紅魔館のお手伝い⑤
シンクノソラー
無事、魔理沙の家に侵入できたのはいいがなんなんだこれは。
見渡すばかりの本、たまに蓋がしてあるビーカーに、干からびたキノコ。なんかの鱗や血のような液体の入ったフラスコ。まるで、というかもうゴミ屋敷。この中から探さなきゃならんのか、と探す前から気が重くなる。
このゴミ(魔法使いにとっては宝の山?)は途切れることを知らず。長く廊下の方まて続いていて、なんとか踏み場があるかと言った具合である。今度掃除しろって言っておこう……。
手当り次第ゴミを掻き回しつつ、目的の本達を探す。
寝室に来た。白いシーツのベットが部屋の端に置かれ、窓からは少しばかり日が差し込んでいる。あと少し埃っぽい。
目的の本はここにもあったので、持参した袋に放り込んでおく。
その傍ら、異様な雰囲気を醸し出す本が視界に入る。
「うん? これは……」
なんかちょっと禍々しいなこれ。表紙には……なんだこれ読めないぞ。こんな字、今までに見たことない。
「もしかして……妖魔本だったり……」
妖魔本ってのは妖怪が書いた本のことだ。その内容は、古典書籍や人間宛の物、グリモワールと言ったものから、その妖怪の存在を描いたものまである。妖怪は「存在が忘れられた時に存在が消える」から、もし存在が危うい奴がるとするなら、妖魔本は最後の頼みの綱ってわけだな。そういった本だ。
あと、妖魔本って、めっちゃ貴重なんじゃなかったっけか。魔理沙なんかが持っている訳……いや、あるな。魔理沙のことだ、紅魔館の図書館以外にも、いろいろな所から本を盗っているかもしれない。変なことに使ってないだろうな。
メモを改めて見ると、その本もどうやら回収対象のようであった。掴んで袋に投げ入れる。
そんなこんなで、粗方回収し終えたわけだが、まだ数冊残っている。チャッチャと探すか、腹も減ってきたし──そんな油断を見せた時だった。
「誰だっ!!」
大きな音を立てて、廊下を走る音。どうやらここの家主にバレたらしい。
……さて、どう逃げるかな。
>∩(・ω・)∩<テーレッテー