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イーサンという男

本日二回目の投稿です。

今日は門の前でイーサン様に会ったからヨハンと三人でAクラス棟の昇降口に向かって歩いていると、


「イーサン様!おはようございます♪」


「あ、ウェンディちゃんだ。」


ウェンディさんが待っていた。


「おはよう。ウェンディちゃん。」


そう言ってイーサン様はウェンディさんの横を素通りしようとした。


え?ウェンディさんは明らかにイーサン様のこと待ってたのに挨拶だけして素通り?

って思ってたら、びっくりした顔したウェンディさんがイーサン様の腕を掴んだ。


「イーサン様ったら酷~い!ウェンディはイーサン様を待っていたんですよ?」


頬を膨らませてプンプンしているウェンディさん。

私とヨハンは先に校舎に入ってもいいですか?


イーサン様には悪いけど先に行こうと歩き出す。

すると今度はイーサン様がヨハンと手を繋いでいない方の私の腕を掴んだ。


にっこり微笑んで


「シルフィーもヨハネスもボクを置いていかないよね?」


って笑顔の圧力をかけてきたから


「ええ、勿論待ってるわ。」


って答えるしかなかった。


ウェンディさんは


「ウェンディはイーサン様に用があるので、先に校舎に入って貰っても大丈夫ですよ?」


って言ってきた。

この娘凄いわ。

遠回しに邪魔だから消えろって言ってる。

でもイーサン様は私の腕を掴んだままだし。


「ボクは二人と一緒に教室に行きたいから、Bクラスのウェンディちゃんがあっちの昇降口から入ったら?」


って笑顔で冷たく言い放った。

こわっ。

ゲームでは人当たりが良いワンコキャラ的な立ち位置だったよね?

でも今思えば、あの領地の事件があったからか一見人当たりが良いし皆に可愛がられてるけど、心を開くのは一部の限られた人だけかもしれない。

あの事件の工場長の娘さんは旦那さんが最初から工場目当てで騙して婿にやってきていて…。

それを幼い頃に目の当たりにしてしまったら、人間不信にもなるよね…。

アンドリュー様と仲良くなって私の家に集まる様になって打ち解けていたから気付かなかったけど、私達幼なじみグループ以外には愛想よくしてはいるけど深く関わろうとはしてなかったわ。


幼なじみの私でも怖いもの…ウェンディさんはどう返すの?


「そうだったんですね♪ウェンディは昨日のクッキーの感想を聞きたかっただけなんです。イーサン様どうでしたか?」


ウェンディさんはにっこり微笑んでそう言った。


強い!

ウェンディさんのメンタル強いよ!

よくこの状態でクッキーの感想なんて聞けるよ…。

でもイーサン様、クッキー捨てちゃってたけど…何て答えるの?


「あぁクッキーね、食べようと思ったら無くなっちゃってたんだよねぇ♪ごめんねぇ。」


平然とそう言い放った。


「そうだったんですか…。でもそれなら丁度良かったです!実は今日も持ってきたので、貰ってください!」


ウェンディさんは鋼のメンタルの持ち主だ。

クッキーの入った袋をまたしてもイーサン様に押し付けるとBクラス棟の昇降口に走って行った。


溜め息を吐いたイーサン様は


「お待たせ♪教室行こっか!」


って私の腕を掴んだまま歩き出して、ヨハンは


「イー、いつまでシルの腕を掴んでるんだ!」


ってイーサン様の手を私から剥がした。


「ねぇ、そのクッキーどうするの?きっとまた明日感想聞きに来ると思うけど…。」


私がそう言うと


「ボク、本当に心を許した人以外の手作りのお菓子や料理は無理なんだよねぇ。」


って困った顔で言っていて


「それに自分の都合ばっかりで馴れ馴れしくしてくる様な人も嫌い。」


と、イーサン様から初めて″嫌い″って単語を聞いた。

そっかぁ…馴れ馴れしいの実は嫌だったんだ。

私達は大丈夫なのかな?

ちょっと心配になってきた。


不安そうな顔をしていたのかイーサン様が、


「シルフィーやヨハネス達幼なじみは大丈夫だよ♪馴れ馴れしいなんて思ってない。もっと仲良くしたい位だし☆」


といつもの調子で言ってくれたから少しホッとした。


「とりあえずクッキーは教室で開けてみましょ?見た目や匂いでなんとなくの味は想像つくし、それで感想は乗り切れるでしょ。」


私が提案すると


「さすがシルフィー!頼りになるぅ♪」


って腕に絡み付いてきた。


「だから、イーは離れろって!」


ヨハンがめっちゃ怒ってる。

これはしばらく機嫌悪そうだ…。


階段を昇って教室に向かう時にヨハンと手を繋いでるんだけど、二人の暗号(サイン)で所謂ラブノックってやつで三回ギュッギュッギュッて握った。

意味は「大・好・き」の三文字。


パッと私の顔を見たヨハンは機嫌良さそうで、彼もまた三回手を握ってくれた。


良かった。機嫌直ったみたい。


教室に入るとアンドリュー様とグルマン様が、


「今日も遅いけどまた何かあったか?」


って聞いてきた。

普段は遅い位でいちいち聞いてきたりはしないから、昨日に引き続き私達の様子がどこかおかしかったのかもしれない。


とりあえず昇降口前であったことを説明する。


「へぇ~。そのウェンディとかいう女子、すごいメンタルだな。」


アンドリュー様も私と同じ事思ったみたい。


「いつも温厚なイーがそこまで拒絶するような発言も珍しいしな。」


うんうん。そう思う。


「まぁ、イーは人当たりよく見えて実は人の好き嫌い激しいけどな!」


え?アンドリュー様知ってたの?


「そうそう。一度自分の懐に入れたら大切にしてくれますけどね。」


ってグルマン様。


「あぁ、だが他人を信用し過ぎるより余程良いし、誰それ構わず受け入れるより好ましい。」


えぇ~ヨハンも?

もしかして気付いてなかったのは私だけ?

顔に出てたのか


「まぁ、シルフィーはそんなところも可愛いから♪」


ってまたしても軽く言われてしまった。

私は皆より人生経験豊富な筈なのにおかしいなぁ。




お読みいただきありがとうございます♪

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