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俺の妹様がこんな場所にいるわけがない

「旅行楽しかったか?」


「まだホテルに到着したばかりでしたのよ。たまたま一人になったときにここに飛ばされたからいいようなものですが…」


俺を置いて、親父やおふくろ、そしておじやおば達とヨーロッパ方面へ旅行に出かけた妹。


最低でも半月は戻らない予定で。


俺はおばの子供を預かるハメになった。学校があるから連れて行くわけにも行かず。


本当にありもしない系の話でありそうな、「○○ランドにいくからうちの子みててといわれ、千葉のあそこだと思ったらフロリダのランドだった」という笑えない話が自分に降りかかった。今回はヨーロッパなわけだが。


日本を発ってまだ数日だから、向こうについて三日目といったところだろうか。


俺はアーケード筐体を作って嫌がらせ目的で妹の部屋に入れておくつもりだったが、勘弁してやるか。


「おにいさま…」


「言っておくが、この金髪さんのせいだからな」


「それは聞いていますわ」


ここはあの馬鹿でかい戦艦の中にあるブリーフィングルームのようだ。


四方を鋼鉄の壁に囲まれ、逃げ場など存在しない。


金髪女神は机の下に隠れようとしてたが、あえなく御用となった。


「あの二人はどこだ?」


部屋の隅っこでがたがたと震える勇者の姿が目に入る。


真央は、備え付けの自販機をものめずらしそうに観察していた。


FPSでありがちな殴るとライフが回復するジュースが出そうなタイプのものだ。


ちなみに何度も殴っていると自販機が爆発してダメージを食らうというトラップもあるらしい。


「おにいさま、わたくしはそろそろ戻りませんと、皆が心配しますので」


「ところでどうしてお前がここにいるんだ?」


いまさらのようにたずねる。


「わたくしが聞きたいですわ!聞くといえば」


妹はメモ帳を取り出し、俺に押し付ける。


「おにいさまの代わりにわたくしが説明を聞かされましたので、代わりにメモを取りましたの」


「そりゃどうも!んで誰に聞いたんだ?」


「姿は見えませんでしたけれど、女性のようでしたわね」


誰だろう。


「ごきげんよう、おにいさま…せっかくなのでこの「船」の力は有効活用させてもらいますわ」


「転送開始」


どう見ても中学生くらいのサイズしかない妹の体は光の帯となり、虚空へと消える。


一応成人しているけど。


「さて、金髪さん…」


ひっ!と縮み上がる金髪女神をつかもうと思い、ふと自分の腕時計に目が行く。


「あっ!あいつを迎えに行かないと。どうすりゃいいんだ?」


おばの子供は学校近くの学童保育施設で夕方まで預かってもらっているのだ。


妹からもらったメモをばらばらとめくる。


そこにはこの「神器」の機能と使い方がごく簡単に書かれていた。


「それじゃ、俺の家に「転送開始」」


目の前が一瞬揺らめくと自宅の玄関前に立っていた。田舎の一軒屋なので誰かに見られる心配も少ないだろう。


「対象を指定しない場合は半径数メートル以内の生物も自動転送されると…なるほど」


俺の隣には金髪女神にへたれ勇者、そして真央がいた。勇者はともかく、女神も真央も転送されたことからどうやら生物らしいと判明した。


「あの…ここは」


金髪女神がうろたえる。


「ずいぶんと変わった小屋だな。それよりもわたしのおもちゃはどこに消えた!」


小屋とはひどいな真央。これでもまだローン残っているんだよ!


おもちゃといわれて空を見上げたが、あの馬鹿でかい構造物はどこにも見当たらなかった。


勇者は気絶していた!


「とりあえずうちへようこそ。金髪さん、悪いんだけど風呂場に案内するからおしっこまみれの勇者を洗ってやってくれ。着替えは俺のを出して置く。真央は俺と一緒にお出かけだ」


俺は金髪女神にもらし系勇者を押し付け、真央を自分の車に乗せておばの子供を迎えに行く。


すっかり日の落ちた田舎道を推定四百馬力のバンビちゃんが「安全運転」で走りぬける。


「どうした真央?混沌のなんとかさんが混乱してどうする?」


へんじがない、ただの(ry



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