表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

「シオンは何の魔法をまず入れる?ロックがかかってて三つしか入れられないから迷うわよね」


「これ三つしか入れられないの?」


何かゴチャゴチャ書かれた図太い本を開きながら言うクロエに、妹は指にストレージを引っかけてクルクルと回しながら聞く。


「一年はストレージのスロットと入力出来る魔法式コードの長さに規制があるのよ。時たま例外が居るらしいけど、普通はまだ魔法の事を殆ど知らない素人以前なのばっかだから調子に乗ってヤバいのをインストールされても困るってこと。一応、節目節目で少しずつ規制は解かれていくけど、今は授業で使う分を除いたら使えるスロットは一枠、二枠ってとこね」


夢のくせに中々に面倒だなとか思いながら妹は視線をクロエが開いている図太い本に移す。


「それで、さっきから見てるその本は?」


「一般的な凡庸魔法式のカタログよ。これだけあっても実際に私たちが使えるのは十数ページ分ほどだけど、それでもかなりの量だし何を入れるか迷うわよ」


チラッと内容を見てみるが、魔法名らしきものの下に簡単な説明とズラッと何か記号っぽいのと数字が複雑に書かれていて妹はぷいと視線を外す。


文系よりな妹にとっては見てるだけでも頭が痛くなるものでゲンナリする。


明晰夢っぽいのに全く自由にならないこの夢に多少苛立ちながら、入力はクロエにして貰おうと決める。

「クロエはどんな魔法を使いたいの?」


「ん〜、日常で役立つ魔法にしたいわね。やっぱり『見えざる手』とか『湧き出る泉』辺りが無難かしら?…ってシオンはどうなの?使いたい魔法とかってないの?」


「魔法かぁ……」


妹は目覚めた後の現実を想い、暑い日差しを遮る魔法とかがあったらいいなとか考えつつも、せっかくの夢だしドラグ○レイブみたいな高威力でド派手なのやバハムートとかを喚び出せる召喚系の魔法があったら使ってみたいな等とも考えを巡らせる。


「………太陽を吹き飛ばせるぐらいの魔獣とか幻獣を喚び出せる感じの魔法?」


「存在しないわ。もしあったとしても国家魔導士でも無理よ」


仁辺もない。


「でもつまり高火力や召喚系の魔法がいいのね。今の規制じゃあどっちもまだ無理だけど、下級の攻性魔法なら出来るのがあるからそこら辺で気に入ったのを入れるといいかもね」


そういうとクロエは捲っている図太いカタログとは別の、それよりは比較的薄い本をカバンから取りだしてこちらに渡してくる。


「………これは?」


「一般で使用が許可されてる攻性魔法のカタログよ。私達が使えるのはA−1部分だけだから間違えないようにね」


間違えないようにね、と言われてもと思いながら妹がページを捲ると、先程チョロ見したのよりも長めな魔法式がズラッと幾つも並んで書かれている。


「………………」


取り敢えず妹は魔法式の方は出来るだけ見ない様にしようと決めて魔法名と説明を重点的に追う事にした。


よくゲームとかである火球や氷槍とかのオーソドックスなのから、煙を出して操るとかの使い道がよく分からないモノ等が書かれている。


ピンとくるのが無く妹は面倒くさそうに流し読み的に次々と見ていたが、一つの魔法に目を止めた。


その魔法は他の魔法に比べて一際魔法式が短く、魔法名も説明も簡潔だった。



【肉体強化】

身体能力を強化する魔法。最下位クラスの魔法式な為、筋力強化のみ。※効果D−



「クロエ、私はこれにする」


「えっ?どれ?」


クロエは妹が指差した強化魔法の項目を見て呆れるように言った。


「さっき言ってたのと全くの真逆に地味なのを選んだわね。確かに肉体強化も便利だろうけど、せっかくの魔法よ?初めに選ぶにしては勿体無くない?」


「別に。どうせ後でスロットも増えて他の魔法も使える様になるみたいだし、ならこういうのを初めに選ぶのも面白そうでしょ」


魔法式が短いから選んだとはおくびにも出さずに妹はこの魔法を選んだ。


この選択が後々、妹の学園生活に大きな影響を与えるとは露も知らずに……





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ