クラスメイトお茶会
さあ、いよいよ始まるよ?
軽く頬を叩いて気合いを入れる。
マリアンナはそこまでしなくてもシルフ(最近マリアンナからはこう呼ばれてる)なら大丈夫よって私の背中を撫でてくれた。
私にはマリアンナがいるし、マリアンナさえいてくれたらクラスメイトに嫌われていても全然大丈夫なんだけど、嫌がらせとか嫌味とかは面倒だから摘める物は摘んでおきたいところ。
メリッサが招待客の到着を知らせてくれる。
「ようこそおいでくださいました。本日は楽しんでいただけたらと思います。」
と適当な挨拶をするとミシェル様が代表して
「シルフィーヌ様、お招きありがとう。いつも殿下達を侍らせていらっしゃるけど、今日はいらっしゃらないのですか?」
然り気無く嫌味。
「本日は女子だけで気兼ねなくお話出来たらと、いつも弟を訪ねてくださる殿下達にはご遠慮いただいたのです。」
あくまでもいつも来てるのは私じゃなく弟に会いに来ているというところをアピールする。
「あら、では普段カスクルート家に訪問なさっているのは弟さんに会いに来ているということなのですか?」
食い付いてくれた。
「はい。殿下には下の兄弟がいらっしゃらないので、有難いことに弟のルーカスのことをご自身の弟の様に可愛がっていただいております。」
「まぁ。ではその繋がりで貴女も殿下達とお知り合いになりましたの?」
「そうなのです。うちに来てくださるようになった切っ掛けはヨハネス様が私の孤児院でのボランティアを手伝って下さっているところにいらっしゃって、一緒にボランティアをしてくださったところから弟が殿下に懐いてしまいまして、屋敷に顔を出して下さるようになったのが始まりです。」
本当はフォッカチオ伯爵領の毒薬事件が始まりだけど、それは世間的には公になっていないことだから言えない。
「そうだったのですね。私ったらてっきり貴女がヨハネス様の婚約者に納まったにも関わらずヨハネス様のご友人である殿下方までちょっかいをかけているのだと疑っていましたわ。」
「いえ、事情を知らずに子爵令嬢ごときが殿下方と親しくしていれば有らぬ誤解もされると思いますので…。」
「直接本人に伺った訳でもないのに、噂を信じて貴女に酷い物言いをしてしまいましたね…。」
「いいんです。学校ではこうやってお話をする機会もございませんでしたし、今日は皆さんと仲良くお話が出来たらと思っております。立ち話もなんですので、お茶をいただきながらお話しましょう。皆さんに喜んでいただきたくて、本日はカスクルート家自慢の事業の一つであるパンの、新作であるデニッシュペストリーを用意させていただきました。」
何だか拍子抜けするほどミシェル様が素直な方で驚く。
テーブルには色とりどりのペストリー、カットフルーツ、マカロン等が並べてあって乙女心を擽る作戦だ。
案の定皆さんの目がキラキラ輝いていて、私も鼻が高い。
ミシェル様にお話した通り殿下達とはヨハネス様や弟が切っ掛けの幼なじみで、私のことが好きというのはからかっているだけだと思いますと他のご令嬢方にも説明した。
中にはまだ良くない感情の方もいるかもしれないけど、Aクラス女子筆頭のミシェル様が受け入れて下さったから、お茶会で表立って悪く言う人はいなかった。
ミシェル様は素直で優しい方だった。
思えば私に嫌味を言ってきたときだってミシェル様がというより、取り巻きのご令嬢方の方が息巻いていたから、他の方に言われて殿下達を解放しろって言ってきただけのように感じた。
ゲームではこのミシェル様がアンドリュー殿下の婚約者で、ヒロインがアンドリュールートに進んだ時に嫌がらせをしたり嫌味を言って、有りがちだけど階段から突き飛ばしたとかで、断罪からの婚約破棄で国外追放をされる。
このミシェル様を見ていたらきっとそれも周りのご令嬢方に煽られてやった行動だと思う。
自分から進んでそんなことをするタイプではない。
それに素直すぎるが故にゲーム内の殿下が俺なんか発言をした時に額面通りに受け取って寄り添うことが出来なくて殿下の気持ちがヒロインに向いてしまったに違いない。
現実の殿下は俺なんか発言しないしチャラいけど根は真面目で優しいから、ミシェル様の様なおっとりしたタイプが似合うと思う。
私みたいにズケズケ言うタイプは友人関係が一番。
今日お話が出来て本当に良かった。
ミシェル様は素直過ぎるから、きっとこれからも誰かが何かを吹き込めばそれを信じて心を傷め、その人の為に動いてしまうのかもしれない。
けど、今回のことがあったから噂を耳にしてもそれだけを信じて行動するのではなく、それが真実であるか確かめてから行動するって仰ってくれたし、何かあったら相談に乗ってくださいねって言われてしまって、私では役不足だと思うけどお役に立てることがありましたらって応えておいた。
皆でお茶を楽しんでいるところに弟のルーカスがやってきたので紹介した。
私の二つ下の弟は三年制の学校では一年だけ被るので
「こんなに綺麗で優しそうな先輩方に仲良くしていただけたら僕、とっても嬉しいです。」
ってあざとさ全開でアピールしていた。
いつこんな技を身に付けたのか、末恐ろしいと姉である私は思った。
ルーの末っ子力の賜物で、女子の皆さんからはこれなら殿下達もご自分の弟の様に可愛がるのも納得だわと言ってくれたので、あとでルーには美味しい物でも作ってあげようかな。
ペストリーも誉めてもらえて、まだお店では売り出していないけど、近いうちにパン屋の三号店を開くからそちらで売り出したいと思いますので是非ご贔屓にと宣伝も出来た。
何だかんだ楽しいお茶会もそろそろ終盤に差し掛かってきたところで、お土産にグリッシーニ領で作ったデニッシュ食パンを皆さんに配った。
その日から学校でクラスメイトに嫌味を言われることがなくなってホッとしたし、学校で殿下達に囲まれていても話しかけてくれることが増えて、殿下達も幼なじみ以外との交流を持つようになって、皆にとって良い方向に進んだと思う。
ヨハンだけは私に近すぎると然り気無く牽制してるけど、それも含めて皆に受け入れて貰えたのも良かった。
多分ミシェル様は殿下のことが好きだと思うし、頑張って貰いたい。
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次話でヒロインに触れます。




