食べたいなら作るしかない
芋掘り回です。
今日はグリッシーニ領にあるジャガイモ畑の収穫のお手伝いをさせてもらうことになった。
雪山のあるグリッシーニ領は比較的気温が低くてジャガイモ作りにもってこいらしい。
この世界には四季というものがなくて、一年を通して気温が安定しているのが特徴的。
神様が面倒臭かっただけかもしれないけど、作物を作ったりする面に関してはありがたいよね。
私もパン作りで気温や湿度を気にするけど、ほぼ安定しているからやりやすいもん。
雨の日だけは湿度が上がるから吸水を少し減らしたりしないと生地がベタつくけど、これは慣れたら大したことないし、気温が安定しているのは本当にありがたい。
衣替えもしなくていいしね(笑)
それで今日はグルマン様のご厚意でジャガイモ掘り!
事の発端はグルマン様が『そろそろジャガイモの収穫が出来るんだ。』って言ったのが切っ掛け。
私、芋掘りとか大好きなんだよね♪
カスクルート領ではサツマイモも作っていて、収穫出来るって連絡があれば私もルーを連れて領地にすっ飛んで行くの。
泥だらけになって芋を掘り出す私を見て、農家のおじちゃんおばちゃんはニコニコしながら『うちのお嬢様、お坊っちゃまは本当に偉ぶることもなくて私ら平民にも優しくて自慢のお人達だ。』って誉めてくれる。
私は逆に大事に育てた芋を掘らせてくれてありがとうって素直に伝えるんだけど、それも喜ばれてしまって照れくさい。
それでも行くんだけどね。
だって芋掘りたいし(笑)
話は戻るけど、そんなこんなでジャガイモ掘りたいって言ったら連れていってくれることになった。
勿論私とグルマン様以外にはいつものヨハネス様、アンドリュー殿下、イーサン様、ルーカスも一緒。
皆でワイワイやったら絶対楽しい!
6人だから二手に別れて馬車に乗る。
ヨハネス様は私と一緒を譲らなくて、私は誰とで良いから早く出発したいなって思ってて、グルマン様はヨハネス様と一緒が良いって言って、アンドリュー殿下もイーサン様もなんだか揉めてて結局、行きは私とヨハネス様とグルマン様、帰りは私とアンドリュー殿下とイーサン様で落ち着いた。
ここでヒロイン的な女子なら『私のために争わないで!』って瞳をうるうるさせて懇願するところだと思うけど、全員お母さんを取り合ってる子供にしか見えない私としては、微笑ましいけど早く芋掘りに行きましょう位の気持ちしかない。
だって数日前から楽しみにしてたんだし!
3日位雨が降らなかったら収穫出来るって聞いててるてる坊主も作ったしね。
今朝だってオリゴさんに頼んで特性サンドイッチ作ってもらって、ワクワクが止まらない!
行きの馬車ではヨハネス様が私の隣に座ってヨハネス様の向かい側にグルマン様が座っていた。
ヨハネス様は隙有らばスキンシップを謀ろうと手を握ったりしてくる。
ルーとも繋ぐし、手ぐらい好きにさせてるけど最近は指を絡ませた所謂恋人繋ぎをして私の指にチュッチュチュッチュ口付けしてる。
最初はびっくりして怒ったけど、慣れとは恐ろしい物で放置を決め込んでる。
三人で馬車に乗っていてこれは流石に気まずいからやめてって言ったらグルマン様が
「僕は気にしないのでヨハネスの好きなようにしてね。」
だって。
いや、私の意見はさ?
もう突っ込むのも面倒だし、馬車の窓から外の景色を見ることに集中した。
まぁずっと手をニギニギしたり擦ったりチュッチュチュッチュしたりウザかったけど、相手にして喜ばれるのも不服だし完全放置。
「痛っ!」
指に痛みを感じてヨハネス様を振り返ると薬指にうっすら歯形がついていた。
「ヨハネス様!何をなさるんですか!?」
痛みに抗議の声を上げると嬉しそうに
「この指が私との婚約指輪の為にあると思うと愛しくて堪らなくて、私の印を付けたくなってしまった…。どうか指輪を贈らせてはくれないだろうか?」
「だからって噛むのはナシでしょ!?痛かったですよ!」
怒られているのに嬉しそうでまた腹が立つ。
「はぁ…怒っているシルも可愛い…。やっとこちらを見てくれて嬉しい…。」
この男は相変わらず気持ちが悪い。
自分の方を向いてほしくて私の手にちょっかいをかけていたのには気付いていたけど、グルマン様もいるし、いちいち反応するのも面倒だから放置していたのにまさか噛むだなんて!
「私は怒っているんですよ?淑女に傷を負わせるだなんて紳士のすべきことではありません!」
「あぁ…シル…申し訳なかった。でも、私は君を傷付けた責任を取るから今すぐにでも結婚しよう。」
「だから何でそうなるんですか!12才まで待つんじゃなかったんですか?そもそも成人するまで結婚は出来ません。」
「それだけ私は君を思っているということを忘れないで欲しい。だからこの指に指輪を贈らせて?」
「指輪はいりません!パン作りの時に外してなくすかもしれないし、まだ子供だからサイズだって変わりますよ!」
「それは前向きに捉えていいのかな?」
「は?」
「サイズが安定したら贈っても良いってことだよね?パン作りの時は仕方ないけど、ずっと身に付けて貰いたいから…。チェーンに通してネックレスにした指輪ならサイズとか気にせず付けて貰えるかな…。」
何かブツブツ言い出して本当に面倒になったからグルマン様に話を振った。
「ねえ、グルマン様もジャガイモは掘ったことあるんですか?」
ずっと微笑んでヨハネス様を見ていたグルマン様は私の質問で我にかえって『いいえ、今日が初めてです。』と答えた。
というか、こんな残念なヨハネス様を見ても尊敬の眼差しを向け続けるグルマン様凄いって思うわ。
辺境伯家に憧れてるらしいけど、これは盲信じゃないの?
まだ私の手にチュッチュチュッチュしてるヨハネス様に何とも思わないなんて。
ここにアンドリュー殿下がいたらすぐに手を離させるだろうし、過剰なスキンシップは許されないだろう。
イーサン様なら『ボクも~♪』って反対側の手を取りそうだな…。でもそれでヨハネス様と言い合いになってお互い手を出さないことで落ち着きそう。
ルーだったら最初から私の隣に座りそうだし、ヨハネス様が手を握る前に色々な話題を振りそうだな。
最近のルーは義兄にはあの4人の誰がなっても良いと思っていて(グルマン様は私に興味ないけど)中立な立場。
その為か知らないけど、過剰なスキンシップを軽く阻止してくれたりする。
ありがたいセコムだ。
一緒に乗って貰いたかったけど、揉めた話し合いの末だから仕方ない。
グルマン様は絶対に止めてくれない。
ヨハネス信仰が激しすぎて、何の疑問も感じないらしい。
そんなこんなでジャガイモ畑に着いた。
今日は汚れても良いように私は乗馬服を着ている。
まぁズボンがこれしかないからなんだけどね。
農家のおじちゃん達に挨拶をして、堀り方を教わっていざ参らん!!
ゴロゴロ出てくる♪
大きいのも小さいのも沢山でワクワクする。
ジャガイモって庶民の食べ物扱いされてて、私達貴族の食卓にはビシソワーズやマッシュポテト位しか出てこないから寂しく思ってたの。
コロッケも食べたいし、じゃがバターも食べたい!
B級グルメ大好きな私は色々考えた。
コロッケは今度屋敷で作ろう。
パンだってあるからパン粉は出来る。
じゃがバターだってバター作ったから出来るじゃん!
あとはフライドポテトにポテトチップス…。
ジャガイモ料理に思いを馳せていると、アンドリュー殿下が覗き込んできて吃驚した。
「シルフィー何面白い顔してんの?」
食べ物のことを考えていた私はきっと間抜けな顔をしていたに違いない。
それでも急に覗かれて吃驚したから腹が立って、
「殿下には食べさせてあげませんからね。」
って言ってやった。
慌てて殿下が
「それはないだろ~!一生懸命芋掘ってるんだし、シルフィーのことだから旨そうなメニュー考えてたんだろ?絶対食うから!今から予約な!」
って叫ぶから他のメンバーも意味が分かっているのかいないのかはさておき、各々『自分も予約!』と宣言してた。
まぁ、美味しいものを作って誰かに食べてもらうの好きだから良いんだけどね。
芋掘りも一通り終わって、グリッシーニ領の屋敷に案内された。
そこの厨房を借りてさっそくジャガイモ料理を作らせて貰う。
取れ立てのジャガイモといったら皮ごと蒸してバターを落として食べるじゃがバターでしょ!
これは絶対したくてバター持参していて良かった。
皆で食べると今までジャガイモ料理をあまり食べたことのない彼らは目を丸くして、こんなに美味しいのにどうして今まで食べたことがなかったのか驚いていた。
本当にホクホクしていてバターがジュワッて溶けて美味しい!
芋掘りに来れて良かった♪
農家のおじちゃん達が是非また来てくださいって言ってくれて、グルマン様も楽しかったみたいでまた来るって返事してた。
私もまた連れてって欲しいなー。
今度皆をサツマイモ掘りに誘おう。
絶対楽しいし、そういう体験なんて一生することのない貴族の彼らにも良い刺激を与えてくれると思うんだ。
帰りの馬車では私はアンドリュー殿下とイーサン様と一緒だった。
行きのカオスな空間とは違って芋掘りの感想やじゃがバターの美味しさについて語り合って、また行きたいねって話で盛り上がった。
今度サツマイモ掘りに誘うね。
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