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東方長閑譚  作者: 冴月(元:九尾の白狐)
仕事 その1
4/8

紅い館のお手伝い③

おひさしぶりですね


ㅤ俺の仕事の内容は紅魔館図書館の本掃除(というか整理)になっていた訳だが、来てみたらなんだこれは。


ㅤ天井まである本棚から崩れ落ちた本が、彼方此方に散乱している。場所によっては、足の踏み場がない程だ。

ㅤそんな本だらけの床をつま先でそろりそろり歩いていると、魔法で本を浮かせ、片付けていたパチュリーにあった。

「久しぶり、パチュ「手伝ってくれるのよね、ここの本をこの紙の通りに並べてちょうだい」挨拶もさせれくれないのか……」

ㅤパチュリーから一枚の紙を渡される。そこには、上から下までびっしりと、本の名前とその場所を示す記号が書き込まれていた。

「うへぇ、この量半端じゃないな……うん?」

ㅤ名前にバツがつけてあるものがある。それもかなりの数。なんだろうか。

「ああ、それはあの『コソドロ』に取られた本よ」

ㅤあいつ、こんなに本を盗っていたのか……ざっと百はあるぞこれ。魔理沙のジャイアニズムは本人も尊敬するほどだろう。

「じゃあ、やりますか」

「お願いね」

ㅤ一つずつ、表を見ながら本を入れてゆく。似たような本や、シリーズものにも関わらず、最後だけ魔理沙に取られたものなどに注意し、入れる。

俺には読めない文字のものから、日本語で書かれた外によくあるような本。それから、古い漫画のようなものから小説まであった。これ、言えば貸してくれるかな。

「ちゃんと返してくれるなら貸すわよ」

 おお、さすがパチュリー心が広い。

 そんなこんなで、本の整理を進めていく。上を向いて、下を向いて、たまに浮かんで本を入れる。そんな短調な作業の繰り返しであった。



ㅤ数十分か、数時間か。同じ作業をしているせいで、心が無心になりかけた頃、咲夜がお茶を持ってきてくれた。

ㅤ小悪魔、パチュリーも呼ぶ。

「今日のお茶は、咲夜特製スペシャルティーですわ」

ㅤそう言って、お茶をカップに注ぐ。ふんわりと、果物の香りが漂ってきて、とても美味しそうだ。

ㅤ……しかし、その一方で、パチュリーと小悪魔は引きつった笑いを見せていた。

「そういえば、人里から頂いたマーマレードがありました。とってきますわ」

ㅤヒュんと姿が消える。俺は、引きつっ他笑いの理由を二人に聞いた。

「そういえば、貴方は知らないのね……あのお茶の威力を」

「威力?」

「凄いんですよ。なんというか、なんとも言えない味なんです」

「貴方は悪魔だからそう言えるのよ」

「パチュリー様だって魔女じゃないですか」

「まぁ、そうだけれど……」

ㅤそう言って、ひとくち啜る。その瞬間、パチュリーの顔にもっとシワがよった。

ㅤ嫌な予感しかしないな。

「……いただきまーす」

ㅤ一口。

「……!!!」

ㅤ口の中に広がったのは、本当に、「なんとも言えない味」であった。

ㅤ甘くもなく苦くもなく……かと言って不味くもない。お茶という感じはしない。色は綺麗な紅茶の色をしているが、紅茶のあの味がしないのだ。

「不思議だ……不思議過ぎる」

ㅤそれらを総合してただ一ついえるのは。

『二度は飲みたくない』

ㅤ満場一致でその感想だった。

「これじゃあ、口直しが逆じゃないか」

ㅤマーマレードで口直しって、何なんですかね。よく分からないです。

ㅤそんな休憩を終え、俺はパチュリーに呼び出された。

「あらかた終わったわね。そんなあなたに新たな仕事よ」

 細かく文字が書かれた、一枚の紙が渡される。……盗品リスト? とか、書かれていた。

「盗人は霧雨魔理沙。ここに書かれている本を取り戻してほしいのよ」

次の任務は、スネークミッションらしかった。

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