耐えるだけは性に合わない。
やはりヒロインのされていたような小さな嫌がらせなどの標的が私になったようで困っている。
悲しいとかじゃなくて、どうしたものかと。
別に断罪したい訳でもないし、攻略対象達に守ってもらいたい訳でもない。
ちょっとウザイからやめて欲しいだけ。
でも相手が公爵令嬢のミシェル様率いる高位貴族集団で、下手に反撃して商売をしている子爵家に迷惑がかかるのは避けなければならない。
教室ではヨハンや殿下達の目があるから、私がマリアンナとトイレに行く時を狙って絡んでくる。
その日も野外授業の為にジャージ的な物に着替えるべく女子更衣室に向かう。
勿論ご令嬢方も更衣室を利用するから必然的に鉢合わせする。
また殿下達が私に構っているのは商売をしている庶民臭い子爵令嬢が珍しいからに他ならないから身の程を弁えて自ら身を引けって事を丁寧に言われた。
口調が丁寧なのに内容はすごく辛辣。
でも、ヨハンはともかく殿下は私のことは婚約者避けの面白い幼なじみって扱いだし、イーサン様はちょっと何を考えているか分かりかねるけど、ヨハンや殿下と一緒に私を取り合う様な構図が楽しいだけで、本当は幼なじみ以上の感情はないと思うし。
それもこれも皆に婚約者がいないからで、殿下達の婚約者の座を狙うご令嬢方の注目が側にいる私に集まりやすいのは必然な流れ。
しかしまだ始まったばかりの学校生活で、これが当たり前になるのは穏やかじゃない。
三年間苛めに耐えるのは私の性分にも合ってないし。
そこで私はクラスの女子を集めたお茶会を開くことにした。
更衣室で用意した招待状を女子の皆さんに渡す。
他学年の高位貴族様方は後日改めてご招待することにして、まずは同じ学年の敵を攻略する。
実はクロワッサンのパイルーム経営が順調で、最近グリッシーニ領に新たにデニッシュ専用の施設を作ってしまったの。
デニッシュ食パンは勿論、女子の大好きなペストリーまで作って今は各部署に売り込んでいるところ。
そしてそのペストリーをこのお茶会で振る舞おうって訳!
本当なら屋敷で焼いたものをお出ししたいところだけど、製造行程の問題で成型して焼き上げまではグリッシーニ工場で行って、仕上げを屋敷ですることにした。
カスクルート領の濃厚なバターを惜しみ無く折り込んだデニッシュは、風味も去ることながら食感も最高だ。
クロワッサンのパイルームで腕に磨きをかけた職人を数人デニッシュ工場に指導員として入れて、何度も失敗を繰り返しながらも、納得のいく物が出来上がった。
お茶会当日焼き上がった物が屋敷まで運ばれてきたので私もオリゴさんと一緒に仕上げにかかることにする。
デニッシュに手作りカスタードを絞り、洋梨などのコンポートを載せて再び焼き上げる。
本来は最初の焼成の時にカスタードもコンポートも載せて焼くのだけど、冷蔵技術がない世界では一連の流れを屋敷の厨房で行うことは難しい為、苦肉の策としてこういった手順を踏んでいる。
再び焼いたことにより、湿気っていたデニッシュもサクミが戻りバターの良い香りがする。
冷めたらカスタードだけを搾って焼いたものには生クリームを絞り、フレッシュフルーツを贅沢に載せる。
色々な種類のペストリーを艶やかに見せるために表面にグラサージュを塗り、彩りとして庭で栽培しているミントの葉を添える。
完璧!
綺麗だし、美味しそう。
あとは敵が来るのを待つのみ。
早めにマリアンナが来て、段取りなどを手伝ってくれた。
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