クッキーの検分
備忘録として
妖精女王のナンシーからは妖精に愛される加護
湖の妖精からは浄化の能力の加護
ピロシキマウンテンの妖精達からは結界の能力の加護
を貰っています。
これは誰にも言わないと決めていたけれど、やっぱり一人心に秘めて抱え込むには大きすぎて、大好きな親友のマリアンナにだけ伝えてます。
早速ウェンディさんのクッキーを改めようと袋を開く。
中には所謂型抜きクッキーが10個程度入っていた。
そのうちいくつかジャムをのせて焼いた様で、バターをふんだんに使った新しいタイプのクッキーだった。
だってバターは私が作ったからまだそこまで浸透しきってはいなくて、今まであったのはラードを使ったショートブレッドの様なクッキーが主流だったの。
袋を開けた瞬間、バターの芳ばしい香りがフワッと広がって、シュトレン産のバニラビーンズを入れているのか甘い香りも堪らない一品だった。
食べるか食べないかは別として、手で割ってみればサクッとしつつホロホロとした触感で口どけも良さそうだ。
それを一纏めにした食べてないのに食べたような感想をイーサン様に告げると、感心したように
「やっぱりシルフィーは頼りになるなぁ♪シルフィーがボクのものになってくれたら一番いいのに。」
って言っていて、またヨハンが怒りだした。
もうこの一連の流れはお家芸の様な物なのでいちいち真に受けてはいけない。
不意を突かれるとまだ赤面してしまうこともあるけど、私をからかってるだけなんだから。
クッキーの検分が終わったらイーサン様は袋をさっと取り上げてゴミ箱に捨ててしまった。
「あっ…!」
思わず声をあげるけど、イーサン様はにっこり笑って自分の席に戻ってしまった。
やっぱり捨てるんだ…。
「あぁそうだ!シルフィー、変なもの触ったんだからしっかり手を洗ってね!」
ってイーサン様が言うもんだから笑ってしまった。
バイ菌扱いは流石に酷いと思うけど、何かあってからでは遅いと心配してくれる気持ちも分かるので、素直にマリアンナと一緒にお手洗いに手を洗いに行った。
そしたら最近見掛けなかったナンシーが、人も多いのに姿を現した。
マリアンナにナンシーが来たことを告げて、まだ授業が始まるまで時間があるのを確認して、各階の棟毎にある会議室に入った。
入り口には使用中の札をかけて、部屋の鍵をかける。
マリアンナだけには私がピロシキマウンテンで授かった結界の能力のことを話してあったから、この部屋に防音の結界を張った。
ナンシーが慌てたように話すことは衝撃的だった。
さっきのクッキーには惚れ薬的な物が入ってたんだって…。
その匂いを嗅いだら、思わず口に入れたくなる様な作用の薬も入っていたらしい。
じゃあ何で私が匂いを嗅いでも大丈夫だったのか聞くと、湖の妖精の加護である浄化が作用していて、私が触れると無毒化されるんだって。
何それ初めて聞いた。
だから私、お腹壊したり風邪ひいたりしないのかしら?
めっちゃすごいじゃん。
ということは、私じゃなくてイーサン様が自分で袋を開けていたらヤバかったってことよね…。
でも、魔法もないこの世界でそんな薬とかあるの?
ナンシーはそこまでは分からないけど、良くないことが起こりそうな気がするから気を付けてねって言ってくれた。
マリアンナと話し合って、私だけではどうしようもないけど、この妖精と話せる能力を知っているヨハンにだけは能力含め今回のことを相談することに決めた。
教室に戻れば、手を洗いに行った私達の戻りが遅かったからイーサン様は心配していたけど、
「淑女には色々あるのだから、余計な詮索はいけませんよ?」
って茶化して誤魔化しておいた。
このままでいけば、イーサン様はウェンディさんのクッキーを食べることはないと思うけど、匂いにまで細工をされているのなら対策はとらないといけない。
というか、ウェンディさん出会ったばかりのイーサン様に惚れ薬盛るとかどんだけよ?
倒れたのを運んでくれたのが将来有望な近衛騎士を志しているイーサン様だって聞いて、舞い上がっちゃった?
それにしては悪質で放置出来る物ではないし、せめて幼なじみ達は守りたいと早速今日の放課後にうちの屋敷で対策会議を開くことにした。
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