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査察という名の見学会

神キャラもとい新キャラ登場です。

俺は例の天界事務所に来ている。


ただならぬプレッシャーにさらされ、胃が痛い。


「バンビちゃん」の支払いをするための現金を銀行で下ろした後、ディーラーに向かう途中を思い出す。


ちなみにいくら松一会長の孫であってもタダで車をくれるようなことはない。


ほしければ自分の手でつかめ!がモットーだ。だから自分で稼いだ金で買った。


多額の現金を持ち歩く際、周りの人間がすべて敵に見える瞬間。ブリ三叉路でPKされるときのような気分。


振込みでも良かったのに何故現金で払ったのか、そのときの俺を止めにいきたい。


そのくらいのヘタレなのだ俺は。


あまりの胃の痛さに現実をパージするところだった。


俺の目の前にはいつもの金髪さんにライトブラウンさん、そして真っ白な髪とヒゲのおじいさま。


ライトブラウンさんも額から脂汗を流している。化粧が台無しだ。金髪さんにはプレッシャーは効かぬようだ。


「こ、こちらは本部長のホワイトさんです。今日の査察に同行されます」


「ふぉっふぉっふぉ。緊張せんでもよいぞ、若いの」


この老人、何かを試すように俺に殺気を突き刺してくる。


神器を使って防御しているが、これが無ければあっという間に精神を削られるだろう。


ふっとプレッシャーが消えたが、用心に越したことは無い。


「まぁまぁ合格ぎりぎりじゃの。一ヶ月あまりでここまで使いこなせるようなら優秀といえば優秀じゃが」


約一ヶ月間、俺に金髪さんが張り付いていたのはうちでタダメシを食うため。ではない。いやその通りだが。


俺が神器をどう使うか、あえて野放しにして様子を見ていたという。


それは例の勇者、エリーシャも同様だ。


彼女はあちこちを回って焼け落ちた町の復興を「奇跡」を使って手助けしていたようだ。おしっこ勇者はがんばっていたのだ。


本来、エリーシャに渡すはずだった剣にはそんな力は備わっていない。あくまでも魔王を倒すだけの剣だった。


その剣が金髪さんのせいで俺に突き刺さり、代わりに俺が即興で「創造」した剣にはそれが備わっていた。


「「変異進化」を起こしたのかもしれんのう」


神器には安全装置があり、本来の持ち主以外が神器を握っても何も起こらないという。


しかし、今回は金髪さんのせいで俺の精神構造体に直接刺さるというイレギュラーが起こり、安全装置が働かないまま起動をしたようだとホワイトさんが言う。


その際、神器が著しく変化した可能性もあるという。そもそも神器が神器を作り出したという前例は無いと。


「もしくはおぬしに何らかの…。それは無いか」


ちなみに銀色のにくいやつにも変身させられ、例の「デヅタルカメラ」で前後左右の写真を数枚撮られた。


金髪さんがあんなに時間をかけて撮った写真は全部ピンボケで何の役にも立たなかったのだ。


ピンボケしないはずのカメラでピンボケさせる技量…金髪、おそろしい子。


---


「君、縦笛と書かれてるこれは惑星をかち割るトールハンマーではないのか?」


「そんな物騒なものではないわ」


「それに大きさと総質量を超絶過少申告しておらんかの。七kmを越える船体サイズで百二十センチ二十六kg?どこの小学生だね」


「れでぃに体重を聞くのかこのぼけじじい。私は見た目どおりの小学生女児だ!」


「目上の者に向かってその口の利き方はなんだ!わしがその気になれば、おんしの心臓メインリアクターなど一瞬で停止させられるわ」


「その前にじじいを予備のスリップドライブにくくって、アルファ宇宙域あたりまですっ飛ばして二度と帰ってこられないようにするぞ」


「まぁまぁそのへんで」


「所有者、ちょっとだまってて!」


「へい」


ここは例の「戦艦」のブリーフィングルーム。今は俺が持ち込んだ畳と唐紙を張った衝立で偽和室と化している。


ちゃぶ台を挟み、船体艤装仕様書をめぐってバトルを繰り広げるのはホワイトさんと、この戦艦を制御するAIのひとつ。


約七kmの「戦艦」は居住区や格納庫、食糧生産エリア、主反応炉などとブロック分けされ、それぞれに制御用のAIが張り付いている。


妹に機能を説明したのはこの「戦艦」のAIだった。姿が見えなかったのはまだ体ができていなかったので音声だけで対応したという。


紺色の短めスカートのセーラー服に身を包んだ総勢三十名のAI。全員女子小学生という設定らしい。


そして、それらを統括する艦橋ブロック、委員長キャラのAIがホワイトさんと口げんかをしている。ちなみにめがねは赤いセルフレームだ。


俺のひざに乗っかって叫ぶものだから耳が痛い。ちなみに体はヒトとそっくりの有機体で構成されているようだ。暇なのでAIのふとももをむにむにしてる。あったかい、やわらかい。おまわりさん俺はここです。


「しかし、こんなところにクロツキの船が現れるとは。あの星はとうの昔に滅んだはずじゃが」


ホワイトさんが真っ白なヒゲを撫で付けながら唸る。さっき委員長AIに引っ張られてすこしぬけたようだ。


「やはりそうなのですか?」


ライトブラウンさんが額の汗をぬぐいながら聞く。もう化粧は全部はがれているが、化粧が無いほうが綺麗なんですよね。


よくわからない会話が続く。


「ああ、すまぬ。こちらの話だ」


この船は神器ではあるが、コピー元になったオリジナルの船が存在するようで、気の遠くなるような昔に滅んだ文明のものらしい。


「それと、こんなはねっかえりのシップコンピュータがついていたとは聞いておらんぞ」


---


船内の連絡カーゴに乗り込んで後ろのほうにある兵器格納庫へ移動する。


「なんじゃこれは!」


「は?」


兵器格納庫に入っていたのは俺がやりこんだ歴代のSTGに出てくる戦闘機そっくりさんが二十あまり。


1/1のプラモが所狭しと並んでいるように見えるので現実味がまったく無い。


もうビックリバイパーだよ。シルバーポークーだよ!


「所有者の趣味に合わせた」


と、ぺったんこな部分を強調してふんぞりかえる委員長AI。


格納庫の隅では新たな機体がどんどん生み出されていた。あれはLSA-777スルーフィードか。


材料は近くの小惑星帯から勝手に削り取っているらしい。どこかの国が激怒しなければいいが。


---


まる一日費やしてもほんの一部しか見られなかった。


この一ヶ月、ブリーフィングルームと士官用の独房のような部屋以外は見せてもらえなかったので(乙女の秘密とか言われてAIがドアを開けなかった)びっくりはしたが。


「若いの、くれぐれも変な気は起こさんでくれたまえ」


ホワイトさんが深刻な顔をしている。


いや、俺はロリコンじゃないですから!


「ちがう!そっちではない!この船を量産すればおぬしの世界にある辺境銀河のひとつくらいは容易に制圧できるということだ」


「俺はヘタレですから、そんなことはやらないですよ!」


「…そうか。引き続きそこの金髪を監視役兼連絡係に置くからそのつもりで」


「すいません、その件でひとつお願いしてもいいですか」


「うむ。合意の上であればうっかりいたしてもかわまんが。女神であっても恋愛は自由だ」


顔を赤らめる金髪さんとライトブラウンさん。


「いや、そうではなくて」


最後まで話が噛み合わなかった。


---


金髪さんの食費と光熱費が俺の預金口座に振り込まれることとなった。


意外とバカにならないんだ。これが。


通帳の振込み欄、「カブ) テンカイ」って怪しすぎるなこれ…。


「そのお金、私の給料から天引きですよう…」


天界だけに天引き?お後がよろしいようで。

よくわからない世界観でお届けしております。

ようじよは一気に三十人増やしてみました。

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