第6話 そんな裏話があったの?
製作者が出てきました。
昨晩は字幕をオフにするのを忘れ、眠りについた。
夜ニュースを見ていた時、英語が流れたり他の外国語が流れたりするとキッチリ日本語の字幕が見えていた。あ、テレビの方の字幕は全然意味違うじゃん、マスゴミの情報操作恐ろし~(わざとかどうかは知らんけど)という発見もあったり。ということでちょっと優越感にひたり、オフにすることを忘れていたわけだ。
それはさておき、気が付くと俺は白い部屋にいた。
(キタコレ~~!)
(宿主、うるさい。)
テンションMAXになった俺に対し、夢の中(と思われる)で隣にいたティナに突っ込まれた。(多分)夢だし、別にいいじゃんかよ…。
白い空間には特徴があるものは見当たらず、白いヒンヤリとした素材で作られた机と、机の手前側に長椅子が置かれていただけだった。俺はいつの間にかそこに座っていたのだ。
(俺にどうしろと…?何が起こるんだ…?)
色々考えていると、
(宿主、とにかく落ち着いて。)
とティナに窘められた。まあ頑張って落ち着いてみるけどさあ…。あまりにもテンプレな展開にワクワク感とモブらしい不安が渦巻いてキョドるのは仕方がないと思うの。
突然、ボワンと大人の身丈をした女性が現れた。バランスボール?のようなものに座っている。
(ようこそ。ヒトの子よ⦅なんで私の記録庫にヒトが…?お陰でたたき起こされたじゃない…⦆)
おう。この何か高次元存在的なお方の本音が漏れとる。アルカイックスマイルっぽい微笑(本音の方から判断するとただの作り笑いの模様)をたたえた女神様?をマジマジと見てしまう。
かなりの美人さんだ。女神さんだったら当たり前なのかもしれないけど。髪は紫と銀でふんわりと緩いウェーブがかかり、肩の下まで伸びている。声フェチも満足な透き通ったお声をされている。身にまとった服は薄い紫色をした光沢のあるキャミワンピ。白い肌をした肩や鎖骨が見えるのがアダルトだ。…口元によだれの跡さえなければ完璧なのにな…。
(ヒトの身で…わらわに何の用じゃ?⦅早帰れって言いたいけど、折角の機会だし、ここは神らしく荘厳さをアピールしとかないとだめね!⦆)
用って言われてもな。来たくて来たわけじゃなし。何かチートでもくれるんでなければ、俺も早く帰りたいけどな。視界の端を見ると、なぜかティナが長椅子を降り、床に膝をついて顔をうつむけていた。
(その少女は…?⦅あのチンチクリン何だったっけ…どこかで引っかかるわ…⦆)
(我は汝、汝は我。悠久のかなたに魔眼として作り出されし者。)
なんかティナの口上がちょっとカッコいい。どこかの仮面っぽい気もするが。
⦅そういえば随分昔…ふと思い立って「便利ツール」を試作したような。あの時はやってるうちに段々拍車がかかって、天地創造に近い6日間もかけてしまった…でも、最後の詰めで急に面倒になって…結局雑な作りになった失敗作…。アレ、その後どうしたっけ?⦆
女神?が軽く混乱してらっしゃる。俺ここでも空気なの?
(クフフ…)
うつむいたままのティナが肩を震わせて声を出さず笑っていた。そんなに俺のモブぶりが面白いのか。とりま俺の心の叫びを読むな。
(おほん。まあ良い。ヒトの子よ、息災で暮らせ。⦅あ、アレ倉庫に突っ込んだまま忘れてた。まあ、失敗作だし忘れても仕方ないよね~テヘペロ⦆)
テヘペロて、えらい軽いな…。作りが雑な魔眼はその後の扱いも雑だった。作った方(女神?)もかなり適当な気がする。ちょっとティナが可哀そうに思える。
(く…)
ティナは俺に同情されて悔しそうだ。
とか考えているうちにいつの間にか白い空間を靄が満たしはじめ、女神?様からの自己紹介もなく俺は白い空間から出されていたようだ。
「…ぶはっ!……ん?」
布団を跳ね飛ばした瞬間に目が覚めた。時計を見ると4時。まだ寝れるな、と思いながらふと視界の中のティナに目を止めると、体育すわりをしていつもより目が死んでいた。スルーされてたしなあ…。雑な誕生経緯も聞かされたし。それにしてもあの女神っぽい適当なヤツは何だったんだろう。
女神も片耳に輪っかのようなイヤリングをしています。声聞いたらだいたい察するハズですが、見た目の違いと突然の出会いに動揺している主人公は察していないという。今回の話も今後本筋には関係ないかもしれません。(関係ないとは言っていない)