霧雨魔理沙と本①
今年もあと2日ですね、明日もできれば更新します
魔理沙に言われるがままに付いてきた俺だが、行き着いた場所は「鈴奈庵」と言われる場所だった。
古本屋だか貸本屋を営んでいるらしく、魔理沙はここの「本居小鈴」と仲がいいらしい。ここで一体何をするのかとを言うと……。
「じゃ、頼んだぜ」
ドサっと本を置く。妖気を発している物があるのだがこれは一体……。
「小鈴はどんな言語の本でも読むことが出来るんだ。だからその翻訳を頼みたい」
……つまり、古代の意味不明名言葉で書かれた本を、「小鈴」とやらと一緒に現代語訳しろとの事。なんで俺にやらせるのか。
「私は、これから図書館に本を盗りに……おっと、借りに行ってくる。その間、頼むぜ」
本人がやった方が色々と都合がいいんじゃないか?
「意味がわかればいいんだ、意味が」
それでいいのか魔法使い。
「じゃあ、頼むぜ」
ピューっと、箒で飛んでいってしまった。
「……はぁ」
なーぜ、俺はこの年になって義務教育の翻訳作業みたいなことをするんだろう。まあ、やったら本返してくれるっていうからやるしかないんだけどさ。仕事だし。
「こんにちはー」
暖簾をくぐり、店内へ。
中は、「ザ・古本屋」と言った感じだった。少し埃っぽかったが、それがこの店の雰囲気を良い方向へ向かせていた。
「はーい……何か御用ですかー?」
出てきたのは小柄な少女。エプロンをしていて、とても元気そうな子だった。この子が小鈴だろうか。
「もしかして本の買取ですか?」
目を輝かせる。本好きなのか。
「いや、ちょっと見て欲しい本がありまして……」
本を見せる。すると、目の輝きが一層増して、身を乗り出した。
「わぁ! 妖魔本じゃないですか!! ちょっと貸してください!」
手から奪い取られる。表紙をめくり、パラパラーっと。
「これどうしたんですか!? 妖魔本なんて、とても貴重なものなのに……」
「ちょっと頼まれごとをされてまして……霧雨魔理沙って知ってます?」
「魔理沙さん! いつも贔屓にさせていただいてますー! それでどうしたんですか? 」
「その魔理沙にこの本を訳してこいって頼まれまして」
「なるほどー……でも、ほんの訳だったら魔理沙さんが来た方がいいんじゃないですか?」
それ、俺も思った。けど、本人曰く、意味がわかれば良いらしいんです。
「意味だけ分かっても、それこそ意味が無いのでは……」
そうだよね、俺もそう思う。その原文見ないと分からないことってあるよね。
「まぁ、それでいいなら分かりました。引き受けます」
「お願いします」
そう言うと、小鈴さん(呼び捨てはあれなのでさん付けにさせていただく)は眼鏡をかけて、本をめくり始めた。何枚かめくった後、何かを神に綴っていく。
……これはなかなか時間がかかりそう。ちょっとお店の本をみてみようか。
狭く感じるほどに積み上げられ、棚に入れられた本を見ていく。うお、ボロボロだけどラノベ系まである。純粋な文学もあれば、いつの時代かわからない巻物まで、何でも揃ってるな。
……その中で、一つ気になる本があった。それは、妖気を放っており、一際異臭を放っていた。
「……妖魔本か?」
ちょっとだけ、ちょっとだけ本を開いた。