第16話 人化の確認と厨二心
インフルの時に出た鼻水で中耳炎になりました。
っ! 俺は何を………。
俺は確か擬人化を選択して………。
(肉体生成のため気絶していました。おはようございます。マスター。現在の時刻は午前7時を過ぎた所です。 人化は成功しました。自分の体を見て下さい)
よかった、成功したのか。
俺は安堵しつつ下を見た。そこにあったのはもう大分昔に感じる人の体だった。
ん?なんで俺服着てないんだ?
(マスター、それは当然です。マスターが選択したのは擬人化、そこに服がある要素などありません。ですが異世界と言えどその状態では捕まります。ですのでマスター、体内の魔力を体全体に纏うようにして下さい)
魔力を纏う? よく分かんないが取り敢えずやっておくか。
その瞬間体が赤黒い霧で覆われた。
なんだこれ!
(マスターじっとしていて下さいそれは「魔装」するときに必ず出るものです)
「魔装」?なんだか知らないが害はないんだな。
霧は暫く経つと消え、俺の体には服が着せられてあった。
(これが魔力を纏い、鎧と化す一部の者にしか出来ない高等技術「魔装」です。と、言ってもこれはマスターは服が欲しいので肝心の鎧は出していませんが)
なるほど、これは本物の服にしか見えんな。質感もある。服の形からすると上は白いブラウスで、下は茶色いカーゴパンツだ。アテナ曰くこの世界の一般的な男性の服装らしい。と、言ってもこれはゲームで言う初期装備のような物で大抵の人は自分の好きな服を着るみたいだ。あくまでこれはこれはどこでも通用すると言うだけだそうだ。
それで鎧だが着けられるなら着けたい。やっぱり異世界と言ったら防具だしな。それにカッコ良さそうだし。
(分かりました。では【武具乃神】と連携し、防具の製作に移ります。魔装を発動して下さい)
わかった、魔装!
魔力を纏うと先程と同じく霧が出て来た。だが先程のような怖さはなくむしろ心地よさを覚えながら霧に呑まれていった。
霧はまた暫く経つと消え、俺は異世界転生系の主人公が着るような黒い生地に赤いラインが入った外套を羽織り、金属で出来た光沢のある軽装を装着していた。外套は大きくあったかい、鎧は軽いがとても重厚感のある防御力の高そうな仕上がりだ。それが体の要所に動きを邪魔せずあった。
「カッコイイ。……… !俺、喋れるのか。」
(今声帯が完全に繋がりました。もう喋れますよ)
「ちょっと待ってくれ。なんか久しぶりで上手く話せないな。」
それから俺はしばらくの間一人で喋っていた。
「もう大分慣れたな。」
俺の声ははっきり言って声優顔負けの美声だった。これで顔もカッコイイなら文句ないんだが。
(マスターの体は全体の98%が足立 研の肉体を再現しています)
そう、この体は足立 研の体を素体に出来ている。はっきり言って俺の顔がカッコイイかどうかは足立様の生前の顔に掛かっている。ちなみに身長の方は多分だが170はこえてると思う。そう思いながら俺は虚無魔導の「リフレクトミラー」を発動した。「リフレクトミラー」は魔法攻撃を跳ね返す事が出来るが、今回は鏡として使う。 いざ!
俺は願望を胸に鏡を見た。
「………これが、私?」
そこに映っていたのは恐ろしい程の美青年だった。顔はシュッとしており目は黒く少し切れ目でクールな印象を受ける、肌は少し日焼けをしており、健康的ながらも知的な感じだ。髪は日本人らしい黒髪で眉毛を少し隠す程度まで伸びている。
なんだこれ? 俺は手を動かし頰を抓る、しかし鏡の先に映る青年も同じ動きをしてそれが俺だと確かめている。まじか、足立さんこんな顔だったんですね。俺は心の中で足立さんを拝み倒した。
よし、俺の顔も声も超絶美形なのはわかった。これで安心できる。
それより、この体で活動するなら魔導もいいけど武器も欲しいな。
(分かりました。【防具乃神】と連携し、武器の作成に入ります。………出来ました。以降は魔装時に展開します)
分かったじゃあここはカッコ良さを求める為に1回防具だけ解除して、「魔装」!
その瞬間俺の体をいつも通り赤黒い霧が覆い尽くした。だけど今回は霧の中でバチバチと赤い雷が放電している。毎回思うがこれって超厨二臭いよな。だがそれがカッコイイ。
霧が晴れると俺はさっきまで着てた外套と防具が体を保護しており、外套の下、腰周りには皮のベルトが巻き付けてあり、そこには無数の鍵がついていた。
これが武器?俺は鍵の一つを手に取り持ってみた。一見普通の鍵で、武器っぽさは一ミリも感じられない。
これは一体?
(それに関しては「鑑定」した方がいいです)
分かった。「鑑定」
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武器 サモンキー(ソード)
ランク 神話級
詳細
この世界の全ての「剣」を
召喚する事が出来る鍵。
召喚するにはサモンキーに
魔力を流し、鍵穴に差し込む
事で銘、形、ランク、などの
条件に合う武器を召喚する。
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は? これはチート過ぎないか? これが剣なら他は……。
(弓、棍、槍、斧、鎌、槌、拳の全ての武器種に対応しています。武器の操作方法は【武具乃神】の効果で分かるはずです)
マジか。俺まじでオールラウンダーじゃねえか。
取り敢えず、サモンキーの使い方を確認しないとな。
俺は手に持ったサモンキーに魔力を流した。
すると鍵の先端を中心に小さい黒い穴が出来た。
屈んで見てみたが穴の先は何も見えず何処かに繋がっているとは思えない。
これが鍵穴かな? 差し込むと武器が選べるだよな。
俺は緊張しながら鍵を差し込んでみた。
鍵が中に入り、回すとカチャリと音を立てた。
その瞬間頭の中に何かが浮かんできた。
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ランク( )
形 ( )
銘 ( )
決定
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これに打ち込むのか。ええとランクは………(この世界の武器のレア度はランクで表されており、下から順に
普通級、希少級、財宝級、秘宝級、王国級、帝国級、幻想級そして神話級となっております。マスターのステータスならばトレジャー以下の武器ではマスターの力では耐えられないと思います。ですがどうせならミソロジにすべきかと)
分かった。じゃあランクはミソロジーっと、形はまあロマン武器である刀で。決定っと。
(………見つかりました。候補を出します)
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銘 正宗
能力
時間切断
不壊
常鋭
聖刀化
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銘 村正
能力
空間切断
不壊
常鋭
妖刀化
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etc
他にも色々あったが特に惹かれたのはこの二振りだった。
取り敢えず二本とも出してみるか。
俺は決定を押してみた。
すると穴が大きくなり、中から装飾の施された日本刀の柄が二本現れた。引き抜いてみると片方は深い海の様な青に白い模様が、もう片方は燃え盛る炎の様な赤に黒い装飾が施された鞘に収められており白い方が正宗、黒い方が村正だという事が見るだけで分かる。鞘から抜いて見るとどちらも鏡の様に研がれており、刃の部分には波の様な模様があって切れ味の高さが伺える。構えてみると、刀と自分が繋がった様な不思議な気分になった。
振ってみるとどうすればいいのかが手に取るように分かる。これがスキルの影響か。これならどんな魔物も倒せそうだ。
俺は鞘をベルトに差し、そこに刀を入れた。
じゃあ次は神化しますか。
それでは皆さんヘビーな週末をお過ごしください。