第35話 モンスターの罠
俺はリーンちゃんが所属する、
冒険者パーティ白黒の、
モンスター退治に同行している。
パーティメンバーにも誘われたり、
只の旅行で終わると思っていたが、
モンスターを解体中に、
ゴブリンに嗅ぎ付けられ、
追い回されている。
「反転して、
打って出たりしないんですか?」
あまり馬を疲れさせると、
一戦後に追い付かれそうで、
フレンダさんに聞いてみる。
「中位のゴブリンから、武器を使う。
騎乗しているんだから、当然弓よ。
40頭からは、狙われたくない。」
道具を使うって、
ゴブリン系モンスターって、
そこそこの知能があるらしい。
さっきのモンキー系モンスターより、
集団でいるとやっかいそうだ。
「多いですか?」
「半分の数でも逃げるよ。
ニースしか弓を使えないからね。」
他の遠距離攻撃は、
クラリスさんの魔法と、
俺の投擲しかないのか。
「それなら、もう一戦って、
いつ戦うんですか?」
「追い付かれた時よ。
一発かまして、
モンスターが動揺している間に逃げるの。」
なるほど。
知能がある事を逆手に取るのね。
「フレンダさん、罠ですっ!」
ニースちゃんの悲痛な叫び声が聞こえる。
ちょっと可哀想。
「チッ、横に行きなさい!
このまま突っ切るよ!!」
クラリスさんとミルクさんが、
荷台で武器を構えだした。
フレンダさんもリーンちゃんも、
剣を抜いている。
「リーンちゃん、罠って?」
「分かりません!」
ニースちゃんは、
リーンちゃんより広く索敵をしているんだな。
流石、射手だ。
「前方にゴブリンの集団が居ました。
あっ、こっちにもいます!!」
わーお。
完全に罠に填まっている。
「フレンダさん、
一番ゴブリンが多い集団に行きましょう。
吹き飛ばします!」
動揺を誘うなら、
それが一番良いはずだ。
「そうね。
私達だけじゃ危ないわ。
囲まれるよ?」
ミルクさんが後押ししてくれる。
でも、なんでフレンダさんは、
そんなに俺を戦わせたくないんだ?
「仕方ないか。
本当は新人を戦力として、
数えたくないんだけど。
トモエさん、お願い出来る?」
俺が冒険者として新人だからか。
確かに、モンスターの種類も、
何も知らないからな。
このモンスター狩りは、
俺には本当に遠足だった訳だ。
「もちろんです!
ニースさん、向かって!」
「分かりました。」
馬車は元の進行方向に向かって進み出す。
カツッ。
固い音がしたと思って、そちらに目を向けると、
馬車に矢が刺さっていた。
後ろを見ると、
チラチラとウルフに乗ったゴブリンが見える。
二回曲がる事で、馬車のスピードが落ち、
ゴブリンが使役するウルフに、追い付かれた。
しかも、ゴブリンの矢の射程距離は、
この森の中で視界に入る距離と、
同じ程度もあるらしい。
ニースちゃんから貰った矢を、
ダーツの様に投げる。
手を離れる瞬間に、
支配(対称性)を発動し、
矢の動きの内、
後ろのゴブリンのいる方向への動きの速さを、
かなり上げる。
これだけだと外れるから、
丁度良くモンスターの前の地面に飛んで行く様に
前方に進む動きと合わせて、新たな動きを追加する。
ドバッ。
先頭のゴブリンが騎乗するウルフ、
その手前の地面が爆発する。
土砂が吹き上がり、後ろから追いかけて来る、
ゴブリンの先頭集団を飲み込んでいく。
これで、後ろに逃げる事が出来ると、
一瞬思ったが、馬車の前方には、
既にゴブリンの集団が見えていた。




