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とある文芸部の活動

名前だけ微妙に出してるけど大丈夫かな?


大丈夫だよね?


それではみじかいですがどうぞ。







『はやく来いよ。

『まってよ。えいいち!』



 私は走り出す。

 これから先、どんなことがあるかは分からないけど……

 それでも、英一の隣で笑っていられるように。




――――――――




――――――




――――




――






「っし、完成!」



 言いながら俺は軽く身体を伸ばす。


 目の前に広がる原稿用紙の枚数は数えきれないほど。

 しかし、それでも俺は書ききった。


 これでまた一つ俺の作品が完成したわけだな。

 そう考えるとこの原稿用紙に感慨深いものを感じる。



「今回はまだ書きやすい性格だったから楽だったかな」

「ああ、書き終わったんだね。なら、新聞部に渡してこないと」

「あ、なら私が行ってきますよ。あやおおてん部長」

「何度も言うが、俺の名前はふみあきだ」

「僕もおおそら ようなんだけどね……」

「そんなことは気にしないんですよ! ゆくゆくはこの文芸部を別名〝妖怪の山〟と呼ばれるように!」



 笑いながら両手を上に挙げる女子生徒に俺と部長は苦笑いを浮かべた。


 ちなみに、この女子生徒は俺と同じ2年生で名前はたて ひめと言い、自分のことは〝はたて〟と呼んでほしいと常々口にしている。

 なお、上げられた名前から分かるように姫日は有名な某ゲームが好きで、この学校では知らない生徒はいないほどだ。

 そのせいで、他の生徒からも文と呼ばれることになっているのだが……



「まぁ、いい。俺が自分で渡しに行ってくるよ。ついでに次の話の種になりそうなものを探してくる」

「そう? じゃあ、いってらっしゃい」




――――――――




――――――




――――




――




「あ、文先輩。小説が書き終わったんですか?」

はなか。そっちに持っていくところだったんだよ」

「私はもみじですってばー……」

「それを言うなら俺も文明だ」



 新聞部に向かう途中で出会ったのは、新聞部に所属する1年生のいぬ 椛だった。

 こいつは名前が本当に椛なんだが、俺のことを文と呼んでくるので、椛と呼ぶと姫日が過敏に反応してくるのだ。

 そんなことが何度もあったために俺は椛の漢字をバラして木花と呼んでいる。

 木花はそう呼ばれるのはあまり好きではないみたいだがな。


 ちなみに、木花には個人的に〝ある事〟を頼んでいたりもする。

 それは……



「で? 何か新しい情報は入ったか?」

「そうですねぇ……。H・Rさんが誰かに想いを寄せていると言った情報や、K・Mさんがこそこそと何かを作っていると言った情報くらいですね」

「そうか。話を書くにはちょっと不足かもな」



 俺が木花に頼んでいた〝ある事〟。


 それは、学校内で起こっている誰かの恋愛事情についての情報収集だ。

 木花は新聞部なので学校内の様々な生徒や教師に取材をおこなっており、学校内の情報についてはかなり詳しいのだ。

 なお、本名は一応伏せてイニシャルだけで教えてもらっている。

 流石に本名を出すのは問題があるからな。


 これを聞いて最低だとか思う奴もいるかもしれないが、少なくとも学校内ではそういった評価は受けていない。

 何故なら、俺の小説に書かれた恋愛は成就すると言うジンクスがあるからだ。


 まぁ、これに関しては本当に偶然だろう。

 俺には他人の恋愛を成就させる力なんぞまるっきり無いからな。



「あとは……。そうですね、先輩に片想いをしている1年生の情報がありますが」

「ふむ。聞かせてくれ」

「分かりました。えっとですね…………」




――――――――




――――――




――――




――




「おかえりなさい。何か新しい話の種は見つかったかな?」

「はい。一応、見つかりました」



 新聞部から部室に戻り俺は一息をつく。

 と、木花からもらった情報を纏めておかないとな。


 確か……


 1年生のI・Mが先輩のK・Hに片想いをしているんだったな。

 周りから見るとI・Mの好意は分かりやすいのにK・Hは気づいていない。

 I・Mの所属している部活の仲間たちはI・Mの恋愛を応援している。

 K・Hの趣味は読書と物語を書くこと。


 とりあえず分かることはK・Hがかなりの鈍感だってことだな。

 ひとまずこの2人の名前を決めるか。


 I・Mだから……いわさき まどかだな。

 で、K・Hは……つーか、俺と同じイニシャルか。

 きのまえ ひかるにしておこう。


 聞いた限りでのI・MのK・Hへの接し方は……。


 K・Hの部活の手伝いや、手作りのお菓子の差し入れ。

 バレンタインには本命のチョコを渡す。

 ただし、K・Hは本命だと気づいていなかった。

 可能な限り登下校を一緒にしている。

 K・Hが好きだと言っていた髪型にしている。


 だったな。

 何とも健気な1年生だ。

 K・Hも手作りのお菓子をもらっているなら気づけよ。


 これは書きがいがありそうだ。

 木花からもらったクッキーでもかじりながらどんどん書いていこう。

 あ、そういえばこの2人がもともと所属している部活を聞いてない。

 いくら書くときに変えるとはいえ、それは知っていないと書きにくいかもな。

 仕方がない、今日は設定を纏めるくらいにしておこう。




――――――――




――――――




――――




――




 後日、木花から新聞の評価と新しいカップル誕生の話を登校中に聞き、ジンクスの強さに改めて驚くのを俺はまだ知らない。








《人物紹介》


からすま ふみあき

文芸部に所属する2年生。

本作品の主人公。

新聞部に小説を提供しており、小説に使われた恋は何故か成就する。

椛のことを木花と呼んでいる。



おおそら よう

文芸部に所属する3年生。

部長でやや苦労人。



たて ひめ

文芸部に所属する2年生。

東●が好きで知り合いたちにキャラの名前をつけており、学校内でも知れ渡っている。



いぬ もみじ

新聞部に所属する1年生。

文明に学校内で起こっている誰かの恋愛情報などを伝えている。

文明と仲が良く、手作りのクッキー等をあげたり一緒に登下校をしていたりする。

ただし、お菓子作りが得意すぎて文明はもらったクッキーが手作りだと気づいていない。

木花と呼ぶことを許しているのは文明だけで、他の人が呼んでも決して返事をしない。




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