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創造のその先へ  作者: 隠/陰
序章
1/9

001. 世界の終わりに

処女作ですが、

頑張って本格的なファンタジィ小説を目指します。

誤字脱字などがありましたら教えていただけると助かります。

何卒、よろしくお願いします。





 トゥモローワールドオンライン。通称TWO。


 ニ○一五年に正式サービスを開始した、世界的に大人気な純国産MMORPGだ。


 サービス開始にあたって運営が掲げた謳い文句は今でもはっきりと覚えている。


――――今日を自由に生きて、明日を謳歌せよ


 当時から今に至るまで「漠然としすぎ」と言われていた。

 実際にキャラクタークリエイトの自由さを一通り楽しんだ後、適宜選択した所属国家の初期村へ生まれ落ちるのだが、そこでのチュートリアルクエストにて謳い文句に込められた意味が分かるように作られていたのだ。


 この言葉で最も重要なのは『自由』に尽きるだろう。


 TWOではその他のRPGで良く目にするシステムが存在しない。


 それは《レベル制》や《スキル制》と言われる物だ。

 敵を倒して経験値を貯め、レベルを上げていけば強い武器を装備出来る。はたまた、スキルを成長させたり、スキルツリーと呼ばれる物を発展させ強くなっていく。

 形は様々だがRPGでよく見かけるシステム。


 そんなゲームとして重要な機能を提供するシステムがない。

 TWOでは代わりに《潜在値制》と呼ばれるシステムが使われていた。


 《潜在値》とは現実世界で言う所の《経験》に近しい概念であり、同じ行動を繰り返せば繰り返す程にシステム的に《潜在値》というポイントがスタックされていく。

 その値の総量に応じて出来る事が増えていき、能力が成長していくのだ。


 結局、長くやった者勝ちじゃないかなんて思うだろう。

 確かにプレイする前まではそう考えていた。

 だが実態は全然違う物だ。


 何も《潜在値》は長い時間、同じ行動をやり続ければいいわけではなかった。

 おなじ斧を振るというアクションでも、タイミング良くキー入力することで得られる《潜在値》に差が生まれていたのだ。

 別にどの位増えたかとか数値が見えるわけではなかったのだが、世界のゲーマーをナメないで貰いたい。

 中には検証プレイヤーと呼ばれる者たちだって存在するのだ。


 彼らは非公開情報であるはずのデータを自力で集めるのである。

 ただ只管に行動して、結果を集めて、比較して、検証する。


 他のゲームでは実現出来なかった圧倒的なまでの自由度。遊び方。生き方。

 それこそが全世界のまったり系ゲーマーを魅了し続けている理由(わけ)だった。


 そう。

 サービス開始から五年が経過した今日。

 続編ゲームの完成と共にその歴史を終えようとしていた。


 続編ゲームの名前はリ・トゥモローワールドオンライン。


 カタカナ表記では余りにも味気ない。

 運営仕事しろよと叫びたくなる所業だったのだが、先立って公開されたリリースノートを読むと全プレイヤーは納得せざるを得なかった。


 接頭辞のリにはバーチャルリアリティの『リアル』と、リニューアルの『リニュー』の意味を込めて付けた事。

 そしてTWO時代のキャラクター情報をそのまま引き継げる事が明記されていたのだ。


 とまぁ、こればかりは「運営良い仕事」でした状態だが、俺が生きてきたTWOの世界。

 それは今日の日本時刻午後一○時に終わってしまうのだ。


 世界を気ままに旅する詩人。


 それが俺の生き方。


 クォートとして生きてきた日々が《一度》終わる。



「クォート! はやく最後の詩を詠んでくれよ! みんな待ってるぜ」


「そうだぞ。この世界はお前がビシッと締めないとな!」


「お願い! クォート! 最後にあなたの詩をもう一度見たいの」



 俺の見つめるモニターには多くのプレイヤーが集まっている。


 TWO最後のユーザーイベント。


――旅立ち


 そう銘打たれたイベントには一度に表示しきれる数を遥かに超えたプレイヤーが集まっていた。

 俺の大切で、尊敬する友人たちの企画は大成功と言えるのではないだろうか。


 運営よ、見えているだろうか。

 こんなにも多くのプレイヤーが一同に会して、この世界を、この生活を愛していたんだ。


 涙ぐみそうになるのをグッと堪らえて、俺は全員を見渡せる位置へと移動する。



 TWOにはもう一つ他のゲームとは異なる、実に特徴的なシステムが存在した。

 それは《ユーザID評価システム》と言う、あまりにも無慈悲な物だった。


 ユーザIDとはサービス利用登録時に各プレイヤーに対して、固有の識別番号が若番から自動的に割り振られる。

 その固有番号に応じて《例外的》に《スキル》が発生するようになっていたのだ。


 ここで言う《スキル》とはパッシブ発動する物の為、厳密には他のゲームのようなスキルとは呼べないかも知れない。


 俺のユーザIDは通称『壱拾(じゅう)』と称される一番から十番に入っている。

 最古参プレイヤーの一員だ。


 俺に与えられたスキルの名称は《創造》。

 壱拾には壊れ性能が多い中、唯一『自由』な物だった。



「まぁ待て。今、とっておきを考えてるから」



 この世界で生きられた事、次の世界でも生きられる事。


 そして仲間たちとまたこれまでと同じように日々を送れる事。それらに祝福と感謝を。





〔私はこの世界を生きた。


 今日、この世界は終わりを迎える。


 でも私の心の中にはいつもと変わらない世界が根付いている。


 仲間と共に旅に出た日々。


 時に泣き、時に笑い。


 時に悲しみ、時に喜び。


 時に驚き、時に安らぎ。


 幾多もの谷を越え、山を越え。


 幾多もの別れを越え、出会いを越え。


 今日この地に辿り着いた。


 明日の世界への扉が待つ、この土地へ。


 これからも共に刻もう。


 時を。思い出を〕





 俺の詠み上げた詩は燦めくパーティクル表示となり、碑文オブジェクトとしてワールドに生成された。

 最高級石材系資源を消費して生成された夜空を固めたような石碑。

 そこには俺の詠んだ詩が深く刻まれている。


 これがこの世界での最後のユーザーメイドオブジェクトとなるだろう。


 今思えばこれまで本当に多くの碑文を刻んできた。


 この世界へ訪れた初心者への助言。

 各土地での絶景スポット案内。

 優れた金策を広める為の物。


 本当に多種多様な物を創ってきた。


 どれもこれも俺が世界を自由に旅し、生きてきた大切な証だ。



「さぁ! 行こう! みんな!」



 こうして俺たち全TWOプレイヤーたちはキャラクターコンバート用の扉オブジェクト。

 固有名称『希望への回廊』という扉に触れ、新たなる世界の《創造》へと旅立った。






この小説?は昔、私自身が幼少期にたまに夢に見ていた世界をベースに、

読みたいと思える物を書いているつもりです。


物語の書き方について練習作がてら書いていきますので、

今後展開がブレる事があるかと思います。


その際は「あぁ〜、最初はやっちゃうんだよなぁ〜」とご容赦もしくは、

「貴様はやってはならぬ事をやってしまったのだ、このゴミムシめが」と罵倒しつつも、

暖かく見守って頂きながら、この物語を一緒に楽しんで頂ければなと思います。

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