第1話 プロローグ
よう。
俺は月城巴、太り気味のアラサーだ。
顔は……イケメンではないが、
「いい人」とか言われてモテたんだぜ?
「(どうでも)いい人」ではないはずっ!
まぁ、就職活動に失敗して、女との縁も絶たれたが。
なぜ突然、自己紹介をしているかと言えば、
ブラック企業に就職して10年。
転職の当てもなく、奴隷として働く日々に、
ちょっと、刺激的な出来事があってな。
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時刻も未明に差し掛かり、
俺はそろそろ帰宅を考えている。
終電なんてとっくに無いから歩きだ。
まぁ、社の近くに住む事を強制されているから、
1時間もかからないが。
「申し訳ありません!
お先に失礼致します!
本日もありがとうございました!」
席を立ったら、雑務を押し付けられる前に、
即座に”退社三句”を唱える。
唱えないで帰宅するなど考えられない。
「ともえ!お前何行書いた!?
5千超えたんだろうなっ!?」
チッ、席が離れているのに、
上司が気付きやがった。
まぁ、PC画面に夢中でこっち見てないがな。
それに、1日で5千行なんて何処の化け物だよ!
「本当に申し訳ありません!
2千しか書けませんでした。
始発で出社して取り返します!」
まぁ、今日も16時間働いたけど!
でも、ここで取り返すとか言わないと、
延々泊まりの日々になるからな。
てか、一日5千なんて俺には無理!
「今やって帰れよ!泊まればいいだろ!?
みんなやってるのに、なんでお前だけ帰るんだよ!
俺達仲間だろ?
仲間が頑張ってるのに、助けようとか思わないのか!?
薄情な人間なのかぁ!?」
はぁ!?
何言ってんだ此奴!
残業代も出さないのに、どんだけ働かせる気だよ!!
しかも、今日はあんたが投げ付けた謎ドリンクのせいで、
スーツから何から、体中臭いんだよっ!
そもそも、俺の部下は終電で帰してるわ!!
「ご配慮が足らず申し訳ありませんでした!
先輩方のお仕事ぶり、常に感銘を受けております!
馬鹿な私にも一からお仕事をご教授して下さり、
一人でコーディングが出来る様になりました。」
少しずつ出口に向かいながら、声を大きくする。
上司が画面を見ている間に退散できれば、
今日は帰れる!
あくまで、まだ近くにいますよーという偽装だ。
「俺の事舐めてんのか、あぁ!?」
廊下に逃げ出すと、そんな声が聞こえるが、
巨漢は滅多に席から立たないからな。
はぁー。仕事辞めてぇ。
ブーーン。
俺は帰路の途中にあるコンビニで買ったのり弁を、
レンジに入れている間に、さっとシャワーを浴びる。
……このタオル、いつ洗濯したっけ?
まぁ、いいか。
チンッ。
開けると旨そうな匂い…うん?なんか臭いぞ?
って、臭いのは俺か。
上司が飲んでいたアレ、一体何を混ぜたんだろうな?
プロテインに栄養ドリンクと漢方薬、
机の上に黒い何かが入った瓶もあった様な?
プシュッ。
あーー美味い!
この為に生きている!!
それにしても、くっせーなぁ。
まぁ、腹も膨れたし、寝るか。
眠過ぎる。。。
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「え!?」
青空が見える。
背中が冷たい。
ってか、寒っ!
俺は……寝ていたよな?
パジャマも着ているし、裸足だし。
え?なんで外!?
しかも、草原?
何処だよ此処……遠くに街が見えるけど、
どう見ても、城塞都市じゃねぇか。
あっ、夢か!
明晰夢ってか。
ビックリさせるなよ。
死んだかと思ったよ!
死んで異世界転生とか、嬉しいけどね!
……夢なら夢でいいんだけどさ。
目の前に浮かぶ
「10ptを振り分けてね」
って、なんだ??
よろしくお願い申し上げます。
本作のネタは、対称性、ネーターの定理、運動量保存則、エネルギー保存則、電荷保存則、古典物理学等です。
エネルギー運動量テンソルまで扱う予定はありません。