者になったけど。
脅しから始まった婚約ではあったし婚約破棄を望んでいたのにここまで私もヨハンのことを好きになるとは思ってなかったから、人生何が起こるか分からない。
私はモブではあるけど実際転生してみて、自分と同様に他の人達も生きていてそれぞれの人生があるのだということを当たり前だけど実感している。
そして私の行動一つで未来が変わってしまうことの怖さも身に染みて実感している。
神様は好きにして良いって言ってたけど、私はこの世界の主人公ではない。
どんな世界にも主人公などいない。
皆がそれぞれの人生の主人公なのだと前世ではわざわざ言葉にしなくても当たり前だったことがゲームの世界というだけで特別に感じてしまうのは仕方がないことだと思う。
私だってモブだとは思っていたけど登場人物の一人だと思っていた。
確かにゲームのストーリーは存在しているし、イベントの様に確定している事柄もあるのは事実。
でも自由に生きて良いって神様が言ってくれたお蔭で、事件を未然に防いで幼馴染たち(攻略対象)の人格が歪んでしまう未来が変わったのは良かったと思う。
そうしようとして起きたことではないから、私のお蔭なんて烏滸がましくて言えないけど。
実際に私だけでなく周りの人達はこの世界に生きている。
私一人の行動でたくさんの人の人生が変わってしまうのは恐ろしいくらい実感している。
そのせいでヒロインは学校に入学していない。
お父さんがご存命で本人の大好きな考古学の道に進んでいるのなら幸せなことだと思うし、関りはないけど影ながら応援している。
あれだけ夢中になっていたゲームだけど、いざ自分がその世界に入り込んでしまえば、乙女ゲームというのは主人公にとって都合の良い世界だと気づかされる。
婚約者がいるのにヒロインに惹かれる攻略対象者達。
婚約者に悪いと言いつつ、結果的に婚約破棄をした攻略対象者を受け入れているヒロインは立派に略奪してると思うし、ゲームの為にそんなことをさせられているヒロインが違う道に進めるのなら普通に好きな人と出会って結ばれて欲しいと思う。
他人の人生を踏みにじって手にした幸せのしわ寄せは必ずいつか自分に返ってくるものだと思うから。
ウェンディさんは自分を主人公で周りにいる人達はただのゲームの登場人物だと思っているのだろうか?
惚れ薬を使って人の心を操ることはその人の人格や尊厳を踏みにじる行為だ。
それをためらうことなくやる彼女は危険だ。
ゲームでのグルマン様は王都にある図書館でヒロインと出会う。
でも現実のグルマン様は、毎日幼馴染の集まりでうちの屋敷に来ているし、休日はマリアンナと交流を深めているようだし、彼女に出会うような暇はないと思う。
でも、アンドリュー様の側近を目指している彼は勤勉で読書家だから図書館に行くこともあるだろう。
ゲームとは違いアンドリュー様とも幼馴染として交流を深めていることだし、城の図書室を利用するように進言することにした。
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