紅い館のお手伝い②
かけたよたえちゃん! やったね!(違う)
「うーむ、なかなか荒れてるなぁ」
ㅤ紅魔館に入って目に写ったのは、なかなかに荒れた館内だった。所々にガレキがあったり、壁に穴があいていたり、壁紙が剥がれていたりといった有様だ。
ㅤそんな館内に、妖精のメイドとゴブリン達があちこちに散らばってせかせか働いていた。
「こんなにいるんだったら俺、必要ない気がするんだよなぁ」
ㅤ汗を流し働く妖精達を尻目に呟く。つーかこいつらめっちゃ手際いいな。さっきまで空いてたデカイ穴がもう埋まってるよ。
ㅤそんな妖精を見ながら歩いていたのだが……。
「……あれ、ここどこ?」
ㅤやはり、迷子になったのである。
ㅤ適当に廊下を歩いていたのだが、気がつくとレミリアの部屋の前にいた。ドアにかけられている看板に「レミリア」と書かれているので間違ってはいないだろう。俺は、そのドアノブに手をかけ……。
「いや待て。前にもこんなことなかったか?」
ㅤ確かあの時は……開けたらレミリアが裸で、「キャーッ」ってなって右ストレートを食らったんだっけか。だったら、
「ノックすりゃあ大丈夫でしょ」
ㅤトントンとドアを叩く。しかし、返事はなかった。
「あれ、居ないのかな……」
ㅤまたドアを叩いてみる。……が、返事はない。うーむ、どうしたものか。
ㅤ試しに、ドアノブを回してみる。……ありゃ、回った。不用心だな。誰か中に入って盗みとかしたらどうするつもりだったんだ。
「貴方……お嬢様の部屋の前で何しているの?」
ㅤゴミを見るような目で、この館のメイド長の十六夜咲夜がこちらを見ていた。
「中に入って盗みをしようとしていたなら、容赦しないわよ」
「そ、そんな事しないって」
「……怪しいわね」
「そ、そんなぁ」
ㅤ俺って、そんな信じられてないのか?ㅤトホホ……。
ㅤそんな事を思いながら落胆していると、
「なんて、冗談よ。貴方がいくら『アレ』でも、しないってことくらい分かってるわ」
ㅤ「ばちこん☆」を付け加えながら言う。うん、滅多に見られない「ばちこん☆」が見れたのはいいけど、「アレ」ってなんだよ「アレ」って。
「なんでもいいでしょ。ところで、今回の貴方の仕事だけれど……」
「ああ、それ気になってたんだよ。これだけ妖精達が働いてるんだから、俺必要ないんじゃ……」
そんな話をしている最中も、せっせとゴブリン達は働いている。
「あら、そんなことはないわよ? あの子達は頭を使う仕事はできないもの」
「頭を使う?」
何だろう、つい聞き返してしまった。
「ええ。貴方には、パチュリー様の図書館の本整理をしてもらうわ」
「えぇ……」
おおう……なんだかめんどくさい仕事になりそうだ。
これからは、どのくらいの頻度になるのやら……。